年月ねんげつ)” の例文
僕は以前架上の書籍を買ひ入れた年月ねんげつの順にしるし、その書籍の持ち主の一生の変化を暗示あんじする小品を書いて見ようかと思つた。
蒐書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
新時代の女子の生活が芸術的幻想を誘起し得るまでには、まだまだ多くの年月ねんげつを経たのちでなければならぬ。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
御丈おんたけ三尺というのはない、小さな石仏いしぼとけがすくすく並んで、最も長い年月ねんげつ路傍みちばたへ転げたのも、倒れたのもあったでありましょうが、さすがにまたぐものはないと見えます。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
図らずお柳の懐妊の年月ねんげつが分ったので、幸兵衛が龜甲屋へ出入を初めた年月としつきたゞすと、懐妊した翌月よくつきでありますから、長二は幸兵衛のたねでない事は明白でございますが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
海底戰鬪艇かいていせんとうてい製造せいぞうには、きわめて細密さいみつなる設計せつけい出來できて、一人ひとり不足ふそくをもゆるさぬかはりに、一人ひとり増加ぞうかする必要ひつえうがないのです、ちやんと三十三めい水兵すいへいある年月ねんげつあひだはたらいて
此方こちらも会ふのが億劫おくゝふで、いつか/\と思ひながら、今だに着手ちやくしゆもせずにると始末しまつです、今日こんにちお話をるのはほん荒筋あらすぢで、年月ねんげつなどはべつして記憶きおくしてらんのですから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その年月ねんげつがどうしてわかるかといへば、ゑつけた記録きろくによるほかには、よこつて、生地きじてゐるまるいくつもかさなつてゐるそのきめすうかぞへてみるとわかるのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
そうじて他人たにん艱難かんなんたいしては、事務上じむじやう職務上しよくむじやう關係くわんけいつてゐる人々ひと/″\たとへば裁判官さいばんくわん警官けいくわん醫師いし、とかとふものは、年月ねんげつ經過けいくわするとともに、習慣しふくわんつてつひには其相手そのあいて被告ひこく
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
渋江氏が亀沢町に来る時、五百はまた長尾一族のために、もと小家こいえを新しい邸にうつして、そこへ一族をすまわせた。年月ねんげつつまびらかにせぬが、長尾氏の二女の人に嫁したのは、亀沢町に来てからの事である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかし年月ねんげつはこの厭世えんせい主義者をいつか部内でも評判のい海軍少将の一人に数えはじめた。彼は揮毫きごうすすめられても、滅多めったに筆をとり上げたことはなかった。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大佐たいさこゝろでは、吾等われら兩人ふたり意外いぐわい椿事ちんじめに、此樣こん孤島はなれじま漂着へうちやくして、これからある年月ねんげつあひだぶにはねなきかごとりむなしく故國ここくそらをばながめてくらすやうな運命うんめいになつたのをば
外部がいぶからの影響えいきようもあるので、一樣いちようではありませんが、それ/″\のは、おのおの一定いつてい年月ねんげつあひだ生育せいいくするもので、普通ふつうでも二三百年にさんびやくねんから五六百年ごろつぴやくねんぐらゐきてゐるものがおほ
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
そうじて他人たにん艱難かんなんたいしては、事務上じむじょう職務上しょくむじょう関係かんけいをもっている人々ひとびとたとえば裁判官さいばんかん警官けいかん医師いし、とかとうものは、年月ねんげつ経過けいかするとともに、習慣しゅうかんってついにはその相手あいて被告ひこく
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
五名に過ぎざる事を記したれど不幸にしてその年月ねんげつつまびらかにする事あたはず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
年月ねんげつのほどは、さる可き用もなければ云わず。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)