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憂慮
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きづか
ふりがな文庫
“
憂慮
(
きづか
)” の例文
とこういうべき
暇
(
いとま
)
あらず、我に
復
(
かえ
)
るとお杉も
太
(
いた
)
くお若の身を
憂慮
(
きづか
)
っていたので、飛立つようにして三人奥の
室
(
ま
)
へ飛込んだが、
噫
(
ああ
)
。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とばかりで重そうな
頭
(
つむり
)
を上げて、
俄
(
にわ
)
かに黒雲や起ると思う、
憂慮
(
きづか
)
わしげに仰いで
視
(
なが
)
めた。空ざまに目も
恍惚
(
うっとり
)
、
紐
(
ひも
)
を
結
(
ゆわ
)
えた
頤
(
おとがい
)
の震うが見えたり。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
忠實
(
まめやか
)
に
事
(
つか
)
へたる
何某
(
なにがし
)
とかやいへりし
近侍
(
きんじ
)
の
武士
(
ぶし
)
、
君
(
きみ
)
を
思
(
おも
)
ふことの
切
(
せつ
)
なるより、
御身
(
おんみ
)
の
健康
(
けんかう
)
を
憂慮
(
きづか
)
ひて、
一時
(
あるとき
)
御前
(
ごぜん
)
に
罷出
(
まかりい
)
で
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
こりゃ途中で暗くならなければ
可
(
い
)
いが、と山の陰がちと
憂慮
(
きづか
)
われるような日ざしになった。それから急いで引返したのよ。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二三日来、小親われを見ては
憂慮
(
きづか
)
いて、かくは問うたりき。心なく言うべきことにあらねば語らでありしが、この
夜
(
よ
)
は
渠
(
かれ
)
とわれとのみ、
傍
(
かたわら
)
に人なき
機
(
おり
)
なり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
という医学士の声がしたは、お夏が、愛吉を
憂慮
(
きづか
)
って、立とうとして、酔ってるからよろけたんだそうでがす。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
(
ひと
)
つは
村里
(
むらざと
)
に
近
(
ちかづ
)
いたと
思
(
おも
)
ふまゝに、
里心
(
さとごころ
)
がついて、
急
(
きふ
)
に
人懷
(
ひとなつ
)
かしさに
堪
(
た
)
へないのと、
一
(
ひと
)
つは、
水
(
みづ
)
のために
前途
(
ゆくて
)
を
絶
(
た
)
たれて、
渡
(
わた
)
るに
橋
(
はし
)
のない
憂慮
(
きづか
)
はしさとである。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
全体を通じて思い合さるる事ばかりであるが、
可
(
よ
)
し、それもこれも判事がお米に対する心の秘密とともに胸に秘めて何事も
謂
(
い
)
わず、ただ
憂慮
(
きづか
)
わしいのは女の身の上
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お蔦さえ、
憂慮
(
きづか
)
うよりむしろ
口惜
(
くやし
)
がって、ヤイヤイ騒ぐから、主税の、とつおいつは一通りではない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いわゆる口説いて
刎
(
は
)
ねられたと云う恋人に、しかも同じ
夜
(
よ
)
。突落された丸木橋の
流
(
ながれ
)
に逆らって出逢ったのである。葛木は次の瞬間を
憂慮
(
きづか
)
って、靴の先から冷くなった。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
面
(
おもて
)
を上げて、金之助は今もその音や聞ゆる、と
背後
(
うしろ
)
を
憂慮
(
きづか
)
うもののごとく、不安の色を
湛
(
たた
)
えつつ
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
肩の
辺
(
あたり
)
に
負
(
おわ
)
れかかりて、茶褐色の犬一頭、飼主の病苦を
憂慮
(
きづか
)
いてそを
看護
(
みと
)
らんと勤むるごとし。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
拓の
打侘
(
うちわ
)
びたる
言
(
ことば
)
を聞いて、
憂慮
(
きづか
)
わしげにその顔を見上げたが、勇気は
己
(
おの
)
が
面
(
おもて
)
に
溢
(
あふ
)
れつつ
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
火沙汰を
憂慮
(
きづか
)
って、行燈で寝るほど、小心な年寄。ことに女
主人
(
あるじ
)
なり、忘れてもこんな事は、とそこで何か急に恐くなったか、
密
(
そっ
)
とあけて見ると良い月夜、式部小路は一筋
蒼
