“仰(あほ)” の例文
『實(じつ)は先刻(せんこく)急(きふ)に思(おも)ひ立(た)つて、此(この)兵曹(へいそう)と共(とも)に遊獵(いうれう)に出(で)たのが、天幸(てんこう)にも君等(きみら)をお助(たす)け申(まう)す事(こと)になつたのです。』と言(い)ひながら、大空(おほぞら)を仰(あほ)ぎ見(み)て。
仰(あを)いで高(たか)い処(ところ)に朱(しゆ)の欄干(らんかん)のついた窓(まど)があつて、そこが母様(おつかさん)のうちだつたと聞(き)く、仰(あほ)いで高(たか)い処(ところ)に朱(しゆ)の欄干(らんかん)のついた窓(まど)があつてそこから顔(かほ)を出(だ)す
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
茶屋(ちやゝ)が裏(うら)ゆく土手下(どてした)の細道(ほそみち)に落(おち)かゝるやうな三味(み)の音(ね)を仰(あほ)いで聞(き)けば、仲之町藝者(なかのてうげいしや)が冴(さ)えたる腕(うで)に、君(きみ)が情(なさけ)の假寐(かりね)の床(とこ)にと何(なに)ならぬ一ふし哀(あわ)れも深(ふか)く
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「然(さ)うだツたかな。」と空(そら)ツ恍(とぼ)けるやうに、ちらと空を仰(あほ)ぎながら、「とすりや、そりや俺(おれ)がお前を擇(えら)んだのぢやない、俺の若い血がお前に惚(ほ)れたんだらう。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
入り見れば蝉(せみ)の脱(ぬ)け殻(がら)同様人を見ず、され共古びたる箱類許多(あまた)あり、蓋(ふた)を開(ひら)き見れば皆空虚(くうきよ)なり、人夫等曰く多分猟師小屋(れうしこや)ならんと、図(はか)らず天井を仰(あほ)ぎ見れば蜿蜒(えん/\)として数尺の大蛇横(よこた)はり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
その有りさまにアレートスよろめき仰(あほ)に倒れ伏す。
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
仰(あほ)ざまに眼(まなこ)をつむり
夏は青い空に…… (新字旧仮名) / 中原中也(著)
『はてさて、妙(めう)だぞ、あれは矢(や)ツ張(ぱり)滊船(きせん)だわい、して見(み)ると今月(こんげつ)の航海表(かうかいへう)に錯誤(まちがい)があつたのかしらん。』と言(い)ひつゝ、仰(あほ)いで星影(ほしかげ)淡(あは)き大空(おほぞら)を眺(なが)めたが
其後荊棘(けいきよく)の為めに悉(こと/″\)く破壊(はくわい)せられ、躰を被(お)ふべきもの更(さら)に無く、全身挙(こぞ)りて覆盆(ふくぼん)の雨に暴露(ばうろ)せらる、其状(そのじやう)誠に憐(あはれ)むに堪(た)へたり、衆相対して眼(め)を開(ひら)くも閴(げき)として声(こゑ)なく、仰(あほ)ぎて天の無情を歎(たん)す
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
橄欖島(かんらんたう)は荒凉(くわうりやう)たる島(しま)、とても其(その)種(しゆ)の發動藥液(はつどうやくえき)を得(う)る事(こと)は出來(でき)ず、其他(そのた)の諸島(しよたう)、又(また)は大陸(たいりく)に通信(つうしん)して、供給(きようきふ)を仰(あほ)ぐといふ事(こと)も、决(けつ)して出來(でき)る事(こと)では無(な)いのです。
百二十年以前(いぜん)に見(み)たる所(ところ)の人ありと伝(つと)ふ所(ところ)の文珠岩は即ち之れなり、衆(しゆ)皆(みな)拍手喝釆(かつさい)して探検者(たんけんしや)一行の大発見を喜(よろこ)ぶ直(ただ)ちに丘下に到(いた)りて仰(あほ)ぎ見れば、丘の高(たか)さ百尺余(よ)、天然の奇岩(きがん)兀(こつ)として其頂上に立(た)ち
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)