伊太利イタリア)” の例文
紹介状は、墨汁会社と、ガソリン嬢と、伊太利イタリア大使館の女中との三つだった。私のふところには、もう九十銭あまりしかないのだ。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
普通書かれたのは英語が主であったが、独逸ドイツ語と仏蘭西フランス語も自由であり、読むだけは伊太利イタリア語も露西亜ロシア語もかなり楽だったようにみえた。
先生を囲る話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
伊太利イタリア、フランスの別なく、油絵芸術は習慣と惰性とによって、ともかくも連続はしていた訳であるが睡気ねむけを催すべき性質のものとなり
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
かの女は伊太利イタリアの旅で見た羅馬ローマの丘上のネロ皇帝宮殿の廃墟はいきょを思い出した。恐らく日本の廃園はいえんうまで彼処あそこに似たところは他には無かろう。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
欧羅巴ヨーロッパに於ては英、仏、独、露西亜ロシア墺太利オーストリア伊太利イタリア、この六大国がある。これに北米合衆国を加えて七大国である。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
この恨みは初め一抹いちまつの雲のごとくわが心をかすめて、瑞西スイスの山色をも見せず、伊太利イタリア古蹟こせきにも心をとどめさせず、中ごろは世をいとい、身をはかなみて
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
伊太利イタリアの美しき青空を眺め、日の西に傾くとき、紫の光ある雲の黄金色したる地の上に垂れかゝりたるをめで、時のうつるを知らざることしば/\なりき。
オルガンチノは伊太利イタリア生れの伴天連ばてれんだった。平戸ひらど長崎ながさきあたりはいうまでもなく、さかい安土あづち、京都、畿内きないのいたる処にも無数の宣教師が日本に渡っていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
直ぐ裏に住んでいたファアブリという伊太利イタリア人が、商売物のフィルムから火を失したのである。
芝、麻布 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
「細雪」閲読の興味はさながらダヌンチオの小説を読んで伊太利イタリアの風物を想い見るが如くである。
細雪妄評 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ナオミがメリー・ピクフォードで、ヤンキー・ガールであるとするなら、此方はどうしても伊太利イタリア仏蘭西フランスあたりの、しとやかなうちにほのかなるびをたたえた幽艶ゆうえんな美人です。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
仏蘭西フランス伊太利イタリア独逸ドイツ露西亜ロシア、どの国のものだか分らなくなることもあるのです。気に入った句は、どの詩人のでもみんな一人で作ったもののように、僕には思われるのです。
それは伊太利イタリアの音楽隊で、モールをちりばめた服装から指揮者コンダクター風姿スタイルから、かなり怪しげな一団であったが、「伊太利人」という吹聴のためか、聴衆ききては黒山のように集まっていた。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして亡夫の七回忌にあたる大正六年十月、日本橋区久松町の明治座で女優生活十五年間の引退興行を催し、松井松葉氏によって戯曲となった、伊太利イタリアの歌劇「アイーダ」を上場した。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そのために外界と遮絶しゃぜつして、全く一人きりになっていられるような隠れ場所を捜しあぐねていたリルケは、遂に伊太利イタリアとの国境にもはや近いヴァレェ州にやって来て、その何処どこかプロヴァンスや
雉子日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
蜘蛛くもや蜂は交尾を終ると、たちまち雄は雌の為に刺し殺されてしまうのである。わたしは伊太利イタリアの旅役者の歌劇「カルメン」を演ずるのを見た時、どうもカルメンの一挙一動に蜂を感じてならなかった。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
心配であった空模様もどうやら持ち直したらしく、暗い層積雲の大きな塊は、例えば伊太利イタリアの空にあこがるる北欧の詩人の如くに、南へ南へと動いて、見る見る大空の何処へか吸い込まれてしまった。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
船入伊太利海峡(船は伊太利イタリア海峡に入る)
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
伊太利イタリアの太陽のうた日向ぼこ
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
巴里でも伊太利イタリア製や、アメリカ、英国製品がかなり多く入っていますが、純フランス製のものの中に私の注文通りの型が沢山あるのでした。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
英国、独逸ドイツ仏蘭西フランス露西亜ロシア墺地利オーストリア伊太利イタリア、大西洋を隔てて亜米利加アメリカ合衆国、太平洋に於ける日本帝国、指を屈するとこの八つの強大国がある。
平和事業の将来 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
二年間の伊太利イタリア在留の後、ウィーンの公使として、十年近く在勤された。そして明治三十三年の北清事変と日露戦争との波紋を、欧洲の一角で体験された。
牧野伸顕伯の思い出 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
