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みぶる
ふりがな文庫
“
身顫
(
みぶる
)” の例文
六郎の馬が
前
(
さき
)
になって堂の
前
(
まえ
)
まで往ったところで、馬が不意に物に狂ったように、
身顫
(
みぶる
)
いしたために、六郎は馬から落ちてしまった。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼は手さぐりで五六段ある
梯子
(
はしご
)
のようなものを下りて行ったが、底の方の空気が異様に冷え冷えとしているので、思わず
身顫
(
みぶる
)
いをした。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
乱れた髪の上から、猿轡を
食
(
は
)
まされ舞台の上に引据えられて、
紅
(
くれない
)
の
裳
(
もすそ
)
を乱したお村は、顔色を変えてゾッと
身顫
(
みぶる
)
いしたようです。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こういう場合に
立到
(
たちいた
)
ると、君江はなお更
烈
(
はげ
)
しくいつもの癖が増長して、後になって我ながら浅間しいと
身顫
(
みぶる
)
いする事も幾度だか知れない。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
羊の
身顫
(
みぶる
)
いに夢を破る 二疋の羊が身顫いし雪を払って居るです。それがちょうど私の身体の雪を払うようになって居るのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
「へ、どうぞあなたから」——由蔵はこう云うと舌を出したが、にわかにブルッと
身顫
(
みぶる
)
いをした。さも恐ろしいというように。
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すると、仔羊は、
身顫
(
みぶる
)
いをし、軟らかな脚をふんばり、鼻先へべろべろのものをいっぱいくっつけ、哀れっぽい調子で、乳をしゃぶりたがる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
とうとうやつたな‥‥と、
私
(
わたし
)
は
思
(
おも
)
つた。そして、
總身
(
そうみ
)
に
身顫
(
みぶる
)
ひを
感
(
かん
)
じながら
立
(
た
)
ち
留
(
どま
)
つた。
中根
(
なかね
)
の
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えなかつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
日本服に着換えて、
身顫
(
みぶる
)
いをしてようやくわれに帰った頃を
見計
(
みはから
)
って婆さんはまた「どうなさいました」と尋ねる。今度は先方も少しは落ついている。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ベートーヴェンはその魂の中に
清教徒
(
ピューリタン
)
的な或るものを持っていた。卑猥な思想や談話は彼を
身顫
(
みぶる
)
いさせた。恋愛の聖性については強硬な考えをもっていた。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
猫背
(
ねこぜ
)
な三味線の師匠は、
小春日和
(
こはるびより
)
の日を背中にうけた、ほっこりした気分で、耳の穴を、
観世縒
(
かんぜより
)
でいじりながら、猫のようにブルブルと軽く
身顫
(
みぶる
)
いをした。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「…………」陳君は、怪老人の不気味な一言に、ぞッと
身顫
(
みぶる
)
いして
後退
(
あとじさ
)
りした。老人は、自ら亡霊ではないと云ったが、血の通った人間とは信じられない。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
諾
(
えゝ
)
、と返事をしなければならないと思ふ——しかも私は
身顫
(
みぶる
)
ひをするのだ。あゝ、若しセント・ジョンと一緒になれば、私は自分を半分捨てなくてはならない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
一こえきわめて
幽
(
かす
)
かながら紛るべくもあらぬその人である。同時に枝折戸は押された。省作は
俄
(
にわ
)
かに寒けだってわなわなする。おとよも同じように
身顫
(
みぶる
)
いが出る。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
心の中じゃ
身顫
(
みぶる
)
いの出るほど嫌ってるんだが、あまり
素気
(
そっけ
)
なくすると
許嫁
(
いいなずけ
)
のところへ暴れ込まれ、せっかく纏りかけた縁談をぶち
毀
(
こわ
)
されないものでもないと思って
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼はその顔をしばらく覓めていたが、やがてものに襲われでもしたように
身顫
(
みぶる
)
いしながら外向いた。
蛮人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ロッセ氏は、そういって、ぶるぶると
身顫
(
みぶる
)
いをすると、急いでグラスを唇のところへ持っていった。
