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黛
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まゆずみ
ふりがな文庫
“
黛
(
まゆずみ
)” の例文
吉原江戸町三丁目佐野槌屋の
抱
(
かか
)
え遊女
黛
(
まゆずみ
)
、美貌無双孝心篤く、父母の年忌に廓中そのほか出入りの者まで
行平鍋
(
ゆきひらなべ
)
を一つずつ施したり
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一色
(
いっしき
)
の海岸にうち寄せる夕浪がやや耳に音高く響いて来て、潮煙のうちに、鎌倉の海岸線から江の島が
黛
(
まゆずみ
)
のように霞んでいる。
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
眉ニ
黛
(
まゆずみ
)
、
瞼
(
まぶた
)
ニアイ・シャドウヲ着ケ、フォールス・アイラッシュデ附ケ睫ヲ着ケ、ソレデモ足リナイデマスカラーデ睫ヲ長ク見セヨウトスル。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして、仮死したままうごかない
黛
(
まゆずみ
)
と、
五
(
いつ
)
つ
衣
(
ぎぬ
)
につつまれた高貴さとに、女性美の極致を見たように茫然と打たれながら
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここに休んでから、それとなく、五人目の姫の顔を
差覗
(
さしのぞ
)
くものもあった。けれども端然としていた。
黛
(
まゆずみ
)
の他に
玲瓏
(
れいろう
)
として顔に一点の雲もなかった。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
車は情なくして走り、一
堆
(
たい
)
の緑を成せるブレンタの側を過ぎ、垂楊の列と美しき
別業
(
べつげふ
)
とを見、又遠山の
黛
(
まゆずみ
)
の如きを望みて、夕暮にパヅアに着きぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
顔も今では格段に、美しい器量とは思われない。頬紅や
黛
(
まゆずみ
)
を粧っていても、往年の麗色を思わせるのは、細い眼の中に漂った、さすがにあでやかな光だけである。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
湖の左手には、
黛
(
まゆずみ
)
をグッとひきのばしたように、
蘇提
(
そてい
)
が
延々
(
えんえん
)
と続いていた。ややその右によって
宝石山
(
ほうせきざん
)
の姿がくっきりと盛上り、
保叔塔
(
ほしゅくとう
)
らしい影が、天を
指
(
さ
)
していた。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
打見
(
うちみ
)
る
所
(
ところ
)
、
年齢
(
とし
)
は
二十歳余
(
はたちあま
)
り、
顔
(
かお
)
は
丸顔
(
まるがお
)
の
方
(
ほう
)
で、
緻致
(
きりょう
)
はさしてよいとも
言
(
い
)
われませぬが、
何所
(
どこ
)
となく
品位
(
ひんい
)
が
備
(
そな
)
わり、
雪
(
ゆき
)
なす
富士額
(
ふしびたい
)
にくっきりと
黛
(
まゆずみ
)
が
描
(
えが
)
かれて
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
三平は鏡をのぞきながらそこにあるお
白粉
(
しろい
)
を真白に塗り付けた。
黛
(
まゆずみ
)
で眉と生え際を塗った。お神さんの着物を着て帯を締めた。次にスキ毛を頭に載せて手拭いを冠った。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
公子のほうは、平安季世の自信と自尊心を身につけた藤原一門の才女の典型で、膚の色は深く沈んで
黛
(
まゆずみ
)
が黒々と際立ち、眼は淀まぬ色をたたえて従容と見ひらかれている。
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
黛
(
まゆずみ
)
を施し、紅粉を用い、盛んに
粧
(
よそお
)
いを凝らして後、始めて美人と見られるのはそれはほんとうの美人ではない、飾らず装わず天真のままで、それで美しいのが真の美人だ。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
吉原に火災があると、貞固は
妓楼
(
ぎろう
)
佐野槌
(
さのづち
)
へ、百両に
熨斗
(
のし
)
を附けて持たせて遣らなくてはならなかった。また相方
黛
(
まゆずみ
)
のむしんをも、折々は聴いて遣らなくてはならなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「嘘よ、お正月の歌がるたをした時、負けたんで額に墨で
黛
(
まゆずみ
)
を描かれたからよ。」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
カ氏は
業
(
ごう
)
を煮やして大きな
黛
(
まゆずみ
)
を
拵
(
こしら
)
えた印度女優のブロマイドを持ち出してきた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それは
黛
(
まゆずみ
)
で画いた眉の細長く曲っていて美しい、そして小さな足に
鳳凰頭
(
ほうおうとう
)
の靴を
穿
(
は
)
いていたが、その美しいことは嬌娜に劣らなかった。孔生は大いに悦んで公子に
媒妁
(
ばいしゃく
)
