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畢竟
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ひっきょう
ふりがな文庫
“
畢竟
(
ひっきょう
)” の例文
京都見物の人が土産話の種とすると同様、日常常識として結構であるかもしれぬが
畢竟
(
ひっきょう
)
は絵で見た景色と同様で本当の知識ではない。
科学上における権威の価値と弊害
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
、俗物連中は、現在の世界と死後の世界とは、その事情同一なるように考えておるから、かかる誤りたる論を立つるに相違ない。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
女を苦しめた国はいわゆる因果応報で、そういう国の衰えるのは決して偶然でないということになる。これが我輩の持論である。
女子教育の目的
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
ソクラテスは
嫣然
(
えんぜん
)
笑って、「さらば罪あって死ぬのは残念でないのか。死ぬる死なぬは
畢竟
(
ひっきょう
)
第二義のことだ。心の鍛錬が第一義だ。」
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それも
畢竟
(
ひっきょう
)
お由の死に方がはっきりしねえからの事で、確かに蝮に咬まれたのかどうだか、医者にもよく見立てが付かねえようですよ
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
それを気象が立つというのである。おのずから生の華やぎが作品の表に見えて来ねばならない。それがないのは
畢竟
(
ひっきょう
)
飢えた詩である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
うれしかった事も、悲しかった事も、悲しんだ事も、苦しんだ事も、
畢竟
(
ひっきょう
)
は水の上に浮いた
泡
(
あわ
)
がまたはじけて水に帰るようなものだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
かつて「篠深く」の句に興味を感じ、今またこの柿の蔕を取上げたのも、
畢竟
(
ひっきょう
)
この少年の時の事が土台になっているのかも知れない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
、何物に
囚
(
とら
)
われて、日々新たなる心境を喪失してしまっている証拠で、芸術上の生命は根本的に奪われているといわねばならない。
魅力と親しみと美に優れた良寛の書
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
これからお話ししようとする「新案探偵法」なるものも、
畢竟
(
ひっきょう
)
彼のこのプラクチカルの頭脳から割り出されたものなのであります。
新案探偵法
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
他人の幸福といふのは
畢竟
(
ひっきょう
)
自分の両親が承認した男を幸福にして自分の愛した男を不幸にしてやれといふ意に他ならないのである。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
どんな複雑な趣向で、どんな
纏
(
まとま
)
った道行を作ろうとも
畢竟
(
ひっきょう
)
は、雑然たる進水式、紛然たる御花見と異なるところはないじゃないか。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
子を学校に入るる者の内心を探りてその真実を丸出しにすれば、自分にて子供を教育しこれに注意するは面倒なりというに過ぎず。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「自分を頼み切って居るのに、籠の鳥を殺すような
酷
(
むご
)
いことは出来ない。天下をとるのは運命であって、
畢竟
(
ひっきょう
)
人力の及ぶ所でない」
小田原陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかしてかかる誤解の生じたのも、
畢竟
(
ひっきょう
)
この制度が立憲政治の数ある特色の中、特に
擢
(
ぬき
)
んでて最重最要のものであったからである。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
左へ曲るも右へ曲るも
畢竟
(
ひっきょう
)
、月の引力を受けていたのだ。故意か偶然か、宇宙艇は
遂
(
つい
)
に火星へ飛ぶべき進路を
妨
(
さまた
)
げられてしまった。
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どう言う
破綻
(
はたん
)
を生じますか? 『色や形は正に美しい。が、
畢竟
(
ひっきょう
)
それだけだ』——これでは少しも桜の花を
貶
(
けな
)
したことにはなりません。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
漣が硯友社の
凋落
(
ちょうらく
)
した後までも依然として一方の雄を称しておるは
畢竟
(
ひっきょう
)
早くから硯友社
埒外
(
らちがい
)
の地歩を開拓するに努めていたからだ。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
静子は一生懸命に身を
踠
(
もが
)
いた。然しそれは
畢竟
(
ひっきょう
)
猫に捕えられた鼠の悲しい無駄な努力だった。浅田はジリ/\と彼女を羽交締めにした。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
野狐禅
(
やこぜん
)
的に悟り顔をすることで、自ら得意としているのだからたまらない、
畢竟
(
ひっきょう
)
彼等は、自然主義の精神を
履
(
は
)
きちがえているのである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
晩年近く、全く時代の
中枢
(
ちゅうすう
)
を離れ、
寂寥
(
せきりょう
)
の日々を送られたという帝は、
畢竟
(
ひっきょう
)
生涯を大伽藍のために燃焼しつくし給うたのであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
木
(
き
)
は
自分
(
じぶん
)
の
運命
(
うんめい
)
を
考
(
かんが
)
えましたけれど、わかりませんでした。そして、そんなことを
考
(
かんが
)
えることの、
畢竟
(
ひっきょう
)
むだだということを
知
(
し
)
ったのです。
曠野
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
過去の生活の精算をするというのが主要なことであって、その精算書を作るや否やは
畢竟
(
ひっきょう
)
従属的な、いわば方便上のことである。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
斯様
(
かよう
)
な考は、
畢竟
(
ひっきょう
)
私が山にのみ拘泥していて、高原を考えるにも山から離れて観察することを知らないからだと非難されても一言もない。
高原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
されば推古天皇の国書に、隋を指して
日没処
(
ひいるところ
)
とあることは、
畢竟
(
ひっきょう
)
古来の伝統によるクレの名を、別の文字を以て表わしたものに他ならぬ。
国号の由来
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
