座蒲團ざぶとん)” の例文
新字:座蒲団
原稿げんかうく、もちよくふではこぶので夢中むちうになつた、その夢中むちうましたこゑねこである、あら座蒲團ざぶとんすはつて、すましてゐる。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
たゞる、日本橋にほんばし檜物町ひものちやう藤村ふぢむら二十七疊にじふしちでふ大廣間おほひろま黒檀こくたん大卓だいたくのまはりに、淺葱絽あさぎろ座蒲團ざぶとんすゞしくくばらせて、一人ひとり第一番だいいちばん莊重さうちようひかへてる。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほのほしたをくゞるときは、手拭てぬぐひにて頭部とうぶおほふこと。手拭てぬぐひれてゐればなほよく、座蒲團ざぶとんみづひたしたものはさらによし。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
二三にんちひさな療治れうぢんで十二三のをとこ仕事衣しごとぎまゝな二十四五の百姓ひやくしやうはれて醫者いしやまへゑられた。醫者いしや縁側えんがはあかるみへ座蒲團ざぶとんいてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さも/\ちかねたといふふうにして、但馬守たじまのかみ座蒲團ざぶとんうへからひざした。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
しての肩縫かたぬひあげ可愛かはいらしき人品ひとがらなりおたかさま御覽ごらんなされ老人としよりなきいへらちのなさあにあにとてをとここと家内うちのことはとんと棄物すてもの私一人わたしひとりつもふもほんにほこりだらけで御座ございますとわらひていざな座蒲團ざぶとんうへおかまひあそばすなとしづごゑにおたかうやむやのむね關所せきしよたれに打明うちあけん相手あひてもなし朋友ともだちむつまじきもあれどそれは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
せきくばつた、座蒲團ざぶとんひとひとつのたくうへに、古色こしよくやゝ蒼然さうぜんたらむとほつする一錢銅貨いつせんどうくわがコツンと一個いつこにひらきをいて、またコツンと一個いつこ會員くわいゐんすうだけせてある。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
箱根土産はこねみやげの、更紗さらさちひさな信玄袋しんげんぶくろ座蒲團ざぶとんそば持出もちだして、トンといて
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
對向さしむかひに、一寸ちよいとせなひねつた、片手かたて敷辷しきすべらした座蒲團ざぶとんはしいて、すらりと半身はんしんつま内掻うちがい土間どまそろへた、二十はたちえた、白足袋しろたびで、これも勝色かついろいコートを姿すがたよくたが、おとうとよこにして
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)