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強請
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ゆすり
ふりがな文庫
“
強請
(
ゆすり
)” の例文
「
強請
(
ゆすり
)
や、押借じゃ無い、人形を返して貰い度い、主人にそう言ってくれ、彫物師の松本鯛六が、あの人形を受け取りに来た——と」
新奇談クラブ:06 第六夜 人形の獄門
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ先方はどこまでも
下手
(
したで
)
に出る手段を主眼としているらしく見えた。不穏の言葉は無論、
強請
(
ゆすり
)
がましい様子は
噫
(
おくび
)
にも出さなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その隠れ家へ時々に押し掛けて行って、云わば一種の
強請
(
ゆすり
)
のように、なんとか彼とか名を付けてジョージから金を引き出していました。
半七捕物帳:52 妖狐伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
舞台の芸に心を刻み、骨を砕き、ひたすら、一流を立て抜こうとする芸人と、押し借り
強請
(
ゆすり
)
の悪浪人と、
何方
(
どっち
)
が恥ずべき境涯なのだ——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
袁紹は、弟の
強請
(
ゆすり
)
がましい恩賞の要求に、腹を立てたか、一匹の馬も送ってよこさないばかりか、それについての返辞も与えなかった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
それア僕は乞食には乞食だ、が、普通の乞食とは少々格が違ふ。ナニ、
強請
(
ゆすり
)
だんべいツて? ヨシ/\、何でも可いから、兎に角其手紙を
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「お澄さん……私は見事に
強請
(
ねだ
)
ったね。——強請ったより
強請
(
ゆすり
)
だよ。いや、この時刻だから強盗の
所業
(
わざ
)
です。しかし
難有
(
ありがた
)
い。」
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
叔父の定次郎は其後もチョイ/\支倉の家へ
強請
(
ゆすり
)
に行ったらしい。小林貞が病院へ行く途中から姿を消したのはそれから間もなくであった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
強請
(
ゆすり
)
かたりに似たようなことを、二、三の悪友と組んでやって、今日まで食いつないで来たのであったが、それも最近いきついてしまった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「御当家の御親類のお
娘子
(
むすめご
)
をお連れ申しただけのことで、それを
強請
(
ゆすり
)
かなんぞのように
銭金
(
ぜにかね
)
で追っ払いなぞは恐れ入ります」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
強請
(
ゆすり
)
かな」という一語がつづいた。が、その時女はヒョッコリ肩越しに背後をふりかえってみて、今少しで倒れんばかりに吃驚したのである。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
所がお酒と女とで間もなく無一文とおなりになって、文夫様がお生れになった翌年、突然帰っていらして
強請
(
ゆすり
)
始めなすったのだそうでございます。
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
近ごろ京の町に見た人形という珍妙なる
強請
(
ゆすり
)
が
流行
(
はや
)
っているそうな、人形を使って因縁をつけるのだが、あれは文楽のからくりの仕掛けで口を動かし
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
押借
(
おしがり
)
、
強請
(
ゆすり
)
、
美人局
(
つつもたせ
)
と、あらゆる無頼の味を
嘗
(
な
)
めた、そして飽くことを知らぬ女の情慾のために、今では治る望みもない労咳を病む身となっている——。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
悪事がだんだん進歩していった市九郎は、美人局からもっと単純な、手数のいらぬ
強請
(
ゆすり
)
をやり、最後には、切取強盗を正当な稼業とさえ心得るようになった。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
木之助があけようとして手をかけた入口の
格子
(
こうし
)
硝子に「諸芸人、
物貰
(
ものもら
)
い、押売り、
強請
(
ゆすり
)
、一切おことわり、警察電話一五〇番」と書いた
判紙
(
はんし
)
が
貼
(
は
)
ってあった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
湧きかえるような掛け声をあびながら小団次が
強請
(
ゆすり
)
の
啖呵
(
たんか
)
を切っていると、桟敷の下で喧嘩がはじまった。
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ややともすれば
強請
(
ゆすり
)
がましい
凄味
(
すごみ
)
な態度を示すに引き比べて昔ながらの
脚半
(
きゃはん
)
草鞋
(
わらじ
)
に
菅笠
(
すげがさ
)
をかぶり