貴族が己れの都合によっては、下級の者と伍することをいとわぬのは、一見平民主義から来ている現象のごとくではあるが
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
其後、茂吉は長い万葉調の論を書いた。
畢竟
(
ひっきょう
)
其主張は、以前の、気魄強さに力点を置いたのから、転化して来たことを明らかにしている。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
もし藝術が自然の模倣、現象の再現であるとしたら、経験の世界から最もかけ離れて居る音楽は、
畢竟
(
ひっきょう
)
藝術でなくなる訳である。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今日意志が自由であると思うているのは、
畢竟
(
ひっきょう
)
未だ科学の発達が幼稚であって、一々この原因を説明することができぬ故である。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
しかし
畢竟
(
ひっきょう
)
するに、
吾人
(
ごじん
)
はくり返して言うが、本戦争のラッパは亀裂のはいった音をしか出さなかった。その全体は
曖昧模糊
(
あいまいもこ
)
としていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
マイナイソースや外のソースを一々拵らえるのは大層面倒のようにいう人がありますけれども
畢竟
(
ひっきょう
)
馴
(
な
)
れないから面倒に思うので
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
恋は
畢竟
(
ひっきょう
)
するにその
巷
(
ちまた
)
の
辻
(
つじ
)
に
彷徨
(
ほうこう
)
する者だけに、
談
(
かた
)
らしめておいてもよいような、小さなまた簡単な問題ではなかったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
洋学の知識というものも、
畢竟
(
ひっきょう
)
ずるに、金を儲けるか儲けないかのために必要なので、それ以外には、てんであの女の頭にない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
日のたつうちに、この怪しい子供の身の上が次第にわかって来ました、と言うのは、
畢竟
(
ひっきょう
)
私が気をつけて見たり聞いたりしたからでしょう。
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それまでのすべての気強さは——
畢竟
(
ひっきょう
)
、それはいつかは男に逢えると思っての上での気強さであった。——女はもう以前の女ではなかった。
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
両者
各
(
おのおの
)
理あり、各
非理
(
ひり
)
ありて、
争鬩
(
そうげい
)
則
(
すなわ
)
ち起り、各
情
(
じょう
)
なく、各真情ありて、戦闘則ち生ぜるもの、今に於て
誰
(
たれ
)
か
能
(
よ
)
く其の是非を判せんや。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
前将軍の早世も
畢竟
(
ひっきょう
)
この人あるがためだとして、慶喜を目するに家茂の
敵
(
かたき
)
であると思う
輩
(
やから
)
は幕府内に少なくないばかりでなく
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
惟
(
おも
)
うに人類とともに旧き霊魂不滅説なども
畢竟
(
ひっきょう
)
耳にかそけく、目にも見分かぬ雨の類であろうか。エクート・シル・プルー!
雨の日
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
だから、未来にどうなってゆくかが予知せられないというのは、
畢竟
(
ひっきょう
)
、如何に意志してゆくようになるかが予知せられないということである。
歴史の矛盾性
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
それは小泉氏が真正のヒガンザクラであるべき正統品をヨー認識せずして前にはこれをコヒガンザクラと称えて見たり
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
、これはみな大塔ノ宮の背後力によるものと人は察した。高氏もそう解した。
直義
(
ただよし
)
、師直らは、うすら笑って、
歯牙
(
しが
)
にもかけぬ風だった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
句の
良
(
よ
)
し
悪
(
あ
)
しも
畢竟
(
ひっきょう
)
、作者の心にあるのであります。作者の心が
奥床
(
おくゆか
)
しい心であれば自然に奥床しく映じ、奥床しく諷詠するようになります。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
地方分権に基礎をおく幕府的統一——水戸派尊攘の提唱はその主観いかんにかかわらず、新たな革命的内容を転生しなければならなかった。
尊攘戦略史
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
アンセルムスは、
類
(
るい
)
概念を実在であると見る立場に基づいて、
三位
(
さんみ
)
は
畢竟
(
ひっきょう
)
一体の神であるという正統派の信仰を擁護した。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
実現して
眼
(
ま
)
のあたり見た上でない以上やはり内心不安であり、空虚である。
畢竟
(
ひっきょう
)
だれにでもある単なるうぬぼれ、架空の幻影ではないかと疑う。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
現代立法の不備——
汝
(
なんじ
)
が頭痛を覚えたのは、
畢竟
(
ひっきょう
)
われ等が、あまりに多量の力を用い、しかもそれが、あまりに急激に行われたことに基因する。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
又思うと
畢竟
(
ひっきょう
)
秀子の心が清いから打ち明けたのだ、堅く自分の潔白を信じ、縦し疑われても危険はないと全く安心をして居るのだ、イヤ本来が
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
物を隠すというのも
畢竟
(
ひっきょう
)
主従
(
しゅうじゅう
)
という
隔
(
へだ
)
てがあって、己は旦那様と云われる身分だから、手前の方でも己を主人と思えば、
軽卒
(
けいそつ
)
の取扱いも出来ず
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かかる事をいう人は
畢竟
(
ひっきょう
)
「美」を知らぬ人で画家ではなく、うまく行って日本画具使用法改良研究者に属する人である。
想像と装飾の美:それを持つ特殊の個性によって生かさるべし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
天才とは
畢竟
(
ひっきょう
)
創造力の意にほかならぬ。世界の歴史はようするに、この自主創造の猛烈な個人的慾望の、変化極りなき消長を語るものであるのだ。
初めて見たる小樽
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
“畢竟”の意味
《名詞》
(仏教)究極。最終。絶対。
《形容動詞》
結局。つまるところ。
(出典:Wiktionary)
畢
漢検準1級
部首:⽥
11画
竟
漢検1級
部首:⽴
11画
“畢竟”で始まる語句
畢竟浄
畢竟落寞
畢竟誇大妄想病者