“身顫:みぶる” の例文
“身顫:みぶる”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂9
国枝史郎7
永井荷風2
田中貢太郎2
堀辰雄1
“身顫:みぶる”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語5.8%
文学 > 英米文学 > 小説 物語5.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
日本服に着換えて、身顫みぶるいをしてようやくわれに帰った頃を見計みはからって婆さんはまた「どうなさいました」と尋ねる。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「へ、どうぞあなたから」——由蔵はこう云うと舌を出したが、にわかにブルッと身顫みぶるいをした。さも恐ろしいというように。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すると、仔羊は、身顫みぶるいをし、軟らかな脚をふんばり、鼻先へべろべろのものをいっぱいくっつけ、哀れっぽい調子で、乳をしゃぶりたがる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
彼は手さぐりで五六段ある梯子はしごのようなものを下りて行ったが、底の方の空気が異様に冷え冷えとしているので、思わず身顫みぶるいをした。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
紋也の言葉は兵馬に痛いもののように思われた。ブルッと一つ身顫みぶるいをしたが、噛みつきたげの兇猛の眼つきで、紋也の顔を見上げ見下ろした。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こんな事が偶然であり得よう筈はありません。これには何んか思いも寄らぬ重大な謎が潜んでいるのでしょう。私はゾッと身顫みