深林しんりん)” の例文
にぶ砂漠さばくのあちらに、深林しんりんがありましたが、しめっぽいかぜく五がつごろのこと、そのなかから、おびただしいしろ発生はっせいしました。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小木せうぼくえだ諸共もろともたほして猛進まうしんするのであるから、如何いかなる險山けんざん深林しんりんくわいしても、まつた進行しんかう停止ていしせらるゝやうなうれひはないのである。
竹童ちくどうはヒラリと身をかえして、また以前いぜんのお花畑はなばたけから陣馬じんばはらけぬけて、愛鷲あいしゅうクロをっておく深林しんりんのくぼへ走りこんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとり坐幽篁裏ゆうこうのうちにざし弾琴きんをだんじて復長嘯またちょうしょうす深林しんりん人不知ひとしらず明月来めいげつきたりて相照あいてらす。ただ二十字のうちにゆう別乾坤べつけんこん建立こんりゅうしている。この乾坤の功徳くどくは「不如帰ほととぎす」や「金色夜叉こんじきやしゃ」の功徳ではない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
併し既に営まれている二十に近い開墾小屋は、とても他人を容れる余地を持たない、いずれも小さなものばかりだった。彼等は開墾場に近い深林しんりんの中に枯れ木を焚いて一夜を明かした。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
びた深林しんりん背景はいけいに、何と云う好調和こうちょうわであろう。彼等アイヌはほろび行く種族しゅぞく看做みなされて居る。然し此森林しんりんに於て、彼等はまさあるじである。眼鏡めがねやリボンの我等は畢竟ひっきょう新参しんざん侵入者しんにゅうしゃに過ぎぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
千古斧鉞ふゑつの入らないやうな深林しんりんが、人間の知識や感情では何うしても入つて行くことの出来ないやうな境があることを言つたが、さういふ境であるにも拘らず、作者はよくそこに入つて行つては
小説新論 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
それよりして奥入瀬川おいらせがは深林しんりん穿うがつてとほる、激流げきりう飛瀑ひばく碧潭へきたんの、いたところに、松明たいまつごとく、ともしびごとく、ほそくなりちひさくなり、またひらめきなどして、——くち湖畔こはんまでともなつたのは、この焚火たきび
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この深林しんりんを背景に、重太郎は無言の俳優やくしゃとして舞台に立っていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼方かなた山背やまかげからぞろ/\とあらはれてたが、鐵車てつしやるやいな非常ひじやう驚愕おどろいて、奇聲きせいはなつて、むかふの深林しんりんなかへとせた。
自分じぶんたちのまれた、故郷こきょう深林しんりんをふたたびかすめてび、さらに、くるは、にぶ砂漠さばくして、とおくまでいったのでありました。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……奥入瀬おいらせ深林しんりんを一ところ岩窟いはむろはいおもひがした。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、こんなに、みんながこの深林しんりん見捨みすてて、出発しゅっぱつしたあとにも、二十や、三十のは、みんなといっしょにゆかずにあとにとどまりました。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
る/\うちそのかたち一團いちだんとなつて、深林しんりんなかえずなつた。稻妻いなづまはたしてよくこの大使命だいしめいはたこと出來できるであらうか。