印度いんど)” の例文
表立った醜聞はなかったにしても、何しろ印度いんどは彼の身持ちのためには暑すぎた。彼はロンドンに帰って来ては、いよいよ悪名を流した。
貴様しらを切って解らずにいると思うか! 貴様はこの間まで曲馬団にいたではないか! 印度いんど人に化けて投剣とか云うのを
撞球室の七人 (新字新仮名) / 橋本五郎(著)
既に印度いんどかすめて、デリヒを取り、波斯ペルシヤを襲い、土耳古トルコを征し、心ひそかに支那しなうかがい、四百余州を席巻して、大元たいげんの遺業を復せんとするあり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それからこれとやや似た問題で、二つのへびを持ってきて雌雄めおをくべつして見よといったこと、これは印度いんどでできたという『雑宝蔵経ぞうほうぞうきょう』にも出ている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それ深刻しんこく印度いんど化物ばけものとはくらべものにならぬ。たとへば、ケンタウルといふ惡神あくしん下半身しもはんしんうまで、上半身かみはんしん人間にんげんである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
物心ぶっしんにょ其様そん印度いんどくさい思想に捕われろではないが、所謂いわゆる物質的文明は今世紀の人を支配する精神の発動だと
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ところが王様がそれをほんとにして、あいつを大将にして印度いんど王征伐にやった。両軍は向い合って陣をとった。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
山中さんちゅう暦日れきじつなし、彼はこうした仙人生活を続けたのちに、ビルマから印度いんどにまで往ったのであった。
仙術修業 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ライスカレーは印度いんど料理、魚は魯西亜ろしやで上手に料理するという風に各国ともその長処がある。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
太郎「印度いんど黒坊くろんぼばかりゐるのかとおもつたら、おまへのやうなしろとりもゐるのかい」
紅玉色リユビイいろ薔薇ばらの花、のりものつてゆく印度いんどの姫君、紅玉色リユビイいろ薔薇ばらの花、けだしアケディセリルの妹君であらう、噫衰殘すゐざんの妹君よ、その血僅に皮に流れてゐる、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
むかし印度いんどのある国に、一人の王子がありました。国王からは大事だいじそだてられ、国民からはしたわれて、ゆくゆくは立派りっぱな王様になられるにちがいないと、みなからのぞみをかけられていました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
新宿の中村屋の印度いんど風の肥育軍鶏しゃものカレー・ライスなどは、その代表的なものでありましたが、悲しいことには私にとって、本郷通りの小さな西洋料理屋の水っぽいライス・カレーの方が
へやの一方に輝き並んでいる螺鈿らでんの茶棚、同じチャブ台、その上に居並ぶ銀の食器、上等の茶器、金色こんじき燦然さんぜんたる大トランク、その上に置かれた枝垂しだれのベコニヤ、印度いんどの宮殿を思わせる金糸きんしの壁かけ
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
印度いんどうみけふもわたりて食卓しよくたく薯蕷汁とろろいひを人々たのしむ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
女の誇りに印度いんどの仏も知らぬほくそゑみあり。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
一 印度いんどからロンドンへ
彼には負傷した人食虎を追跡して、下水溝にまで這い下りたと云う逸話が、今でも印度いんどで話題になっているほどなんだよ。
たとへば、印度いんどの三明王めうわうへんじて通俗つうぞくの三入道にふだうとなり、鳥嘴てうし迦樓羅王かろらわうへんじてお伽噺とぎばなし烏天狗からすてんぐとなつた。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
さっそくそんなまちがった命令を取消とりけしたという話で、これも我邦わがくにへは支那からはいってきたらしいが、もとの起こりは印度いんどであり、『雑宝蔵経ぞうほうぞうきょう』という仏法の経文きょうもんのなかに
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
印度いんどや南洋の土人が平生へいぜい好んで辛い物を食べるのはやっぱり土地の暑いためで、支那料理の原則に秋は辛味を主とすというのも夏の炎暑で胃腸がゆるんでいるからそれを刺撃させるためでしょう。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
埃及エジプト印度いんど支那しな阿剌比亜アラビア波斯ペルシャ、皆魔法の問屋といやたる国〻だ。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
花は印度いんどの太陽の赤光しやくくわうを懸けたり。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
キバタン「印度いんどからました」
斯樣かやうにして印度いんど亞刺比亞あらびや波斯ぺるしやから、ひがし日本にほんまで、西にし歐羅巴ようろつぱまでの化物ばけもの總括そうくわつしてると、化物ばけもの策源地さくげんち亞細亞あじあ南方なんぱうであることがわかるのである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「以前は皇帝の印度いんど軍に居た方で、わが東方帝国の生んだ、名誉ある最大の名射手なのです。——ね、大佐、あなたの虎嚢は、依然として天下無双でしょう。ねきっとそうでしょう?」
少し長たらしかったが、これまでが親棄山の第二種の話であって、日本にも流行し、また少しずつの作りかえもあったとは言いながら、本来は支那または印度いんどにはじまった昔話である。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
印度いんど辺で菓物の王と称せらるるマンゴーも新鮮なのを
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
印度いんどの古き仏のきば
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
印度いんど地理上ちりじやう東洋とうやうぞくするが、民族みんぞくがアールヤけいであるから、矢張やはさきにしせいあとにする。ラビンドラナート・タゴールといへば、前名ぜんみやうすなは個人名こじんめいで、後名ごめいのタゴールは家名かめいである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
大原は珍らしそうに「それから四日目は何です」お登和「四日目はタピオカかあるいはセーゴです」大原「タピオカというのは先日中川君も胃病の食餌箋しょくじせんの話しにお言いでしたが何です」お登和「印度いんどの穀物でタピオカもセーゴも似たものです。 ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「ああ、これはハバナだ。——けれど、そのほかのは、東印度いんどの殖民地から輸入されるドイツ煙草で、全然何か別種の葉巻らしい。——それは君も知ってるように、大ていはストローでつつんであって、ほかの種類のものに比較すると、長さの割に細巻のものだ」
入院患者 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)