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門出
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かどで
ふりがな文庫
“
門出
(
かどで
)” の例文
「遅い。もう遅い。われわれの同胞はあの通りの
大激昂
(
だいげきこう
)
だ。君は……君は気の毒だが、われわれの
門出
(
かどで
)
の血祭だ。ひッひッひッひッ」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おふきはだれよりも先に半蔵の
門出
(
かどで
)
を見送りに来て、もはや本陣の囲炉裏ばたのところで旅じたくをしている下男の佐吉を見つけた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
小ジェリーは、こう言って父親の
門出
(
かどで
)
を祝うと、例の床几に腰を下して、父親の噛んでいた藁に継承的な興味を持ち始め、それから考え込んだ。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「
得手
(
えて
)
に
帆
(
ほ
)
とやら、お
門出
(
かどで
)
は上々吉です。が、野分のあとを見てくると、東へ行くほど、荒れがひどいようですが」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
如何に感嘆されても称讃されても
藪睨
(
やぶにら
)
みの感嘆や色盲的の称讃では甘受する事が出来ないで、先ず出発の
門出
(
かどで
)
からして不満足を感ぜざるを得なかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
泉の
湧
(
わ
)
く所へ来た。姉は
樏子
(
かれいけ
)
に添えてある木の
椀
(
まり
)
を出して、清水を汲んだ。「これがお前の
門出
(
かどで
)
を祝うお酒だよ」
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
心のうちで自分の目の前にいるこの
一対
(
いっつい
)
の老夫婦と、結婚してからまだ一年と
経
(
た
)
たない、云わば新生活の
門出
(
かどで
)
にある彼ら二人とを比較して見なければならなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大事な
門出
(
かどで
)
と見たから、お靜は火打箱を持つて追つかけて來て、チヨン/\と
金
(
かね
)
を鳴らしました。
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは、
夏
(
なつ
)
も
終
(
お
)
わりに
近
(
ちか
)
づいた、ある
日
(
ひ
)
でありました。
娘
(
むすめ
)
は、
薬売
(
くすりう
)
りの
小父
(
おじ
)
さんにつれられて、みんなと
別
(
わか
)
れて、
門出
(
かどで
)
をしたのであります。
母親
(
ははおや
)
は
涙
(
なみだ
)
をもって
見送
(
みおく
)
りました。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
けれども、これは永久に甲府を去るの
門出
(
かどで
)
ではない、自分は能登守に教えられた通り、これより程遠からぬ
松里
(
まつさと
)
村の恵林寺へ落ちて、暫らくそこに
隠匿
(
かくま
)
ってもらうのである。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その時かれは二十二歳であったが、郷党みな彼が
前途
(
ゆくすえ
)
の成功を
卜
(
ぼく
)
してその
門出
(
かどで
)
を祝した。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
只〻
門出
(
かどで
)
の勢ひに引きかへて、
戻足
(
もどりあし
)
の打ち
蕭
(
しお
)
れたる樣、さすがに遠路の
勞
(
つかれ
)
とも思はれず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
さてはと、それからは私がその娘に出逢う
門出
(
かどで
)
だった誕生日に、
鈴見
(
すずみ
)
の橋の上まで来ては、こちらを拝んで帰り帰りしたですが、母が
亡
(
なく
)
なりました翌年から、東京へ修行に参って
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自由を得る
門出
(
かどで
)
に、と、あたしは寒い戦慄のもとに、親のもとを離れる第一歩を覚悟した。昔の人が厄年だという十九歳の十二月の末に、親の家から他家へ嫁入りとなって家を出た。
旧聞日本橋:25 渡りきらぬ橋
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そうして父は、叔母に命じて赤飯を炊かせ、賢の出世の
門出
(
かどで
)
を祝った。無論、自分はいつもよりはたくさんの酒をのんで喜んだ。そしてまた、例の通り系図の前に座らせてのお説教だ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
涙を隠し
愁懼
(
しゅうく
)
を包み、
潔
(
いさぎ
)
よく彼の
門出
(
かどで
)
を送りしごとく彼の
遠逝
(
えんせい
)
を送らんのみと。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「これで
門出
(
かどで
)
の
杯
(
さかずき
)
はすんだ、出かけよう、油断して
痴漢
(
しれもの
)
を
討
(
うち
)
もらすな」
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「ハヽヽヽヽ、時局と女とは何の関係もあるまい、
戦争
(
いくさ
)
の
門出
(
かどで
)
に
祝言
(
しうげん
)
するなど云ふことあるぢやないか、松島も久しい
鰥暮
(
やもめくらし
)
ぢや、可哀さうぢやに早くして遣れ——それに一体、山木、誰ぢや、
媒酌
(
ばいしやく
)
は」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
蒲「どうしても
敵討
(
かたきうち
)
の
門出
(
かどで
)
だ。互に交す
茶盃
(
ちやさかづき
)
か」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
行先
(
ゆくさき
)
はさぞや
門出
(
かどで
)
の初ざくら
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
カビ博士は、僕にきせた潜航服をもう一度めんみつに点検して、異常のないのをたしかめた後、僕に
門出
(
かどで
)
の
祝福
(
しゅくふく
)
をのべてくれた。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
民家は一斉に業を
休
(
や
