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酔
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ゑひ
ふりがな文庫
“
酔
(
ゑひ
)” の例文
旧字:
醉
電車に乗つてから、暫らくの間信一郎は夫人に対する
酔
(
ゑひ
)
から、醒めなかつた。それは確かに
酔心地
(
ゑひごゝち
)
とでも云ふべきものだつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
僅
(
わづか
)
にかく言ひ放ちて貫一は
厳
(
おごそ
)
かに沈黙しつ。満枝もさすがに
酔
(
ゑひ
)
を
冷
(
さま
)
して、彼の
気色
(
けしき
)
を
候
(
うかが
)
ひたりしに、例の
言寡
(
ことばすくな
)
なる男の次いでは言はざれば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
姐さんはそれを聞いて、大喜びに喜んで、代りの晴着を
拵
(
こしら
)
へて呉れた。お客は
酔
(
ゑひ
)
から
醒
(
さ
)
めて、真青な顔をして謝りに来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
時平
或日
(
あるひ
)
国経
(
くにつね
)
の
許
(
もと
)
に
宴
(
えん
)
し、
酔興
(
すゐきやう
)
にまぎらして
夫人
(
ふじん
)
を
貰
(
もら
)
はんといひしを、国経も
酔
(
ゑひ
)
たれば
戯言
(
たはぶれごと
)
とおもひてゆるしけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
此方
(
こなた
)
に入らせ給へとて、奥の方にいざなひ、酒
菓子
(
くだもの
)
種々
(
さまざま
)
と
管待
(
もてな
)
しつつ、
喜
(
うれ
)
しき
酔
(
ゑひ
)
ごこちに、つひに枕をともにしてかたるとおもへば、夜明けて夢さめぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
悪人の虚栄心は文学者や婦人のそれよりも更に
甚
(
はなはだ
)
しい事を記載し、「殺人者の
酔
(
ゑひ
)
」と題するボオドレエルの
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
やはり
大分
(
だいぶ
)
酔
(
ゑひ
)
がまはつてゐたのだらう。舞妓は椿餅にも飽きたと見えて、独りで
折鶴
(
をりづる
)
を
拵
(
こしら
)
へてゐる。おまつさんと
外
(
ほか
)
の芸者とは、小さな声で、誰かの噂か何かしてゐる。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
霊枢年忌の論は恰も我俗に所謂厄年と符してゐる。兄上は今年其時に当つてをられる。聞けば矢の倉の発会に
酔
(
ゑひ
)
に乗じて争論せられたさうである。是は気血動くの致す所である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そこで頭のなかは、重くろしい、煙のやうな、酒の
酔
(
ゑひ
)
のやうな状態になつてゐる。
笑
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
君が眠り得ぬ夜のために飲むべく云ひ置き給へりしベルモツトはさすがに舌なれぬ心地、
未
(
ま
)
だ知らぬ
酔
(
ゑひ
)
の案ぜられも致され、赤の葡萄酒を
紅
(
べに
)
色のカツプに一つつがせてのち
床
(
とこ
)
に
横
(
よこた
)
はり
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それ
兄様
(
あにさま
)
のお帰りと言へば、
妹
(
いもと
)
ども
怕
(
こわ
)
がりて
腫
(
は
)
れ物のやうに障るものなく、何事も言ふなりの通るに一段と我がままをつのらして、
炬燵
(
こたつ
)
に両足、
酔
(
ゑひ
)
ざめの水を水をと
狼藉
(
らうぜき
)
はこれに
止
(
とど
)
めをさしぬ
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女はこの目を見て、始めて沈鬱の
酔
(
ゑひ
)
といふものを覚えたのである。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
「あれは何が泣くのでせう」と松川に問へば苦い顔して、
談話
(
はなし
)
を
傍
(
わき
)
へそらしたるにぞ
推
(
お
)
しては問はで黙して
休
(
や
)
