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あまざかるひなともしる許多ここだくもしげき恋かもぐる日もなく」(巻十七・四〇一九)等の例に見るごとく、加行上二段に活用する動詞である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
各自に帽子や服のそでで、頬を拭いまわし初めると、今まで緊張し切っていた場面の空気が急にごやかになって来た。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
沖はよくぎてさざなみしわもなく島山の黒き影に囲まれてそのしずかなるは深山みやまの湖水かとも思わるるばかり、足もとまで月影澄み遠浅とおあさの砂白く水底みなそこに光れり。
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
代助はそれを見た時一寸厭な心持がした。土のれない庭の色が黄色に光る所に、長い草が見苦しく生えた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
柔かくいで温かそうな潮が、遠濃やかに湛えた相模灘さがみなだが、小田原の海岸を走る私達の眼の前にひらけた。
動かぬ女 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
九月ながつき下旬すゑつかた、けふはことに二一なごりなくぎたる海の、にはか二二東南たつみの雲をおこして、小雨こさめそぼふり来る。
隣りべは日のあたるよと、萩も枯れ萱も枯れぬと、よろしよと、見つつぬくもる、吾がぎごころ。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
晴れ渡った海はじーっと視つめるとひとみの前が黒ずんで来るほどさおいで、船の煙さえ動かないような感じであるが、それでも時たまそよ風を運んで来るらしく
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
風はいだ。曇っては居るが月が上ったと見え、雲がほんのり白らんで、朧気おぼろげに庭の様子が判る。
浜菊 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
霜日和しもびよりの晴れ渡ったその日は、午後から鳶色とびいろもやうすくこめて、風のいだ静かな天気であった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
そして自分が、今まで色事をしながらも、正しい道を踏みはずさなかったと云う自分自身の誇を考えた。彼のお梶に対して懐いたあらしのような激動は、たちまぎ始めたのである。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
其の朝は、特にうすら寒くて、セルに袷羽織を重ねてもまだはだ寒い程でした。私はまだ日の上らない前に珍らしく床をぬけ出して、海辺に出ました。海は些の微動もない位によくいでゐました。
白痴の母 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
数日来風が強く、やっとその日いだ日光と風景であった。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ぎたる海を白帆あげて、あけ曾保船そほふね走るごと
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
日直ひなほりのぎむとれば、やがてまた
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
上天気、海がいでいて心地よい。
めざむれば海はぎたり
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
風は
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
代助はそれを見た時一寸ちよつといやな心持がした。つちれないにはいろ黄色きいろひかる所に、ながい草が見苦しくえた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
横の方からごやかな寝息がスヤスヤ聞えて来たりなんかしたら、最早もうトテモたまらなくなるんです。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あがへるこころぐやと、早く来て見むとおもひて」(巻十五・三六二七)、「相見ては須臾しましく恋はぎむかとおもへど弥々いよよ恋ひまさりけり」(巻四・七五三)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
むらさきにほふ武蔵野の原、塩竈しほがまぎたる朝げしき、一〇象潟きさがたあまとまや、一一佐野の舟梁ふなばし一二木曾の桟橋かけはし、心のとどまらぬかたぞなきに、なほ西の国の歌枕見まほしとて、一三仁安三年の秋は
読みさしてゆとりあるまのうらぎやが楽しみとふみは読みける
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ぎたる海を白帆あげて、あけ曾保船そほふね走るごと
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
日直ひなほりのぎむと見れば、やがてまた
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
うみぎなむ時も渡らなむかく立つ浪に船出すべしや」(巻九・一七八一)、「たらちねの母にさはらばいたづらにいましも吾も事成るべしや」(巻十一・二五一七)等である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
今しがた私の右脚が出て行った廊下の、モウ一つ向うの窓の外には、ごやかな太陽の光りが満ち満ちて、エニシダの黄色い花と、深緑の糸の乱れが、窓硝子がらす一パイになって透きとおっている。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
物のこゑひびかふきけばおほかたの若葉はぎてほど経ちにけり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
西方さいはう一面にぎわたり
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
たまのたゆたひぎしづむ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
わが心あらしのぎたらむがごとし寝所ふしどに居りて水飲みにけり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
落葉松原茜さしそふ雨靄のぎしめらへり出でてながめむ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
日本人墓地にほんじんぼちの中にてはるかなる旅をし行かむこころぎ居り
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
匂だちしめらふ雲の影見れば小夜ふけと月もふけてぎなむ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
たらちねの母の乳房ちぶさにすがりゐる富子とみこをみれば心はぎぬ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
匂だち湿しめらふ雲の影見れば小夜ふけと月もふけてぎなむ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うら歎く父母の子は風花かざばなぬかに散らふぎにかも行く
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
輝かでにほふ垣内かきつの芝生には冬の日ざしぞぎたまりたる
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
輝かでにほふ垣内かきつの芝生には冬の日ざしぞぎたまりたる
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
紫にぎかすみて。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)