)
めて軒ばを
浄
(
きよ
)
め、かりそめの
忌
(
い
)
み事にも気をつかってその
門出
(
かどで
)
を見送り、兵は
旗幟
(
きし
)
馬印
(
うまじるし
)
を護って陣列を作り、将は威武を飾って、
一鼓六足
(
いっころくそく
)
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それはこれまで抑え抑えて来た慾望の
縛
(
いましめ
)
を解く第一歩を踏み出そうと云う、
門出
(
かどで
)
のよろこびの意味で、
tête-à-tête
(
テタテト
)
はそれには第一要件になっていた。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
いよいよ、
門出
(
かどで
)
の
日
(
ひ
)
がきました。
彼
(
かれ
)
は、
停車場
(
ていしゃじょう
)
への
道
(
みち
)
を
急
(
いそ
)
ぎつつ、ふり
返
(
かえ
)
って、一
日
(
にち
)
として
見
(
み
)
なかったことのない、
山々
(
やまやま
)
をながめました。
雲
(
くも
)
が
出
(
で
)
ていて、
剣
(
けん
)
ガ
嶺
(
みね
)
だけが、
隠
(
かく
)
れていました。
しいたげられた天才
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「今日の
門出
(
かどで
)
に、これをそなたに
遣
(
つか
)
わします」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たるぞ、
軍陣
(
ぐんぢん
)
の
門出
(
かどで
)
に
前
(
さい
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
門出
(
かどで
)
なり
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「それならまたとない
吉
(
よ
)
いお
門出
(
かどで
)
、その折には、藤夜叉が一生のお願いを、どうぞおかなえ下さいませ」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし隊の勇ましい
門出
(
かどで
)
を
余所
(
よそ
)
に見て、
独
(
ひと
)
り岡山に
留
(
とゞ
)
まるに忍びないから、
若
(
も
)
し戦闘が始まつたら、微力ながら応援いたさうと思つて、同じ街道を進んでゐるのだと云つた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
軍陣の
門出
(
かどで
)
に
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「せっかく、大死一番して、かように生れ
甦
(
かわ
)
って、修業の第一歩に向おうと、心を固めております
門出
(
かどで
)
」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さていよいよ九郎右衛門、宇平の二人が
門出
(
かどで
)
をしようとしたが、二人共敵の顔を識らない。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「いや、あとは明日の夜、冥途の月を見て飲もうよ。
門出
(
かどで
)
に不覚な二日酔いをしてはなるまい。ははは」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『承知しました。先生の詩を御覧になったら、猶更、感激なさるでしょう。お話をうかがえば、これが生死のお別れになるかも知れぬ
門出
(
かどで
)
、ぜひお渡しいたしましょう』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊勢方面の味方へ
聯絡
(
れんらく
)
をとるにしても、果たして、その急援が間にあうかどうか。——長兵衛は心もとない気もしたが、叔父の滝川一益は、かれの
門出
(
かどで
)
に、こういっていた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武士
(
ぶし
)
にかえった
門出
(
かどで
)
に、
小文治
(
こぶんじ
)
は、母の
亡骸
(
なきがら
)
をしずかな
湖
(
うみ
)
の底へ
水葬
(
すいそう
)
にするつもりと見える。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「久しいのう。……それにしても、
勅勘
(
ちょっかん
)
の
流人
(
るにん
)
が
門出
(
かどで
)
へ、よう参ることができたの」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おっしゃる通り、天下の大事へのり出そうとする
門出
(
かどで
)
、もう、人殺しと道連れになろうが、泥棒と
合宿
(
あいやど
)
になろうが、決して、小さなことに、目明し根性は出さねえことにいたします」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(良人は、辺土の北国へ、念仏をひろめ賜うために立って今朝は
教化
(
きょうげ
)
の旅の
門出
(
かどで
)
——)と信じているので、そこに悲惨らしい影や、
流人的
(
るにんてき
)
な
傷心
(
いた
)
みとか悶えなどは、見られないからであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一個の人命如きは、
朝
(
あした
)
あって夕べも知れぬが、
量
(
はか
)
るに、わが軍の
門出
(
かどで
)
は、天もその名分を
嘉
(
よみ
)
し、前途を味方し給うものと思われるぞ。まず、腹いっぱい、
鬨
(
とき
)
をあげて、この発足を天下に告げよう
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この大戦の
門出
(
かどで
)
に、余りに涙することばかり多いので、近側の大将は
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おお」と鴻山も、
門出
(
かどで
)
へ気味よくうなずいたが
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(されば、戦場へ打立つ
門出
(
かどで
)
)
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お
門出
(
かどで
)
のお祝いに」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
門出
(
かどで
)
の祝いに」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
門
常用漢字
小2
部首:⾨
8画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“門出”で始まる語句
門出祝
門出酒