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及腰
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およびごし
ふりがな文庫
“
及腰
(
およびごし
)” の例文
看病人を頼むのも、医者を心付けるのも、
北里
(
きた
)
と、小石川の
及腰
(
およびごし
)
、
瘠細
(
やせほそ
)
るばかり塩気を
断
(
た
)
って、
生命
(
いのち
)
を縮めてもと念じ
明
(
あか
)
した。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
枕元の机の上の
巻烟草
(
まきたばこ
)
を取ろうとして、
袂
(
たもと
)
を
啣
(
くわ
)
えて
及腰
(
およびごし
)
に手を伸ばす時、
仰向
(
あおむ
)
きに
臥
(
ね
)
ている私の眼の前に、雪を
欺
(
あざむ
)
く二の腕が近々と見えて、懐かしい女の
香
(
か
)
が
芬
(
ぷん
)
とする。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
足をからむとか蛇をふみつけるとかしてわあつ! と
及腰
(
およびごし
)
になりかかると
木枯の酒倉から:――聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
君江も屑羊羹を
頬張
(
ほおば
)
りながら少し
及腰
(
およびごし
)
になって
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と教頭が言いも果てぬに、身を
捻
(
ひね
)
ったなりで、礼もしないで、つかつかと出そうにすると、がたがたと靴を鳴らして、教頭は
及腰
(
およびごし
)
に追っかけて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
五助は
服
(
きもの
)
はだけに大の字
形
(
なり
)
の
名残
(
なごり
)
を見せて、
蟇
(
ひきがえる
)
のような
及腰
(
およびごし
)
、顔を突出して目を
睜
(
みは
)
って、障子越に紅梅屋敷の
方
(
かた
)
を
瞻
(
みつ
)
めながら、がたがたがたがた
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
横ざまに、
杖
(
ステッキ
)
で、
敲
(
たた
)
き払った。が、
人気勢
(
ひとげはい
)
のする
破障子
(
やれしょうじ
)
を、
及腰
(
およびごし
)
に
差覗
(
さしのぞ
)
くと、目よりも先に鼻を
撲
(
う
)
った、このふきぬけの戸障子にも似ず、したたかな酒の香である。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
小戻
(
こもど
)
りして、
及腰
(
およびごし
)
に、
引
(
ひつ
)
こ
拔
(
ぬ
)
くやうにバスケツトを
掴
(
つか
)
んで、
慌
(
あわ
)
てて
辷
(
すべ
)
つて、
片足
(
かたあし
)
で、
怪飛
(
けしと
)
んだ
下駄
(
げた
)
を
搜
(
さが
)
して
逃
(
に
)
げた。
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さうな
顏
(
かほ
)
をしたが、
女
(
をんな
)
もそツと
立
(
た
)
つて
來
(
く
)
る。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
怒鳴
(
どな
)
つて、
仰
(
あお
)
ぎづきに
張肱
(
はりひじ
)
でドンと突いた。突いたが、鞍の上を
及腰
(
およびごし
)
だから、力が足りない。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
湯帰
(
ゆあが
)
りに
蕎麦
(
そば
)
で
極
(
き
)
めたが、この節
当
(
あて
)
もなし、と自分の
身体
(
からだ
)
を
突掛
(
つっか
)
けものにして、そそって通る、横町の酒屋の
御用聞
(
ごようきき
)
らしいのなぞは、相撲の
取的
(
とりてき
)
が仕切ったという
逃尻
(
にげじり
)
の、
及腰
(
およびごし
)
で
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
台所に
踞
(
しゃが
)
んだまま、女房の、
藍微塵
(
あいみじん
)
の
太織紬
(
ふとおりつむぎ
)
、ちと古びたが
黒繻子
(
くろじゅす
)
の襟のかかったこざっぱりした
半纏
(
はんてん
)
の下から、秋日和で紙の明るい上框の障子、今閉めたのを、
及腰
(
およびごし
)
で
差
(
さし
)
のぞき
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、きりりと唇をしめると、
真黒
(
まっくろ
)
な厚い
大
(
おおき
)
な
外套
(
がいとう
)
の、背腰を屁びりに
屈
(
かが
)
めて、
及腰
(
およびごし
)
に右の片手を
伸
(
のば
)
しつつ、
密
(
そっ
)
と
狙
(
ねら
)
って寄った。が、どうしてどうして、
小児
(
こども
)
のように軽く行かない。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女房は
連
(
しき
)
りに
心急
(
こころせ
)
いて、納戸に並んだ台所口に片膝つきつつ、
飯櫃
(
めしびつ
)
を引寄せて、
及腰
(
およびごし
)
に
手桶
(
ておけ
)
から水を結び、
効々
(
かいがい
)
しゅう、
嬰児
(
ちのみ
)
を
腕
(
かいな
)
に抱いたまま、手許も
上
(
うわ
)
の空で
覚束
(
おぼつか
)
なく、三ツばかり
握飯
(
にぎりめし
)
。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
及腰
(
およびごし
)
ながら
差覗
(
さしのぞ
)
くと、
廻縁
(
まわりえん
)
の板戸は、三方とも一二枚ずつ
鎖
(
とざ
)
してない。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
弥吉は親方の
吩咐
(
いいつけ
)
に註を入れて、我ながら
旨
(
うま
)
く言ったと思ったが、それでもなお応じないから、土間の薄暗い中をきょろきょろと
眗
(
みまわ
)
したが、
密
(
そっ
)
と、
框
(
かまち
)
に手をついて、
及腰
(
およびごし
)
に、高慢な
顔色
(
かおつき
)
で内を
透
(
すか
)
し
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(
又
(
また
)
……
遣直
(
やりなほ
)
しぢや。)と
呟
(
つぶや
)
きながら、
其
(
そ
)
の
蚤
(
のみ
)
の
巣
(
す
)
をぶら
下
(
さ
)
げると、
私
(
わたし
)
が
茫然
(
ばうぜん
)
とした
間
(
あひだ
)
に、のそのそ、と
越中褌
(
ゑつちうふんどし
)
の
灸
(
きう
)
のあとの
有
(
あ
)
る
尻
(
しり
)
を
見
(
み
)
せて、そして、やがて、
及腰
(
およびごし
)
の
祠
(
ほこら
)
の
狐格子
(
きつねがうし
)
を
覗
(
のぞ
)
くのが
見
(
み
)
えた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
どうも話が
及腰
(
およびごし
)
になる。二人でその形に、並んで立ってもらいたい。その形、……その姿で。……お町さんとかも、褄端折をおろさずに。——お藻代も、道芝の露に
裳
(
もすそ
)
を引揚げたというのであるから。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鍵屋では
及腰
(
およびごし
)
に向うを伺い、振返って道が
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
の
傍
(
わき
)
を通って、格子戸に
及腰
(
およびごし
)
。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、少し脊伸びの
及腰
(
およびごし
)
に
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
及腰
(
およびごし
)
に
覗
(
のぞ
)
いていた。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
及
常用漢字
中学
部首:⼜
3画
腰
常用漢字
中学
部首:⾁
13画
“及”で始まる語句
及
及第
及川
及時雨
及至
及位
及落
及衆
及暁
及門