めり。ために
折角
(
せつかく
)
の
酔
(
ゑひ
)
は
醒
(
さ
)
めたれども、酔うて席に
堪
(
た
)
へずといひなし、予は寝室に
退
(
しりぞ
)
きつ。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
色も香も
酔
(
ゑひ
)
をすすむる花の下
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廊
(
らう
)
を踏むよな
酔
(
ゑひ
)
ごこち
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
時平
或日
(
あるひ
)
国経
(
くにつね
)
の
許
(
もと
)
に
宴
(
えん
)
し、
酔興
(
すゐきやう
)
にまぎらして
夫人
(
ふじん
)
を
貰
(
もら
)
はんといひしを、国経も
酔
(
ゑひ
)
たれば
戯言
(
たはぶれごと
)
とおもひてゆるしけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
奇遇に驚かされたる彼の
酔
(
ゑひ
)
は
頓
(
とみ
)
に
半
(
なかば
)
は消えて、せめて昔の
俤
(
おもかげ
)
を認むるや、とその人を
打眺
(
うちなが
)
むるより外はあらず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二日の夜、よきほどの
酔
(
ゑひ
)
ごこちにて、
年来
(
としごろ
)
の
大内住
(
うちずみ
)
に、
辺鄙
(
ゐなか
)
の人は
三〇八
はたうるさくまさん。
三〇九
かの御わたりにては、何の
三一〇
中将
宰相
(
さいしやう
)
の君などいふに
三一一
添ひぶし給ふらん。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
なれどもその夜は珍陀の
酔
(
ゑひ
)
に前後も不覚の
体
(
てい
)
ぢやによつて、しばしがほどこそ多勢を相手に、組んづほぐれつ、
揉
(
も
)
み合うても居つたが、やがて足をふみすべらいて、思はずどうとまろんだれば
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
急
(
きふ
)
に
何
(
なん
)
だか
寂
(
さび
)
しく
成
(
な
)
つて、
酔
(
ゑひ
)
ざめのやうな
身震
(
みぶる
)
ひが
出
(
で
)
た。
急
(
いそ
)
いで、
燈火
(
ともしび
)
を
当
(
あて
)
に
駆下
(
かけお
)
りる、と
思
(
おも
)
ひがけず、
往
(
ゆき
)
には
覚
(
おぼ
)
えもない
石壇
(
いしだん
)
があつて、
其
(
それ
)
を
下切
(
おりき
)
つた
処
(
ところ
)
が
宿
(
やど
)
の
横
(
よこ
)
を
流
(
なが
)
れる
矢
(
や
)
を
射
(
ゐ
)
るやうな
谿河
(
たにがは
)
だつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼は
啖
(
くら
)
ふこと
傍
(
かたはら
)
に人無き
若
(
ごと
)
し。満枝の
面
(
おもて
)
は
薄紅
(
うすくれなゐ
)
になほ
酔
(
ゑひ
)
は有りながら、
酔
(
よ
)
へる
体
(
てい
)
も無くて、唯打案じたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
余
(
よ
)
こたへて、そはあるじが持玉ふ
年浪草
(
としなみぐさ
)
に吾山があらましはしるせり、かの書を見玉へといひしに、
兎角子
(
とかくし
)
は酒にも
酔
(
ゑひ
)
たれば
戯言
(
たはふれ
)
ていふやう、鬼のくるといふ事いかでそらごとならん
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
客
(
まらうど
)
も
主
(
あるじ
)
もともに
酔
(
ゑひ
)
ごこちなるとき、
真女子
(
まなご
)
杯
(
さかづき
)
をあげて、豊雄にむかひ、
八八
花精妙
(
はなぐはし
)
桜が枝の水に
八九
うつろひなす
面
(
おもて
)
に、春吹く風を
九〇
あやなし、
梢
(
こずゑ
)
九一
たちぐく
鶯
(
うぐひす
)
の
九二
艶
(
にほひ
)
ある声していひ出づるは
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
酔
常用漢字
中学
部首:⾣
11画
“酔”を含む語句
酔漢
酔醒
宿酔
微酔
生酔
酔臥
泥酔漢
馬酔木
麻酔
麻酔薬
酔客
酔倒
酔狂
酔興
泥酔
酔払
爛酔
酔心地
悪酔
酣酔
...