孫太郎虫
(
まごたろうむし
)
や
水蝋
(
いぼた
)
の
虫
(
むし
)
箱根山
(
はこねやま
)
山椒
(
さんしょ
)
の
魚
(
うお
)
、または
越中富山
(
えっちゅうとやま
)
の
千金丹
(
せんきんたん
)
と呼ぶ声。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其の車夫は以前長脇差の
果
(
はて
)
で、
死人
(
しびと
)
が
日数
(
ひかず
)
が
経
(
た
)
って腐ったのを
嗅
(
か
)
ぎ附け、
何
(
な
)
んでも死人に相違ないと
強請
(
ゆすり
)
がましい事を云い、三十両よこせと云うから、
止
(
やむ
)
を得ず金を渡し
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なにがしという赤新聞が
強請
(
ゆすり
)
に来て、記者の態度があまりに面白くなかったので断りを言ったら、「政界の
狒々爺
(
ひひじじい
)
」という題で、あること無いことを書いて居たが、しかし
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
「
其様
(
そん
)
なに隠さずとも好いだろう、相見互だもの、
己等
(
おいら
)
の付合も為てくれたって、好さそうなもんだ」など、嫌味を言って、
強請
(
ゆすり
)
がましいことを、愚図々々言ってますのです。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
その頭分たるものが、大きな神社・寺院や、豪族や、あるいは町方・村方などに付属して、警固の役目を受け持つ。火の番、泥坊の番、
強請
(
ゆすり
)
その他暴力団の追っ払い等のことに当たる。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
別に
強請
(
ゆすり
)
がましい
廉
(
かど
)
を持ち合せた様子もなし、どうしようかと相談中、そうこうするうち、今度手紙で書いて寄越した文面に依ると、何でもF——学園に一人の体操の女教員があって
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ずいぶんコマゴマしたことで、無駄な殺生をしたり、ケチな
強請
(
ゆすり
)
をするために大変な筋書を書く——というような奴が、ゴロゴロしていますから。そこへゆくと、あっしらのは
実業
(
ビジネス
)
で……
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「ちょうどいい、若旦那も往ってください、今、へんな壮士のような奴が二人来たので、旦那さまから呼びに来て往くところです、
貴方
(
あなた
)
も往ってください。きっと
強請
(
ゆすり
)
か何かだろうと思います」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
零下何度の大寒地獄じゃ。それに引換え表の通りは。光り輝やく玄関構えに。並ぶ自動車その数知れない。しかも富豪や名士の家庭の。秘密握っているのが強味じゃ。
強請
(
ゆすり
)
次第にお金が取れます。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
(註五)「
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
」はこの
間
(
あいだ
)
に伝吉の枡屋の娘を
誘拐
(
ゆうかい
)
したり、
長窪
(
ながくぼ
)
の
本陣
(
ほんじん
)
何某へ
強請
(
ゆすり
)
に行ったりしたことを伝えている。これも他の諸書に載せてないのを見れば、
軽々
(
けいけい
)
に
真偽
(
しんぎ
)
を決することは出来ない。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おっぱらわれたなんて、私は『
強請
(
ゆすり
)
』に行ったんやあらへんよ
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それは懇願といふものではなく、むしろ
強請
(
ゆすり
)
の激しさだつた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
二朱や一貫の
強請
(
ゆすり
)
を大きい事にして居る貝六に取って、七万両の世界は、何んと言う途方もない——想像を絶した境地だったでしょう。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それア僕は乞食には乞食だ、が、普通の乞食とは少々格が違ふ。ナニ、
強請
(
ゆすり
)
だんべいツて? ヨシ/\、何でも可いから、兎に角其手紙を
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さ、お客様たちは、どうぞあちらへ。……いや何でもありません、コソ泥です。かんかん虫のトムという小僧で、まいど、
強請
(
ゆすり
)
を
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしこの時代としては、これも
強請
(
ゆすり
)
の材料になる。主人が家来に殺された上に、その家に相続人が無いとすれば、福田の屋数は当然滅亡である。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これは悪い奴でございます、甲府の
御勤番衆
(
ごきんばんしゅう
)
の名を
騙
(
かた
)
って、ここの望月様という旧家へ
強請
(
ゆすり
)
に来たのでございます。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
