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悍馬
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かんば
ふりがな文庫
“
悍馬
(
かんば
)” の例文
但し
弾機
(
ばね
)
一個不足とか、生後十七年、灰色の
斑
(
ぶち
)
ある若き
悍馬
(
かんば
)
とか、ロンドンより新荷着、
蕪
(
かぶ
)
および大根の種子とか、設備完全の別荘
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
そこで、ピシリッとまた一
鞭
(
むち
)
、
悍馬
(
かんば
)
をあおッた竹屋三位は、
菜種
(
なたね
)
の花を蹴ちらして、もうもうと皮肉な砂煙を啓之助に残して行った。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悍馬
(
かんば
)
足曳
(
あしびき
)
に三人鈴なりの
体
(
てい
)
、
雑沓
(
ざっとう
)
の護摩堂付近へ馬を乗り入れたとき、ちょうど群集を斬りはらいながらたち現われた左膳と、バッタリ——。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
勇猛な一人の
騎士
(
カバレロ
)
が槍を持って
悍馬
(
かんば
)
に
跨
(
また
)
がり、おなじく勇猛なる
牡牛
(
トウロス
)
に単身抗争してこれを
斃
(
たお
)
すのがその常道だった。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
やんわりとした髪の毛の
撫
(
な
)
で心地、………そしておりおり
洩
(
も
)
れて来るほのかな
囁
(
ささや
)
き、………長い間
悍馬
(
かんば
)
のようなナオミの
蹄
(
ひづめ
)
にかけられていた私には
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
菊之助のために、かなりの金を遺してあることを知ってからは、
悍馬
(
かんば
)
のようなお粂を
宥
(
なだ
)
め宥め、越前屋に帰って来て、店の仕事を手伝っていたのです。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それからラウズ訳『
仏本生譚
(
ジャータカ
)
』に、仏前生かつてビナレスの梵授王に輔相たり。王の性貪る。
悍馬
(
かんば
)
を飼いて大栗と名づく。北国の商人五百馬を伴れ来る。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
悍馬
(
かんば
)
の女将軍女軽業興行師のパリパリに乗替えたが、こいつが意外に道草を食いはじめて、自分よりは藤原の伊太夫なにがしという財閥へ附きっきりで
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
長年のうちに、
悍馬
(
かんば
)
のようなエステル夫人をなだめるコツをすっかり会得してしまったらしい。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それらのページのうちには、
悍馬
(
かんば
)
、剣、
戦
(
いくさ
)
の叫び、勝利の
驕慢
(
きょうまん
)
、などが含まれていたのである。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
少し位の
悍馬
(
かんば
)
でも峠位は差支えなかろうが、
後
(
あと
)
の三人と来ては、生まれて以来、しみじみ馬背の厄介になった事すらない人間だ。物好き連とはいいながら、多少
剣呑
(
けんのん
)
である。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
悍馬
(
かんば
)
を慣らす
顛末
(
てんまつ
)
は、もちろん編集の細工が多分にはいってはいるであろうが、あばれるときのあばれ方はやはりほんとうのあばれ方で
寸毫
(
すんごう
)
の芝居はないから実におもしろい。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
間柄助次郎、そのひと声に、
刺輪
(
しりん
)
で蹴られた
悍馬
(
かんば
)
のように、もう、前後の見境もなく
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
気持が先走りして、あたかもそれは、私が
鞍
(
くら
)
から落ちたのにかまわず
疾駆
(
しっく
)
する
悍馬
(
かんば
)
のようで、私は、それから離れまいと手綱を握ってずるずると地べたを
曳
(
ひ
)
きずり回されている感じであった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
巨大な
体躯
(
たいく
)
とたくましい健康とを持った一砲兵士官が、
悍馬
(
かんば
)
から振りおとされて頭部に重傷を負い、すぐ人事不省に陥った。
頭蓋骨
(
ずがいこつ
)
が少し破砕されたのであるが、べつにさし迫った危険もなかった。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
「いや今日は違うんですよ、剣術もやったし、弓は五寸の的を二十八間まで延ばしたし、馬は木曽産の
黒
(
あお
)
で、まだ乗った者がないという
悍馬
(
かんば
)
をこなしましたがね、それはそれとして話はべつなんです」
雨あがる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
