筋骨きんこつ)” の例文
そのころ良人おっとはまだわこうございました。たしか二十五さい横縦よこたてそろった、筋骨きんこつたくまましい大柄おおがら男子おとこで、いろあましろほうではありません。
大柄で筋骨きんこつたくましい身體や、額のきずや、赤銅色の刻みの深い顏など、惡人らしくはありませんが、大親分の昔を忍ばせるには充分です。
別に、肩には更紗さらさ投掛なげかけ、腰に長剣をいた、目の鋭い、はだか筋骨きんこつ引緊ひきしまつた、威風の凜々りんりんとした男は、島の王様のやうなものなの……
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
食人鬼しょくじんきのごとくどうもうなる暴漢ぼうかんである、味方は数こそ多いが、筋骨きんこついまだ固まらざる十六歳に満つや満たずの少年たちである、これを思うと
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
おそろしくのたかい武士。筋骨きんこつも太く、容貌ようぼうがまたなくすごいようにみえたが——オオなるほどこれには蛾次郎が仰天したのも無理むりではない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに照らすと人の筋骨きんこつから臓腑ぞうふまではっきりと映ったので、最初に見た者はおどろいて気絶した。
そこへ向うからながらみ取りが二人ふたり、(ながらみと言うのはにしの一種である。)魚籃びくをぶらげて歩いて来た。彼等は二人とも赤褌あかふんどしをしめた、筋骨きんこつたくましい男だった。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やよせがれ、今言ひしは慥に齋藤時頼が眞の言葉か、幼少より筋骨きんこつ人に勝れて逞しく、膽力さへすわりたる其方、行末の出世の程も頼母しく、我が白髮首しらがくび生甲斐いきがひあらん日をば
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
雲水の僧は身の丈六尺有余、筋骨きんこつ隆々として、手足は古木のようであった。両眼は炬火きょかの如くに燃え、両頬は岩塊の如く、鼻孔びこうは風を吹き、口は荒縄をり合せたようであった。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
武村たけむらしからんな、わが軍艦ぐんかん」の道塲破だうじやうやぶりをやつたな、よし、乃公おれ相手あひてにならう。』と突然とつぜん大檣だいしやうかげからあらはれてたのは、いろ黒々くろ/″\とした、筋骨きんこつたくましい年少ねんせう少尉せうゐ
筋骨きんこつ的な線のはっきりした西洋人の顔が多く効果的に写る——ともかく日本の様式建築が、独逸の効果的写真帖の影や深味までを東洋人の感覚で了解し、原型伯林の建築より効果を出している。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
べつに、かたには更紗さらさ投掛なげかけ、こし長劍ちやうけんいた、するどい、はだか筋骨きんこつ引緊ひきしまつた、威風ゐふう凛々りん/\としたをとこは、しま王樣わうさまのやうなものなの……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まして筋骨きんこつたくましい、武家育ぶけそだちのわたくし良人おっとなどは、三食事しょくじを一にしてもよいくらい熱心ねっしんさでございました。
數珠じゆずを首に卷いて經帷子きやうかたびら、不氣味な白い眼をいて、凄まじい死に顏ですが、五十五といふにしては達者な老人で、小造りながら筋骨きんこつたくましく、不意を襲はれなければ
あらはれきたつた二個ふたりひとまぎらかたなき日本人につぽんじんで、一人ひとりいろ黒々くろ/″\とした筋骨きんこつたくましい水兵すいへい姿すがたこし大刀だいたうよこたへたるが、キツと此方こなたながめた、一人いちにんは、威風ゐふう凛々りん/\たる帝國海軍士官ていこくかいぐんしくわん服裝ふくさう
とにかく、筋骨きんこつ隆々たる美丈夫である。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此時このときしづかに艇頭ていとうめぐらして此方こなたちかづいてたが、あゝ、その光譽ほまれある觀外塔上くわんぐわいたふじやうよ※ いろくろい、筋骨きんこつたくましい、三十餘名よめい慓悍へうかん無双ぶさうなる水兵すいへいうしろしたがへて、雄風ゆうふう凛々りん/\たる櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ
人々ひと/″\も、くては筋骨きんこつたくましく、膝節ひざぶしふしもふしくれちたる、がんまのむすめ想像さうざうせずや。らず、かたあるひ画像ぐわざうなどにて、南谿なんけいのあたりうつける木像もくざうとはたがへるならむか。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)