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
引被
(
ひっかぶ
)
って
達引
(
たてひき
)
でも、もしした日には、荒いことに
身顫
(
みぶる
)
いをする姐さんに申訳のない
仕誼
(
しぎ
)
だと、
向後
(
きょうご
)
謹みます、相替らず酔ったための怪我にして、ひたすら恐入るばかり。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ブルツと
身顫
(
みぶる
)
ひして体を半分
擡
(
もた
)
げかけると、目の前にお由の大きな体が横たはつてゐる。眠つたのか、
小動
(
こゆる
)
ぎもせぬ。右の
頬片
(
ほつぺた
)
を板敷にベタリと付けて、其顔を炉に向けた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
解剖上の醜悪なものにはいかに慣れている博士さえも
身顫
(
みぶる
)
いを禁じ得ずに、首を取上げてみた。頸部と前顎に滅多斬りにきりつけた痕があるだけで、顔面は大体無傷であった。
秘密の庭
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
忿怒
(
ふんぬ
)
の
身顫
(
みぶる
)
いが傍聴人たちの間をつたわって行った。論告を
了
(
おわ
)
って検事が着席すると
墓
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
私は振り返って奥穂高を仰いでいたが、その冷たい瞳に射すくめられて、
身顫
(
みぶる
)
いした。
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
最初は
只
(
た
)
だよく
面影
(
おもざし
)
の似た女としげ/\
見惚
(
みと
)
れ、段々と傍へ寄って参って見れば姿こそ変っておりますが、
身顫
(
みぶる
)
いの出るほどに惚れた根岸のお嬢さんでげすから、勘太も驚きましたね
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
アルチバセフの快楽主義にさえ
身顫
(
みぶる
)
いしたロシア婦人は
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
スタイルの淫事も、寝床で踊る未来派の怪奇も、断髪にする苦痛さえもなし、公爵婦人の名誉さえ瞬間に地に葬ったのです。
恋の一杯売
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
いつのまにか
叢
(
くさむら
)
の上に立ってこちらを見ているのは、例の、飛騨の高山の
穀屋
(
こくや
)
の後家さんであります。その声を聞くと、竜之助が
身顫
(
みぶる
)
いをしました。今の
悪戯
(
いたずら
)
はこいつだ。
年甲斐
(
としがい
)
もない
噪
(
はしゃ
)
ぎ方だ。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
寛
(
くつろ
)
げた
寝衣
(
ねまき
)
の胸に吹き入るしぶきに
身顫
(
みぶる
)
いをしてふと台場の方を見ると、
波打際
(
なみうちぎわ
)
にしゃがんでいる人影が潮霧の中にぼんやり見える。熊さんだと一目で知れた。
小倉
(
こくら
)
の服に柿色の
股引
(
ももひき
)
は外にはない。
嵐
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この歩き
廻
(
まわ
)
って、ねとねとと汗の浮く真夏の夜だというのに、
寒
(
さ
)
むそうに肩を
窄
(
すぼ
)
めて、ぶるっと
身顫
(
みぶる
)
いをすると、
恰度
(
ちょうど
)
眼の前に来た分れみちのところで、鷺太郎から渡されたカンテラを、怖る怖る
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
すると先方はホラ気違ひが笑つたといふのでゾッと
身顫
(
みぶる
)
ひに及び、気違ひにチーズやバタがいりますか、ゼイタクな、それを又、取りつぐ馬鹿がゐるのだからネ、と言つて怒るのである。フッフッフ。
二十一
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
間もなく
寒垢離
(
かんごり
)
を取るような水の音、昼下がりの陽射しはポカポカするようでも正月四日の寒さに、水の音を聴いただけでゾッと
身顫
(
みぶる
)
いが出ます。
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
妾
(
めかけ
)
はいつでもこの時分には銭湯に行った留守のこと、彼は一人
燈火
(
あかり
)
のない座敷の置炬燵に
肱枕
(
ひじまくら
)
して、折々は
隙漏
(
すきも
)
る寒い川風に
身顫
(
みぶる
)
いをするのである。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ブルッと彼は
身顫
(
みぶる
)
いしたが、みるみる精気が全身に充ちた。と刀が
鞘
(
さや
)
走り、その切っ先から
鍔際
(
つばぎわ
)
まであたかも氷の棒かのように、月の光に白み渡ったが
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
許宣は法海禅師に別れて、
身顫
(
みぶる
)