校長ピロッチイが名は、をちこちに鳴りひびきて、独逸ドイツの国々はいふもさらなり、新希臘ギリシア伊太利イタリア璉馬デンマークなどよりも、ここにきたりつどへる彫工ちょうこう、画工数を知らず。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼の故郷伊太利イタリアのはなし、海上の里程りてい、北欧南欧の風物談、そのほか印度、安南、呂宋ルソン、南支那などの旅行ばなしを、幾夜語らせて、熱心に聴いたか知れなかった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
英吉利イギリス仏蘭西フランス伊太利イタリア等の士官が数百人コンスタンチノープルに駐屯ちゅうとんしていたことがあり、彼等のうちには土耳古トルコの婦人を手に入れたと云って得意になった者も少くなかったが
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
數時の後挾き山のかひに出でぬ。こゝに伊太利イタリアの澤池にめづらしからぬ藁小屋一つあり。とうに藁まぜて、棟より地までき下せり。壁といふものなし。燈の光は低き戸の隙間洩りたり。
後年、伊太利イタリアフローレンスで「花のサンタマリア寺」を見た。あらゆる色彩の大理石をあつめて建てたこの寺院は、陽にあたると鉱物でありながら花の肌になる。寺でありながら花である。
桃のある風景 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
伊太利イタリアは門戸となって、種々なる学芸が欧羅巴ヨーロッパ諸国に再び栄えるようになったのである。世人は多くルネッサンスの歴史を興味をもって学ぶようである。
文明史の教訓 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
それは伊太利イタリアの文明がフランスへ渡りドイツへ影響するという具合とは全く別である処の、全く単位を異にする処の、文明によって日本はおおわれてしまったのである。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
それから伊太利イタリア語もその調子でやってどうにか科学の参考書だけは読めるようになった。
先生を囲る話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
さはあれどわが見し花うりの目、春潮をながむるよろこびの色あるにあらず、暮雲を送る夢見心あるにあらず、伊太利イタリア古跡の間に立たせて、あたりに一群ひとむれ白鳩しろばと飛ばせむこと、ふさはしからず。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
フランス人はその名の示すようにこの料理を伊太利イタリアミラノのコトレツと考え、ドイツ人は墺太利オーストリア首府しゅふウィーンの料理と考えているらしい。差当さしあたってこの両都市で本家争ほんけあらそいおこすべきである。
異国食餌抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
と、伊太利イタリア語でうたう彼女のソプラノが、夕なぎの海に響き渡るのを聴きれながら、私はしずかにを漕いで行く。「もっと彼方あっちへ、もっと彼方へ」と彼女は無限になみの上を走りたがる。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
勿論もちろん文学美術その他何でも世界に勝るに於て不可なる事は無いが、元来日本は火山脈の多い国で、この点に於ては欧州の伊太利イタリアを除いては他に匹敵する国はない。
青年の新活動方面 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
単に火のかたまりであって青い尻尾しっぽを長く引いているだけのものであれば、フランス人も、日本人も、伊太利イタリア人も、ロシア人も、支那も印度も先ず大した変りはないので
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
この恨は初め一抹の雲の如くわが心をかすめて、瑞西スヰスの山色をも見せず、伊太利イタリアの古蹟にも心を留めさせず、中頃は世をいとひ、身をはかなみて、はらわた日ごとに九廻すともいふべき惨痛をわれに負はせ
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
巴里パリの有名な鴨料理店の家の芸の一つでまず凝った贅沢ぜいたく料理に属するものだと病友はいった。鰻の寄せものは伊太利イタリア移民の貧民街などで辻売つじうりしている食品で、下層階級の食べものだといった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかして従来は野蛮人の如く思われていた土耳古トルコは新鋭の勢いをもって突進して、しかして永い歴史を有する羅馬ローマの爛熟した文明は、多くの学者達と共に伊太利イタリアに逃れた。
文明史の教訓 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
此の則と云ふことは文語になつて來てから又一層くはしくなるのであります。世界中で最も發音的に完全な假名は古い所では Sanskrit の音字、新しい所では伊太利イタリアの音字だと申します。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
かの伊太利イタリア統一の如き、また独逸ドイツ連邦成立の如き、もしくは匈牙利ハンガリーの独立運動の如き、すべてそれである。かくの如くして成立したるものを名づけて民族的国家という。
文明史上の一新紀元 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
ついに伊太利イタリア人の結合を促し、その昔墺のメッテルニヒが「伊太利イタリアは単に地理的名称に過ぎず」と冷評したるところの土地に、伊太利イタリア民族の現伊太利イタリア国を建設したるは全く民族主義の表現である。
大戦乱後の国際平和 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
この第一回万国平和会議は千八百九十九年五月十八日から和蘭オランダの首都海牙ハーグに開かれ、日本、独逸ドイツ、北米合衆国、墺太利匈牙利オーストリアハンガリー白耳義ベルギー、清国、丁抹デンマーク西班牙スペイン仏蘭西フランス希臘ギリシャ伊太利イタリア、ルクセンブルグ
文明史上の一新紀元 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
伊太利イタリアの建国もこの民族的結合に基づくのである。
大戦乱後の国際平和 (新字新仮名) / 大隈重信(著)