ちょう)” の例文
もちろん文句は同じもので、先生はほとんど息をころしている。するとかれらの中から、船宿「千本」のちょうの呼びかける声がする。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
今、世の人心として、人々ただちに相接すれば、必ず他のたんを見て、そのちょうを見ず、己れに求むること軽くして人に求むること多きを常とす。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
僕は同期生でも官海かんかいには三年のちょうがある。今までのところは極く有効に泳いで来たつもりだったから、試験や就職について心得を話してやった。
首切り問答 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「こういう証文さえ入れさせて置けばもう大丈夫だからね。それでないと何時まで蒼蠅うるさく付けまとわられるか分ったもんじゃないよ。ねえちょうさん」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
などと、ホテルのボーイちょう長谷川はせがわさんは、外国から来る新聞によく気をつけていて、珍らしい写真があると、それを丁坊に知らせてくれるのだった。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「味方は、時を稼ぎ、敵は惰気とおごりをちょうじ、かれの大軍と、味方の小勢は、そこで互角に、立ち合えましょう」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
利助りすけ陶器とうき特徴とくちょうは、その繊細せんさい美妙びみょうかんじにありました。かれ薄手うすでな、純白じゅんぱく陶器とうきあい金粉きんぷんとで、花鳥かちょうや、動物どうぶつ精細せいさいえがくのにちょうじていたのであります。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
としちょうじて、小学校という不可解な社会生活に入って行かねばならなかった時、彼はどれ程か当惑し、恐怖を感じたことであろう。彼は誠に異様な小学生であった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
兼「ちょう兄い……不思議だな、一昨日おとゝいあたりからズキ/\する疼みがなくなってしまった、能く利く湯だなア」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これに反し酒の好きな者は医師がいかにその害を説くも、百薬のちょうなりと頑張がんばって聴かぬものが多い。心のきらいと物の善悪を混同こんどうする者は実際を見るめいうしなう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ちょうどそのころ、中津なかつ家老かろう大名だいみょう小名しょうみょうのけらいのちょう)の奥平壱岐おくだいらいきというわかいさむらいが、砲術ほうじゅつ研究けんきゅうのためにやってきて、ここにとまっていたからです。
そのカムツァンというのには一人のちょうがありまして、其長それは年番である。私の行った時分の長はラートェパという人で、ごく親切な無邪気なおじいさんでございました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
独美が厳島から大阪にうつった頃しょうがあって、一男二女を生んだ。だんは名を善直ぜんちょくといったが、多病で業を継ぐことが出来なかったそうである。二女はちょう智秀ちしゅうおくりなした。寛政二年に歿している。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
平気な顔でちょうちゃんはあたいの旦那だんなだよと怒鳴どなった。去年初めて学校からの帰り道を待乳山で待ち合わそうと申出もうしだしたのもお糸であった。宮戸座みやとざ立見たちみへ行こうといったのもお糸が先であった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
源助町助勢のちょう、遊佐剛七郎がヌックとち上った。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「いってえ、どうしたッてんだ、ちょうさん」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その少年は船宿「千本」のちょうの同級生で、背丈が小さく、からだせているが、頭だけが大きく、しかもはちがひらいていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
としちょうじてどの様な妖婦となり、年老いて如何なる悪婆となるか。彼女が第一に行う大犯罪はそもそも何事であるか。又この女悪魔を向うに廻して闘うものは誰か。
江川蘭子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかもその人は、生れながらの病弱で、ちょうじてからも瘋癲ふうてんの持病があり、周囲はそれも知りぬいていた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初さんの隣りがちょうどんでこれは昨日きのう火事でき出されたかのごとく愁然しゅうぜん算盤そろばんに身をもたしている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おたがいに、愛情あいじょうがあり、しんせつだったから、万物ばんぶつちょうといわれたが、いまは、残忍ざんにんなこと、ほかの動物どうぶつでないから、かえって、悪魔あくまちかいといえるだろう。」と、S少年エスしょうねんがいいました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうさん、僕は役者だよ。」と顔をさし出して長吉の耳元にささやいた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ちょうさん」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
釣舟宿の「千本」の三男のちょうから、私は老人のことを聞いた。その土地の出来事について、籠屋のおたまと「千本」の長とが、つねにぬかりなく情報を呉れるのである。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
もう一人——名前を忘れたから、もう一人というよりほかに仕方がないが——これは熊岳城ゆうがくじょう苗圃びょうほちょうで、もと橋本に教わった事があると云うだけに、手綱をすべを心得ている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
呂宋兵衛は、怪力かいりきもあり幻術げんじゅつにもちょうじているが、異邦人いほうじんの血のまじっている証拠しょうこには、戦いというものに対して、すこぶる考えがちがう。それに修道者イルマンでもあっただけに、迷信めいしんにとらわれやすかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あら、ちょうちゃんもいたの。学校がお休み……あら、そう。」
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ちょうさん、角力すもうらないか。」
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
釣舟宿つりぶねやどの「千本」の三男のちょうから、私は老人のことを聞いた。その土地の出来事について、籠屋かごやのおたまと「千本」の長とが、つねにぬかりなく情報をれるのである。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ちょうさんの話では御前さんが月々いくらいくらわたしるという事だが、実際御前さんの、呉れるといった金高かねだかはどの位なのか、長さんに内所ないしょでちょっと知らせてくれないかと書いてあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ちょうさん、あそびませんか?」
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょう幸助こうすけだといっていますよ」と、内門人の少年は云った。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「もう来そうなもんですね、ちょうさんも。あれほどいってあるんだから忘れるはずはないんだが。それに今日は明けの日だから、遅くとも十一時頃までには帰らなきゃならないんだから。何ならちょっとむかいりましょうか」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「かさ持ちってなんだ」と脇で聞いていたちょうが云った。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ちょう、客か」と、その娘がこっちへ来ながら云った。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「幸坊のちょうか」
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)