をしてくれと頼んだ。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しばらくして東の空
金色
(
こんじき
)
に染まり、かの星の光
自
(
おのず
)
から消えて、地平線の上に現われし連山の影
黛
(
まゆずみ
)
のごとく峰々に戴く雪の色は夢よりも淡し、詩人が心は
恍惚
(
こうこつ
)
の境に
鎔
(
と
)
け、その目には涙あふれぬ。
星
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
右に青い海を隔てて、
黛
(
まゆずみ
)
のようにかすむ山を主従がながめて
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
日向
(
ひゅうが
)
の連山のいくつかが、断続してその
黛
(
まゆずみ
)
を描く。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
一色の海岸にうち寄せる
夕浪
(
ゆうなみ
)
がやや耳に音高く響いて来て、潮煙のうちに、鎌倉の海岸線から江の島が
黛
(
まゆずみ
)
のやうに
霞
(
かす
)
んでゐる。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
金揉
(
きんも
)
み烏帽子に
黛
(
まゆずみ
)
の白拍子化粧がまたなく似合って哀しい胸を、そのまま脂粉で顔に描き現したもののように見えた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひそみもやらぬ
黛
(
まゆずみ
)
を、きよろりと
視
(
み
)
ながら、乱髪抜刀の
武士
(
さむらい
)
も向きかはつた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鏡を覗きながら眉と、
生
(
は
)
え
際
(
ぎわ
)
を念入りに
黛
(
まゆずみ
)
で
撞
(
つ
)
き上げた。手首と足首を爪先まで白くする事も忘れなかった。それからお神さんの下着を着て昼夜帯を胸高に締め白い襟を思い切り突越した。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まだ、そこまではまず好いとして、おさげ髪、額に
黛
(
まゆずみ
)
!
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
黛
(
まゆずみ
)
夢子 歌劇女優
戯曲体小説 真夏の夜の恋
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
眉は、
黛
(
まゆずみ
)
で描いたように、濃く強く見えるほど、凄まじいその
相好
(
そうごう
)
の皮膚は、冴えて、血の気も見えなかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふツくり
蒼
(
あを
)
く、
露
(
つゆ
)
が
滲
(
にじ
)
んだやうに、
其
(
そ
)
の
手巾
(
ハンケチ
)
の
白
(
しろ
)
いのを
透
(
とほ
)
して、
土手
(
どて
)
の
草
(
くさ
)
が
淺緑
(
あさみどり
)
に
美
(
うつく
)
しく
透
(
す
)
いたと
思
(
おも
)
ふと、
三
(
み
)
ツ
五
(
いつ
)
ツ、
上﨟
(
じやうらふ
)
が
額
(
ひたひ
)
に
描
(
ゑが
)
いた
黛
(
まゆずみ
)
のやうな
姿
(
すがた
)
が
映
(
うつ
)
つて、すら/\と
彼方此方
(
かなたこなた
)
光
(
ひかり
)
を
曳
(
ひ
)
いた。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
黛
(
まゆずみ
)
、粉白粉なぞを代る代る取上げて、身体各部の極く細かい色の変化を似せて、大小の
黒子
(
ほくろ
)
までを一つ残らずモデルの通りに染め付けた上に、全身の局部局部の毛を床の上の少女と比較しつつ
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
三位
(
さんみ
)
ノ
局
(
つぼね
)
、阿野
廉子
(
やすこ
)
は、仰せと聞くと、いま夕化粧もすましたばかりなのに、もいちど
櫛笥
(
くしげ
)
ノ
間
(
ま
)
へ入って、鏡をとりあげ、入念に
黛
(
まゆずみ
)
や
臙脂
(
べに
)
をあらためてから立った。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
﨟丈
(
ろうた
)
けた
黛
(
まゆずみ
)
、
恍惚
(
うっとり
)
と、多一の顔を
瞻
(
みまも
)
りながら
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
稚子輪
(
ちごわ
)
に結った髪も、
曙染
(
あけぼのぞめ
)
の
袂
(
たもと
)
も、
金糸
(
きんし
)
の
繍
(
ぬい
)
も、
紫濃
(
むらご
)
の
袴
(
はかま
)
も、みんなお
揃
(
そろ
)
いであったが、元より山家の生ればかりなので、その袂で汗は拭く鼻くそはこする、せっかく化粧して貰った白粉も、
黛
(
まゆずみ
)
も
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
墨もて
黛
(
まゆずみ
)
を描く、と聞く。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黛
漢検準1級
部首:⿊
16画
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眉黛
粉黛
青黛
翠黛
青黛頭
遠黛
黛緑
黛子
黛女
青黛山寺鐘
青黛山如月寺縁起
青黛山如月寺
凝黛
翠黛紅顔
綺羅粉黛
紅裙翠黛
深黛色
林黛玉