いしながら帰り、針子橋の李克用の家へ往った。李克用は許宣から白娘子の話を聞いて、はじめて誕生日の夜に見た妖蛇の話をした。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それでも、情愛こまやかに、追いつ追われつ、
身顫
(
みぶる
)
いする林の上に大きな
輪
(
わ
)
を画くのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
さうだ——それが私には恐しいことだつたのだ——その他のことなら我慢も出來たけれども。また私はグレイス・プウルが私に向つてとび出して來るといふことを考へて
身顫
(
みぶる
)
ひした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
池田良斎が答えると、俳諧師は
驟雨
(
にわかあめ
)
にでも逢ったように
身顫
(
みぶる
)
いをして
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
曾
(
かつ
)
て幾人かの人の血を流したかも知れない喧嘩刀で、自分の伜の命を斷つた不思議な廻り合せに清兵衞は何んとなく
身顫
(
みぶる
)
ひを感じて居たのでした。
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
紀州藩士でもないそんな武士が、このような時にあらわれて、自分に刃向かって来るとは何んだ! ——という怒りの感情が、兵庫を改めて
身顫
(
みぶる
)
いさせた。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もしやこれが話にきく恐しい病気だったら、どうしようと覚えず
身顫
(
みぶる
)
いをした。医者に見てもらった方がいいとは思いながら、
耻
(
はずか
)
しさと恐しさが先に立って見て貰いには行けない。
心づくし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
間もなく
寒垢離
(
かんごり
)
を取るやうな水の音、晝下がりの陽射しはポカポカするやうでも正月四日の寒さに、水のお音を聽いただけでゾツと
身顫
(
みぶる
)
ひが出ます。
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、
柵
(
しがらみ
)
は
身顫
(
みぶる
)
いをし物におびえたというように部屋の中を怖そうに見廻したが、ツト画像の前まで行き、夏彦の画像へ両手を投げ掛け
譫言
(
うわごと
)
のように叫ぶのであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いざといふ時、眉毛を
濕
(
しめ
)
されると、全身に
身顫
(
みぶる
)
ひが走りました。娘もそれつきり、といふ氣持なんです。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ブルッと一つ
身顫
(
みぶる
)
いをしたが、噛みつきたげの兇猛の眼つきで、紋也の顔を見上げ見下ろした。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
夢あればこそ我々はあらゆる疾苦と不平と懊悩にも堪えて、
兎
(
と
)
にも
角
(
かく
)
にも何万日という——考えただけでも
身顫
(
みぶる
)
いを感ずるような、恐ろしい生活を続けて行くのです
奇談クラブ〔戦後版〕:14 第四次元の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そうか」ととうとう十平太も不審の小首を
傾
(
かし
)
げるようになった。と、見て取った手下どもは一時にゾッと
身顫
(
みぶる
)
いをした。迷信深い賊の常として、幽霊を連想したのであった。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「神田の銭形平次兄哥を知らない者があるものか。顔を知らなくとも、名前だけは子供でも知っているよ。身に覚えのある野郎は、銭形と聴いただけでも
身顫
(
みぶる
)
いする」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう一度布を差し上げて、月の光に照らして見たが、庄三郎は思わず
身顫
(
みぶる
)
いをした。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「神田の錢形平次兄哥を知らない者があるものか。顏を知らなくとも、名前だけは子供でも知つて居るよ。身に覺えのある野郎は、錢形と聽いただけでも
身顫
(
みぶる
)
ひする」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これこれ若者、馬鹿なことを申せ、いずれお前は旅の
人間
(
もの
)
でこの土地の様子を知らぬからこそさような太平楽も申しておれ、恐ろしいこの土地の話を聞いたら恐らく
身顫
(
みぶる
)
いするであろうぞ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お富はぞっと
身顫
(
みぶる
)
いをしました。十九の厄、これは一座をパッと明るくするような娘です。
銭形平次捕物控:050 碁敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「では俺の血も絞るのか?」甚太郎はブルッと
身顫
(
みぶる
)
いした。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
顫
漢検1級
部首:⾴
22画
“身”で始まる語句
身体
身
身上
身装
身扮
身體
身動
身長
身代
身悶