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素跣足
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すはだし
ふりがな文庫
“
素跣足
(
すはだし
)” の例文
その決心に蹴飛ばされたように私は、
素跣足
(
すはだし
)
のまま寝台を飛び降りた。宿直室を飛び出して、隣の室に通ずる、暗黒の廊下を突進した。
ビルディング
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
姉は感心したように
言
(
ことば
)
をかけた。お島は
襷
(
たすき
)
がけの
素跣足
(
すはだし
)
で、
手水鉢
(
ちょうずばち
)
の水を取かえながら、鉢前の小石を一つ一つ
綺麗
(
きれい
)
に洗っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
生れしまゝなれば
素跣足
(
すはだし
)
の尻きり半纏に田圃へ辨當の持はこびなど、松のひでを燈火にかへて
草鞋
(
わらんぢ
)
うちながら
馬士歌
(
まごうた
)
でもうたふべかりし身を
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
勿論
(
もちろん
)
素跣足
(
すはだし
)
で、
小脇
(
こわき
)
に
隱
(
かく
)
したものを
其
(
その
)
まゝ
持
(
も
)
つて
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たが、
唯
(
と
)
見
(
み
)
れば、
目笊
(
めざる
)
の
中
(
なか
)
充滿
(
いつぱい
)
に
葉
(
は
)
ながら
撮
(
つ
)
んだ
苺
(
いちご
)
であつた。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
陶器
(
やきもの
)
を積んだ手押し車を押して、
素跣足
(
すはだし
)
で、町の者や、きれいな女の見る中を——その頃のみじめな自分の姿も思い出されるのだった。呉服屋へはいった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
摩利信乃法師は、今日も例の通り、墨染の
法衣
(
ころも
)
の肩へ長い髪を乱しながら、十文字の護符の
黄金
(
こがね
)
を胸のあたりに
燦
(
きらめ
)
かせて、足さえ見るも寒そうな
素跣足
(
すはだし
)
でございました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
乙平は捨てて置けなくなったので、手早く身体を拭いて
帷子
(
かたびら
)
を引掛け、刀を掴み取る暇もなく
素跣足
(
すはだし
)
のまま庭へ飛び下り、黒部の
柴折戸
(
しおりど
)
を
蹴放
(
けはな
)
すようにして隣の庭へ飛び込んで行った。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
だから
素跣足
(
すはだし
)
のまま寝台を降りて畳椅子の上に乗っかると、殆ど同時に八字
鬚
(
ひげ
)
の小男が、白い
布片
(
きれ
)
をパッと私の
周囲
(
まわり
)
に引っかけた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
生れしままなれば
素跣足
(
すはだし
)
の
尻
(
しり
)
きり
半纏
(
ばんてん
)
に
田圃
(
たんぼ
)
へ弁当の持はこびなど、松のひでを
燈火
(
ともしび
)
にかへて
草鞋
(
わらんじ
)
うちながら
馬士歌
(
まごうた
)
でもうたふべかりし身を
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
半開きの傘に首を入れて、白い
素跣足
(
すはだし
)
、尻からげ、小雨に暗い柳原土手を、一散走りに飛んできた一人の侍。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
色
(
いろ
)
が
真蒼
(
まつさを
)
で、
目
(
め
)
も
血走
(
ちばし
)
り、
伸
(
の
)
びた
髪
(
かみ
)
が
額
(
ひたひ
)
に
被
(
かゝ
)
つて、
冠物
(
かぶりもの
)
なしに、
埃塗
(
ほこりまみ
)
れの
薄汚
(
うすよご
)
れた、
処々
(
ところ/″\
)
釦
(
ボタン
)
の
断
(
ちぎ
)
れた
背広
(
せびろ
)
を
被
(
き
)
て、
靴
(
くつ
)
足袋
(
たび
)
もない
素跣足
(
すはだし
)
で、
歩行
(
ある
)
くのに
蹌踉々々
(
よろ/\
)
する。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
