トップ
>
引返
>
ひつかへ
ふりがな文庫
“
引返
(
ひつかへ
)” の例文
然
(
さ
)
るにまた畳を
摺来
(
すりく
)
る
跫音
(
あしおと
)
聞
(
きこ
)
えて、物あり、予が
枕頭
(
ちんとう
)
に近寄る
気勢
(
けはひ
)
す、はてなと思ふ内に
引返
(
ひつかへ
)
せり。
少時
(
しばらく
)
してまた
来
(
きた
)
る、再び引返せり、三たびせり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あまりの
間拔
(
まぬ
)
けさに自分で自分にきまりわるく、すぐ
引返
(
ひつかへ
)
さうかと思つたけれど、どうせもう
後
(
おく
)
れたのだから、いつそ
文法
(
ぶんぽふ
)
の
時間
(
じかん
)
をすましてからにしようと
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
日曜の鐘を聞いて白いレエスの帽を
被
(
かぶ
)
つた
田舎
(
ゐなか
)
娘が幾人も聖書を手にし
乍
(
なが
)
ら
坂路
(
さかみち
)
を伏目
勝
(
がち
)
に
御
(
お
)
寺へ急ぐ姿も野趣に富んで居た。帰りには十分間に一度通る単線の電車に乗つて市内へ
引返
(
ひつかへ
)
して来た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
餘
(
あんま
)
りですから、
主人
(
あるじ
)
が
引返
(
ひつかへ
)
さうとした
時
(
とき
)
です……
藥賣
(
くすりうり
)
の
坊主
(
ばうず
)
は、
柄
(
え
)
のない
提灯
(
ちやうちん
)
を
高々
(
たか/″\
)
と
擧
(
あ
)
げて、
椎
(
しひ
)
の
樹
(
き
)
の
梢越
(
こずゑご
)
しに、
大屋根
(
おほやね
)
でも
見
(
み
)
るらしく、
仰向
(
あをむ
)
いて
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
しか
)
も、
若旦那
(
わかだんな
)
が
短銃
(
ピストル
)
を
持
(
も
)
つて
引返
(
ひつかへ
)
したのを
知
(
し
)
ると、
莞爾
(
くわんじ
)
として
微笑
(
ほゝゑ
)
んで、
一層
(
いつそう
)
また、
婦人
(
ふじん
)
の
肩
(
かた
)
を
片手
(
かたて
)
に
抱
(
いだ
)
いた。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
一
臺
(
だい
)
の
腕車
(
わんしや
)
二
人
(
にん
)
の
車夫
(
しやふ
)
は、
此
(
こ
)
の
茶店
(
ちやみせ
)
に
留
(
とゞ
)
まつて、
人々
(
ひと/″\
)
とともに
手當
(
てあて
)
をし、
些
(
ちつ
)
とでもあがきが
着
(
つ
)
いたら、
早速
(
さつそく
)
武生
(
たけふ
)
までも
其日
(
そのひ
)
の
内
(
うち
)
に
引返
(
ひつかへ
)
すことにしたのである。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おなじ
年
(
とし
)
、
冬
(
ふゆ
)
のはじめ、
霜
(
しも
)
に
緋葉
(
もみぢ
)
の
散
(
ち
)
る
道
(
みち
)
を、
爽
(
さわやか
)
に
故郷
(
こきやう
)
から
引返
(
ひつかへ
)
して、
再
(
ふたゝ
)
び
上京
(
じやうきやう
)
したのでありますが、
福井
(
ふくゐ
)
までには
及
(
およ
)
びません、
私
(
わたし
)
の
故郷
(
こきやう
)
からは
其
(
それ
)
から七
里
(
り
)
さきの
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
下坂
(
くだりざか
)
は、
動
(
うごき
)
が
取
(
と
)
れると、一
名
(
めい
)
の
車夫
(
しやふ
)
は
空車
(
から
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
直
(
す
)
ぐに
引返
(
ひつかへ
)
す
事
(
こと
)
になり、
梶棒
(
かぢぼう
)
を
取
(
と
)
つて
居
(
ゐ
)
たのが、
旅鞄
(
たびかばん
)
を
一個
(
ひとつ
)
背負
(
しよ
)
つて、
之
(
これ
)
が
路案内
(
みちあんない
)
で
峠
(
たうげ
)
まで
供
(
とも
)
をすることになつた。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一寸
(
ちよつと
)
苗屋さんと、窓から呼べば
引返
(
ひつかへ
)
すを、小さき木戸を開けて庭に通せば、
潜
(
くゞ
)
る時、笠を脱ぎ、若き男の目つき鋭からず、頬の
円
(
まろ
)
きが
莞爾莞爾
(
にこにこ
)
して、へい/\召しましと荷を下ろし、
穎割葉
(
かひわりば
)
の
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
虹
(
にじ
)
に
乘
(
の
)
つた
中年増
(
ちうどしま
)
を
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
へ
見失
(
みうしな
)
つたやうな、
蒋生
(
しやうせい
)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
顏色
(
がんしよく
)
で、
黄昏
(
たそがれ
)
かゝる
門
(
もん
)
の
外
(
そと
)
に、とぼんとして
立
(
た
)
つて
見
(
み
)
たり、
首
(
くび
)
だけ
出
(
だ
)
して
覗
(
のぞ
)
いたり、ひよいと
扉
(
とびら
)
へ
隱
(
かく
)
れたり、しやつきりと
成
(
な
)
つて
引返
(
ひつかへ
)
したり
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
返
常用漢字
小3
部首:⾡
7画
“引”で始まる語句
引
引込
引摺
引張
引掛
引籠
引立
引緊
引出
引越