(
あお
)
い。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
晃 君に背中を
敲
(
たた
)
かれて、僕の夢が覚めた処で、東京に帰るかって
憂慮
(
きづか
)
いなんです。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
富士河
(
ふじがは
)
の
船
(
ふね
)
も
寄
(
よ
)
せ
難
(
がた
)
し。はぐくみ
參
(
まゐ
)
らす
三度
(
さんど
)
のものも、
殿
(
との
)
の
御扶持
(
ごふち
)
を
賜
(
たま
)
はりて、
鶴
(
つる
)
が
虚空
(
こくう
)
を
運
(
はこ
)
びしかば、
今
(
いま
)
は
憂慮
(
きづか
)
ふ
事
(
こと
)
なし? とて、
年月
(
としつき
)
を
經
(
ふ
)
る
夜毎々々
(
よごと/\
)
、
殿
(
との
)
は
美
(
うつく
)
しき
夢
(
ゆめ
)
見
(
み
)
ておはしぬ。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
はい、屋根も
憂慮
(
きづか
)
われまする……この二三年と申しとうござりまするが、どうでござりましょうぞ。五月も半ば、と申すに、
北風
(
ならい
)
のこう
烈
(
はげ
)
しい事は、十年
以来
(
このかた
)
にも、ついぞ覚えませぬ。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
陸近
(
くがぢか
)
なれば
憂慮
(
きづか
)
いもなく、ただ景色の
好
(
よ
)
さに、ああまで恐ろしかった
婆
(
ばば
)
の家、
巨刹
(
おおでら
)
の
藪
(
やぶ
)
がそこと思う
灘
(
なだ
)
を、いつ漕ぎ抜けたか忘れていたのに、何を考え出して、また今の
厭
(
いな
)
な年寄。……
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
顔をあげてぞ見たる、何をか思える、小親の、
憂慮
(
きづか
)
わしげなる
面色
(
おももち
)
なりしよ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
室内のこの人々に
瞻
(
みまも
)
られ、室外のあのかたがたに
憂慮
(
きづか
)
われて、
塵
(
ちり
)
をも数うべく、明るくして、しかもなんとなくすさまじく侵すべからざるごとき観あるところの外科室の中央に据えられたる
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
石沙無人
(
せきさむにん
)
の
境
(
きやう
)
の、
家
(
いへ
)
となり、
水
(
みづ
)
となり、
田
(
た
)
となり、
村
(
むら
)
となつた、いま
不思議
(
ふしぎ
)
な
境
(
きやう
)
にのぞみながら、
古間木
(
こまき
)
よりして
僅
(
わづか
)
に五
里
(
り
)
、あとなほ十
里
(
り
)
をひかへた——
前途
(
ゆくて
)
の
天候
(
てんこう
)
のみ
憂慮
(
きづか
)
はれて、
同伴
(
つれ
)
に
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お米は——幽霊と聞いたのに——ちょっと眉を
顰
(
ひそ
)
めて、蛇、蝮を
憂慮
(
きづか
)
った。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうでもない、世間じゃ余計な
風説
(
うわさ
)
をしている折からだから
憂慮
(
きづか
)
わしい。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ある者は
憂慮
(
きづか
)
わしげに、はたある者はあわただしげに、いずれも顔色穏やかならで、
忙
(
せわ
)
しげなる小刻みの
靴
(
くつ
)
の音、
草履
(
ぞうり
)
の響き、一種
寂寞
(
せきばく
)
たる病院の高き天井と、広き建具と、長き廊下との間にて
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何の話? と声のはげしいのを
憂慮
(
きづか
)
って、階子段の下でそっと聞くと、縁談でございますよ、とお源の答えに、ええ、旦那の、と湯上りの
颯
(
さっ
)
と上気した顔の色を変えたが、いいえ、河野様が御自分の
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と促がされても立ちかねる、主税は後を
憂慮
(
きづか
)
うのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
附け景気の広言さえ、清葉は
真面目
(
まじめ
)
に
憂慮
(
きづか
)
うらしく
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“憂慮”の意味
《名詞》
憂慮(ゆうりょ)
心配すること。
(出典:Wiktionary)
憂
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
慮
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“憂慮”で始まる語句
憂慮気