運転手は
悍馬
(
かんば
)
を
乗鎮
(
のりしず
)
めるが如くに腰を切って、
昂然
(
こうぜん
)
として
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
悍馬
(
かんば
)
のような鼻息で、女はひきあげた。
安吾巷談:06 東京ジャングル探検
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
備中守から、一通の書付をとると、左近将監は、ふたたび
悍馬
(
かんば
)
に鞭を打って、真一文字に、南町奉行所の正面のまえまで走って来た。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わが邦にも『
小栗判官
(
おぐりはんがん
)
』の
戯曲
(
じょうるり
)
(『新群書類従』五)に、横山家の
悍馬
(
かんば
)
鬼鹿毛
(
おにかげ
)
は、
毎
(
いつ
)
も人を
秣
(
まぐさ
)
とし食うたとある。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
鋭い隻眼が雨中の戸外に走っているうちに、しだいに左膳の頬は皮肉自嘲の笑みにくずれて来て、突然かれは、いななく
悍馬
(
かんば
)
のごとくふり仰いで哄笑した。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ここを出て地獄茶屋でひと休み
息
(
やす
)
んでいると、
只事
(
ただごと
)
ならぬ叫び声が聞える。スワ何事の
出来
(
しゅったい
)
と、四人一度に飛び出す。見れば一頭の
悍馬
(
かんば
)
谷川へ
陥
(
お
)
ちて今や押し流されんず有様。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
タヌもようやく
焦燥気味
(
あせりぎみ
)
で、あちらを
捻
(
ひね
)
り、こちらを押すが、商会はアリゾナの野における
悍馬
(
かんば
)
のように、ただ後足でぴょんぴょん跳ねくるばかり、一向に
埓
(
らち
)
があく様子もない。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
フトした事から、先代の總七が、菊之助の爲に、かなりの金を遺してあることを知つてからは、
悍馬
(
かんば
)
のやうなお粂を
劬
(
なだ
)
め/\、越前屋に歸つて來て、店の仕事を手傳つて居たのです。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして体臭と
悍馬
(
かんば
)
と喚声と
溌剌
(
はつらつ
)
とが原色の大洋のように密集して、そいつが世にも
大々的
(
スマッシング
)
な
上機嫌
(
ハイ・スピリト
)
のもとに一つに団結して跳躍する、動揺する、哄笑する、乱舞する——何のことはない
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
駈けても駈けても
焔
(
ほのお
)
の林だ。山も焼け水も煮え立っている。それに絶えず灰が雨の如く降ってくるので、
悍馬
(
かんば
)
はなおさら暴れ狂う。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悍馬
(
かんば
)
のごとく
逸
(
はや
)
って、こりゃ鞘当てもしかねますまいて。ははははは、いや、どうせのことに、ちょっと拝見せずにはおられぬ。(懐紙を口に
銜
(
くわ
)
え、いずまいを正して播磨守に目礼)
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
広目
(
こうもく
)
二天が悪鬼毒竜をふみ、
小栗
(
おぐり
)
判官
(
はんがん
)
、
和藤内
(
わとうない
)
が
悍馬
(
かんば
)
猛虎に
跨
(
またが
)
るごとく、ガネサに模し作られた大黒天は初め鼠を踏み、次に乗る所を像に作られたが、厨神として台所荒しの鼠を制伏するの義は
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
悍馬
(
かんば
)
を御して牛の周囲を駈けめぐってる。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
何かしらぎょッとしたものを受けたらしく、邢道栄が
悍馬
(
かんば
)
の脚を不意に止めると、車上の人は、手の白羽扇をあげてさしまねきながら
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気骨
凌々
(
りょうりょう
)
たる
眉宇
(
びう
)
と里見無念流の剣法に鍛えた五体とがきりりと締まって、年よりは二つ三つふけても見えようが、病み上がりとはいえ、
悍馬
(
かんば
)
のようなはなやかさが身辺にあふれているから
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あげての、人間の悪さ競べにならねばよいが、武者所など、さしずめ、
悍馬
(
かんば
)
、
奔馬
(
ほんば
)
、じゃじゃ馬などの、集まり所。……こわいのう
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
唖然
(
あぜん
)
としていた泰軒と栄三郎が耳ちかく
悍馬
(
かんば
)
のいななきを聞いたのは。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
戟の光を見ても、
悍馬
(
かんば
)