不穏の言説を注ぎ込むかと思うと、他方田舎や農村へ入っては、一揆を起こさせたり指揮したりし、もっと下がった
輩
(
やから
)
になると押し借り
強請
(
ゆすり
)
、
誘拐
(
かどわかし
)
までやる
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女房は
年紀
(
とし
)
の功、
先刻
(
さっき
)
から愛吉が、お夏に対する挙動を察して、非ず。この
壮佼
(
わかもの
)
、
強請
(
ゆすり
)
でも、
緡売
(
さしうり
)
でも。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……恥を申さねばなりませんが、手前には、長一郎という長男がございましたが、これがいかにも
放蕩無頼
(
ほうとうぶらい
)
。いかがわしいものをかたらって町家へ
押借
(
おしかり
)
強請
(
ゆすり
)
に出かけます。
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
雨後
(
うご
)
の
筍
(
たけのこ
)
に似て立ち並び始めたバラック飲食店の
場銭
(
ばせん
)
と、
強請
(
ゆすり
)
とで酒と
小遣
(
こづかい
)
に不自由しなかった習慣は
一朝
(
いっちょう
)
にして脱することが出来ず、飲食店の閉鎖、
恐喝
(
きょうかつ
)
行為の強力な取締りと
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
「帰ってくれというのに帰らないのは穏かでない。それではまるで
強請
(
ゆすり
)
も同様だ。お前さんがいくら何と云っても僕の方では金を出すべき義務も理由もないのだから。駄目だよ。」
申訳
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
汝
(
われ
)
は
不届
(
ふとゞき
)
ものだ、手前の亭主はお構い者で、聞けば
商人
(
あきんど
)
や豪家へ入り、
強請
(
ゆすり
)
騙
(
かた
)
りをして衆人を苦しめると云う事は
予
(
かね
)
て聞いて
居
(
お
)
ったが、此の文治郎が本所に
居
(
お
)
る
中
(
うち
)
は
捨置
(
すてお
)
く訳にはいかん
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
予審廷へも度々呼び出されて、判事から辛辣な訊問をせられるし、附近の人々には嘲笑の眼で見られるし、それに弱味につけ込んで、親切ごかしに
騙
(
かた
)
りに来る者や、
強請
(
ゆすり
)
に来る者があった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「作る田がないから、東京へ来て
強請
(
ゆすり
)
をやってるだろう」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
押借り
強請
(
ゆすり
)
はやらないが、貸金の催促は名人で、刀を
捻
(
ひね
)
くり廻して、無理な金でも
挘
(
むし
)
り取って来るという、大変な二本差ですよ
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
御禁制の
布令
(
ふれ
)
が出ても出ても、岡場所に
隠
(
かく
)
し
売女
(
ばいた
)
は減らないし、富興行は
密
(
ひそ
)
かに
流行
(
はや
)
るし、
万年青
(
おもと
)
狂いはふえるし、
強請
(
ゆすり
)
や
詐欺
(
かたり
)
は横行するし
醤油仏
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうなると普通の
騙
(
かたり
)
りや
強請
(
ゆすり
)
ではない。ともかくも其の片袖は本物である。十両の礼金は鍋久が勝手にくれたのである。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
津軽侯の浪人司馬又助——などという
輩
(
やから
)
と押し廻り、
賭場
(
とば
)
へ行っては
賽
(
さい
)
をころがし、女郎屋や小料理屋へ出かけて行っては、
強請
(
ゆすり
)
がましく只で遊んだりした。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ことに
尾籠下品
(
びろうげひん
)
なのは、ある時、七人の手下と共に、ある商家を
強請
(
ゆすり
)
に行った時、金を貸さなければ
店前
(
みせさき
)
を汚すよといって、七人が七人、店前で尻をまくった。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それが為に斯ういう窮命をして居りますのに、そんな
強請
(
ゆすり
)
騙
(
かた
)
り見たような、へ…変な事を云っても三文も出来ませんへえ、手前が此処に居りますのは、吉原から左様な事を申してくるかと思って
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
強請
(
ゆすり
)
じゃが。
汝
(
きさま
)
、」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ときどき
強請
(
ゆすり
)
がましい事を申して来るため、家中の若侍は、こんど参ったら一刀両断にしてやると意気込んでいる有様じゃ。
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“強請”の意味
《名詞》
(きょうせい、ごうせい)無理に頼むこと。
「ゆすり」参照。
「もがり」参照。
(出典:Wiktionary)
強
常用漢字
小2
部首:⼸
11画
請
常用漢字
中学
部首:⾔
15画
“強請”で始まる語句
強請事
強請場
強請者
強請的
強請言