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辻褄
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つじつま
ふりがな文庫
“
辻褄
(
つじつま
)” の例文
児供のカタゴトじみた文句を
聯
(
なら
)
べて
辻褄
(
つじつま
)
合わぬものをさえ気分劇などと称して新らしがっている事の出来る誠に結構な時勢である。
明治の文学の開拓者:――坪内逍遥――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私たちが同室したことに対する釈明については、少しでも
辻褄
(
つじつま
)
が合うことならどんなことでも、あなたの申し出をお引受けしましょう。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「なるほど、
辻褄
(
つじつま
)
は合うがね。だが僕は、君の云うような、安手な満足はせんよ。大いに出来ん。とにかく、もっと先を読んでみよう」
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そのころには、病人の体もただ薬の
灌腸
(
かんちょう
)
や注射で
保
(
も
)
たしてあるくらいであった。
頭脳
(
あたま
)
がぼんやりして、言うことも
辻褄
(
つじつま
)
が合わなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何やら訳のわからない
紙片
(
かみきれ
)
を鉄棒の間から突出しながら、
辻褄
(
つじつま
)
の合わない脅迫めいた文句を、私に向って浴びせかけるではありませんか。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
この申立てはよく
辻褄
(
つじつま
)
が合っています。ピストルの音で驚いて飛出したから日記帳がそのまま机の上に
投
(
ほう
)
り出してあったのです。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
はなしの
辻褄
(
つじつま
)
があわないので、さてはまだ知らないなと思ったので、四郎次郎はすぐ彼の
鞍
(
くら
)
わきへ寄った。そして声をひそめて
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ハイあれです、
確
(
たしか
)
にあれです、私は
確
(
たしか
)
に見ました」と
辻褄
(
つじつま
)
のあわぬ返事、主人は
愈
(
いよい
)
よ不思議そうに眉を
顰
(
ひそ
)
めたが、やがて
俄
(
にわか
)
に笑い出して
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その後古い報知新聞を貸して
呉
(
く
)
れて、中を見ると明治十二年の七月二十九日から八月十日頃まで長々と
書
(
かき
)
並べて、
一寸
(
ちょい
)
と
辻褄
(
つじつま
)
が
合
(
あっ
)
て居ます。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
こん度の自殺は、良心の
苛責
(
かしゃく
)
の結果にきまっている。すべてが関聯しているじゃないか。すっかり
辻褄
(
つじつま
)
があうじゃないか?
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
どこと言って
辻褄
(
つじつま
)
の合わんところもないが、それでいて子供の話のようになんとなく
茫洋
(
ぼうよう
)
として捕捉し難いところがある。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
もともと
地唄
(
じうた
)
の文句には
辻褄
(
つじつま
)
の合わぬところや、語法の
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
なところが多くて、
殊更
(
ことさら
)
意味を
晦渋
(
かいじゅう
)
にしたのかと思われるものがたくさんある。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
言うことばも
唐突
(
とうとつ
)
で、何だか
辻褄
(
つじつま
)
が合わないよう——なので、大迫玄蕃は、いっそうゾッとして二、三歩、あとへ退った。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
単に言葉の上だけでもいいから、前後一貫して俗にいう
辻褄
(
つじつま
)
が合う最後まで行きたいというのが、こういう場合相手に対する彼の態度であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実際、嘘を云って、そうして
辻褄
(
つじつま
)
の合わなくなることを完全に無くするにはほとんど超人的な智恵の持主であることが必要と思われるからである。
雑記帳より(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今に猴神に室女を牲した遺式を行いながら毎年田畑のために猴狩りを催すは、崇めるのか
悪
(
にく
)
むのか
辻褄
(
つじつま
)
の別らぬようだが、昔猴を怕れ敬うた事も分り
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
辻褄
(
つじつま
)
の合はぬ囁きを、氣ぜはしく取交し、家の中には、今宵の晴れの儀式に招かれた親類縁者が數十人、これは默りこくつて、右往左往に動いて居ります。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
つまり、二つの場面の間にはぽかんと大きな
間隙
(
かんげき
)
が出来てしまっている。目が覚めてから、夢がどうも
辻褄
(
つじつま
)
が合わなく見えるのは、その間隙の
所為
(
せい
)
が多い。
鳥料理
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そうすると、その老女は何か
辻褄
(
つじつま
)
の合わない
嚇
(
おど
)
し文句を残して、そのままいなくなってしまいました。それから間もなくご病気が起こったのだそうで……。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
これから
直
(
す
)
ぐお
見舞申
(
みまひまを
)
さうと
申
(
まを
)
しますと、いや
明日
(
あす
)
でよい、
當方
(
たうはう
)
から
迎
(
むか
)
へをよこすと、
辻褄
(
つじつま
)
の
合
(
あ
)
はぬことを
言
(
い
)
うて、さツさと
歸
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
かれるのでござります。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
この男の言うことがどのくらいまで信用が置けるか知らないが、前後の話の
辻褄
(
つじつま
)
はよく合うから七兵衛は
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ばくちを打ち、
辻褄
(
つじつま
)
の合わぬちぐはぐな
駄
(
だ
)
ぼらを吹き合う、そしてその
揚句
(
あげく
)
のはては恐ろしい
喧嘩
(
けんか
)
だ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
純次はどうせ
辻褄
(
つじつま
)
の合わないことをいう低能者ではあった。しかし今の言葉に清逸は、低能でない何人からも求められない純粋な親切を感ぜずにはいられなかった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
手紙の終わりには、なおいろいろの弁解が付け加えてあって、やや
辻褄
(
つじつま
)
の合わない点もあるが、筆者はすこぶる注意して書いたらしく、くどくどと
列
(
なら
)