のいななきを聞いても、その眼や耳は、おどろきを失っていた。恐怖する知覚さえ
喪失
(
そうしつ
)
している飢民の群れだった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、空を
搏
(
う
)
ってうろたえた
悍馬
(
かんば
)
や猛兵が、むなしく退き戻ろうとするとき、一発の
轟音
(
ごうおん
)
を合図に、四面の
伏勢
(
ふせぜい
)
がいちどに起って
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし彼を乗せた
悍馬
(
かんば
)
はいくたびとなく歩兵を蹴ちらし、槍ぶすまを突破して、見るまに郊外十里の外まで
彗星
(
すいせい
)
のように飛び去ッていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「気早の御大将、何かは
猶予
(
ゆうよ
)
のあるべき。
悍馬
(
かんば
)
にまかせて真っ先に進まれ、もうわれらは二里の余もうしろに捨てられている」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後閑
(
ごかん
)
の間道から風戸峠へと、やがて、
悍馬
(
かんば
)
は死にもの狂いでのぼってゆく。——一面の鏡のように、やがて遙かに
榛名
(
はるな
)
の
湖
(
うみ
)
が見えてくると
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その駈ける砂塵の中に、留守の衆は、蹄をあげてゆく
悍馬
(
かんば
)
と、その上にある老公のすがたとを、もう遠くに去ってから初めて見出している。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてしばらくは参謀室のほうに心をひかれているふうだったが、突然、
厩
(
うまや
)
の手綱を断った
悍馬
(
かんば
)
のように、鎮台の丘から下へ向って駈け出した。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
清洲の城下から
鳴海
(
なるみ
)
街道のほうへ向って、一頭の
悍馬
(
かんば
)
が、闇を衝いて駈けていた。重傷を負ったまま、山淵右近は、その鞍の上にしがみついていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
門前町の辻まで、向う見ずに飛ばして来た一騎の
悍馬
(
かんば
)
は、四つ辻の角を固めていた
士
(
さむらい
)
の長槍で、いきなり脚を払われて、
竿立
(
さおだ
)
ちになって暴れまわった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あぶなく、
悍馬
(
かんば
)
に蹴られるところであった人影は、城下から一散に旅川周馬を追ッかけてきた、お十夜であった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天慶
(
てんぎょう
)
の昔——つくり話にちがいないが——
平
(
たいら
)
の
将門
(
まさかど
)
と藤原
純友
(
すみとも
)
というどっちも野放しの
悍馬
(
かんば
)
みたいな野望家が
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あまたの若侍と一緒に、徳島城の大手から津田の浜へ、
悍馬
(
かんば
)
をとばしてゆく重喜の姿をよく見かける。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大人
(
おとな
)
げない飾り物だ——と日頃からいっていて、戦場に出ると、つねに、路傍の笹の枝を切って、無造作に、よろいの背に差し、
悍馬
(
かんば
)
を
馳駆
(
ちく
)
して働きまわるところから
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蔡瑁は、玄徳が逃げたあとで、番兵から急を聞くと、すぐ
悍馬
(
かんば
)
を励まして追いかけてきたが、すでに玄徳の姿は対岸にあって、眼前の檀渓にただ身を寒うするばかりだった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのとき
羗
(
きょう
)
の
越吉元帥
(
えつきつげんすい
)
は、手に
鉄槌
(
てっつい
)
をひっさげ、腰に
宝鵰
(
ほうちょう
)
の弓をかけ、
悍馬
(
かんば
)
をとばして陣頭にあらわれ、羗の射撃隊は弓をならべて
黒鵰
(
くろたか
)
の矢を宙も
晦
(
くら
)
くなるほど射つづけてくる。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悍馬
(
かんば
)
は悍馬と
絡
(
から
)
みあって先を争い、槍隊は槍隊で、穂先一尺を争って駈け出してゆく。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鼻さきを
揃
(
そろ
)
えた
悍馬
(
かんば
)
の
群
(
む
)
れは、すさまじい武者声を乗せて敵の正面へぶつかってゆく。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“悍馬”の意味
《名詞》
気性が荒く御しがたい馬。
(出典:Wiktionary)
悍
漢検1級
部首:⼼
10画
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
“悍”で始まる語句
悍気
悍
悍勇
悍婦
悍悪
悍戻
悍強
悍然
悍驁
悍気立