熊手を振りまわして、そんなものを掻き集めて畑の片隅で焼肥を焼いている事もあった。大抵
素跣足
(
すはだし
)
で尻をからげていた。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
七つのとしより
實家
(
じつか
)
の
貧
(
ひん
)
を
救
(
すく
)
はれて、
生
(
うま
)
れしまゝなれば
素跣足
(
すはだし
)
の
尻
(
しり
)
きり
半纒
(
ばんてん
)
に
田圃
(
たんぼ
)
へ
辨當
(
べんたう
)
の
持
(
もち
)
はこびなど、
松
(
まつ
)
のひでを
燈火
(
ともしび
)
にかへて
草鞋
(
わらんじ
)
うちながら
馬士歌
(
まごうた
)
でもうたふべかりし
身
(
み
)
を
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
……飛びたいにも、駈けたいにも、俥賃なぞあるんじゃない、天保銭の翼も持たぬ。
破傘
(
やれがさ
)
の
尻端折
(
しりっぱしょり
)
、下駄をつまんだ
素跣足
(
すはだし
)
が、
茗荷谷
(
みょうがだに
)
を
真黒
(
まっくろ
)
に、
切支丹坂
(
きりしたんざか
)
下から第六天をまっしぐら。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
魂消
(
たまぎ
)
るように叫びつつ身を起した。
素跣足
(
すはだし
)
のまま寝台から飛び降りて、
裾
(
すそ
)
もあらわに私に
縋
(
すが
)
り付こうとした。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
一
(
ひと
)
ツ
紋
(
もん
)
の
羽織
(
はおり
)
を
着
(
き
)
て
足袋
(
たび
)
跣足
(
はだし
)
、
男
(
をとこ
)
は
盲縞
(
めくらじま
)
の
腹掛
(
はらがけ
)
、
股引
(
もゝひき
)
、
彩
(
いろどり
)
ある
七福神
(
しちふくじん
)
の
模樣
(
もやう
)
を
織
(
お
)
りたる
丈長
(
たけなが
)
き
刺子
(
さしこ
)
を
着
(
き
)
たり。これは
素跣足
(
すはだし
)
、
入交
(
いりちが
)
ひになり、
引違
(
ひきちが
)
ひ、
立交
(
たちかは
)
りて
二人
(
ふたり
)
とも
傍目
(
わきめ
)
も
觸
(
ふ
)
らず。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
慌てて走って来たものと見えて、
手拭
(
てぬぐい
)
浴衣
(
ゆかた
)
の寝巻に帯も締めない
素跣足
(
すはだし
)
が、灰色の土埃にまみれている。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鼻を
抓
(
つま
)
まれてもわからない暗黒の中を
素跣足
(
すはだし
)
の手探りに狭い
梯子段
(
はしごだん
)
を二階のサロンに降りて来た。
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ホコリに
塗
(
ま
)
みれた
素跣足
(
すはだし
)
の上に、
背縫
(
せぬい
)
の開いた囚人服を引っかけて、太い、新しい荒縄をグルグルと胸の上まで巻き立てている彼の姿を見たら、大抵の者が震え上がったであろう。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……
蓬々
(
ほうほう
)
と延びた髪の毛……無性ヒゲ……ボロボロの
浴衣
(
ゆかた
)
……結び目をブラ下げた縄の帯……
瘠
(
や
)
せ枯れた腕……灰色のホコリにまみれた
素跣足
(
すはだし
)
……そんなものの黒い影が、一寸法師のように
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……フト気が付いてみると私は、タオル寝巻に、黒い革のバンドを捲き付けて、一本足の
素跣足
(
すはだし
)
のまま、とある暗い廊下の途中に在る青ペンキ塗りの
扉
(
ドア
)
の前に、ピッタリと
身体
(
からだ
)
を押し付けていた。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
春雨に濡れた
問屋張
(
といやばり
)
の傘を畳んで、提げて来た中鯛を五六匹土間に投出したスタイルは、まことに板に附いたもので、浴衣の尻を七三に
端折
(
はしお
)
った
素跣足
(
すはだし
)
である。親友の林駒生氏が振返って声をかけた。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
跣
漢検1級
部首:⾜
13画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“素跣”で始まる語句
素跣