べ立ててあった。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
と安達君はシドロモドロだったが、兎に角相手が納得する程度に
辻褄
(
つじつま
)
を合せた。先日の敵討だ。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
はしなくも
話頭
(
はなし
)
がみずから犯した罪に、すこしでも触れると、すぐにビクつき、あるいは
顔色
(
かおいろ
)
が変わり、あるいは声が
顫
(
ふる
)
え、あるいはその言うことに
辻褄
(
つじつま
)
が合わなくなり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
氏の説は快楽説として実に
能
(
よ
)
く
辻褄
(
つじつま
)
の合った者であるが、ただ一つ何故に個人の最大快楽ではなくて、最大多数の最大幸福が最上の善でなければならぬかの説明が明瞭でない。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
そこで
先方
(
むこう
)
ももちろん私がダージリンに居たことをここで明かせば自分の身にも害が及ぶという位の事は知って居るものですから、私の話に応じてうまく
辻褄
(
つじつま
)
を合わしたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
青年等のごとく、何事にも
辻褄
(
つじつま
)
を合せたがることの中には、何かしらおかしな所がある。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
辻褄
(
つじつま
)
の合わないところはあったが、しかし確かに丹生川平のために、働いたことは事実だったので、誰もが一応受け入れて、弦四郎をして依然として、丹生川平のこの別天地へ
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
友の態度にどこか
辻褄
(
つじつま
)
の合わぬこと——矛盾のあることに、私はすぐに気がついた。
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
君は
辻褄
(
つじつま
)
の合ったことが考えられるか、クレエゲル君、落ち着いて、ちょっとでも山や効果を作り出すことができるかね——血がいかがわしくむずむずして、いろんな度外れな感興が
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
絶えず
訊
(
き
)
くのが夫人の習慣になっていたが、なにしろ場合が場合であるので、きょうに限ってリザヴェッタはとかくに
辻褄
(
つじつま
)
の合わないような返事ばかりするので、夫人はしまいに怒り出した。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
わたくしどもが拝見しても
脚本
(
ほん
)
としたら随分悪い脚本……
実
(
み
)
のない、
辻褄
(
つじつま
)
の合わない、いまどきどうしてこんな時代なものを由良さんがなさるだろう? ……失礼ながらそう思った位でしたが
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
神聖観に護られて、固定のままあるいは
拗曲
(
ようきょく
)
したままに、伝った語句もある。だがたいていは、呪詞
諷唱
(
ふうしょう
)
者・叙事詩
伝誦
(
でんしょう
)
者らの常識が、そうした語句の周囲や文法を変化させて
辻褄
(
つじつま
)
を合せている。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
村田は、そんな
辻褄
(
つじつま
)
の合わぬことを叫ぶと、ぱっと部屋を飛出した。
睡魔
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
『そこへ気が付いてから、瀬川君の為ることは
悉皆
(
すつかり
)
読めるやうに成ました。どうも
可笑
(
をか
)
しい/\と思つて見て居ましたツけ——そりやあもう、
辻褄
(
つじつま
)
の合はないやうなことが
沢山
(
たくさん
)
有つたものですから。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
が、それだと、しめくくりが
緩
(
ゆる
)
んでちと
辻褄
(
つじつま
)
が合わない。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なんという
辻褄
(
つじつま
)
の合わぬことであろう。
改善は頭から
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
何だか
辻褄
(
つじつま
)
の合わぬまずい文句だし、書風もお家流まがいの下手な手だね。昔の余り教養のないお爺さんでも書いたものだろう。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
紫のハンカチを手渡しさせた……二年前の志村のぶ子と同じ役目を受け持たせた……という計画の
辻褄
(
つじつま
)
がすっかり合って来るではないか。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
もし、あの事件が禍根とすれば、武蔵の離郷がもっと幼少でなければ
辻褄
(
つじつま
)
が合わないし、また、東作誌そのものが記載を逸している筈はない。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれどもこの時
御寮人
(
ごりょうにん
)
の前へ呼ばれた佐助の態度がオドオドして
胡散臭
(
うさんくさ
)
いのに不審が加わり
問
(
と
)
い
詰
(
つ
)
めて行くと
辻褄
(
つじつま
)
の合わないことが出て来て実はそれを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
辻褄
(
つじつま
)
の合ぬ囁きを、気ぜわしく取り交し、家の中には、今宵の晴れの儀式に招かれた親類縁者が数十人、これは黙りこくって、右往左往に動いております。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この哀話を断片的に二三の人から
聴
(
き
)
き、自分で勝手な
辻褄
(
つじつま
)
を合わせてみたりしたものだったが、土地うちの人は、この事件に誰も深く触れようとはしなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうだろう、そう来なくっては
辻褄
(
つじつま
)
が合わん。第一余の理論の証明に関係してくる。
先
(
ま
)
ずこれなら安心。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その証拠固めをして、
辻褄
(
つじつま
)
を合わせるだけでも、容易な捜索では追っつかないが、それは酔いのさめる時を待って
徐
(
おもむ
)
ろに訊問をつづけても遅くはあるまいが、要するに
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その母が今更に武家奉公を不安らしくいうのは
辻褄
(
つじつま
)
が少し合わないようにも聞えるのであった。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
どうですね、この
辻褄
(
つじつま
)
のあった陳述に御子息の精神の異状が認められるでしょうか?
予審調書
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「私もこの頃は
何
(
ど
)
うも時々お話に
辻褄
(
つじつま
)
の合わないところがあると思っていました」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
辻
漢検準1級
部首:⾡
6画
褄
漢検1級
部首:⾐
13画
“辻”で始まる語句
辻
辻占
辻斬
辻馬車
辻々
辻駕籠
辻待
辻堂
辻君
辻番所