斷然だんぜん)” の例文
新字:断然
もつとも、あれでしどつちかが斷然だんぜんつよくでもなつたとしたら、おそらくすゝまぬ方は憤然ふんぜん町内をつてつたかも知れない。くは原、くは原!
日本人にほんじん歐文おうぶん場合ばあひ、この慣例くわんれい尊重そんちようして、せうよりだいるのは差支さしつかへないが、そのうち固有名こいうめい斷然だんぜんいぢくられてはならぬ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
その斷然だんぜんたる樣子やうすと、そのにぎこぶしちひさゝと、これはんして主人しゆじん仰山ぎやうさんらしくおほきな拳骨げんこつが、對照たいせうになつてみんなわらひいた。火鉢ひばちはたてゐた細君さいくん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わづか收入しうにふはゝ給養きふやうにもきようせねばならず、かれつひ生活せいくわつにはれず、斷然だんぜん大學だいがくつて、古郷こきやうかへつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
翌日よくじつ同志達どうしたちみんなから醵金きよきんした入院料にふゐんれうつて、彼女かのぢよ屍體したいりにた。すると、黒衣こくいばうさんたちが、彼女かのぢよ周圍しうゐいたが、K斷然だんぜんそれを拒絶きよぜつした。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
〔評〕南洲城山にる。官軍さくゑて之を守る。山縣やまがた中將書を南洲に寄せて兩軍殺傷さつしやうさん極言きよくげんす。南洲其の書を見て曰ふ、我れ山縣にそむかずと、斷然だんぜん死にけり。
煙草入たばこいれ虚空からであつた。かれ自分じぶん體力たいりよく滅切めつきりへつ仕事しごとをするのにかなくなつて、小遣錢こづかひせん不足ふそくかんじたとき自棄やけつたこゝろから斷然だんぜんそのほどすき煙草たばこさうとした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
雪三せつざう斷然だんぜんことはり申す御歸邸ごきていのうへ御前体ごぜんていよろしくおほげられたしといひはなてば、おぼせあらんとはぞんぜしなり、しからば聟君むこぎみとしてはむかへさせたまはずやといふ、いなとよかく御身分柄ごみぶんがらつりはず
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)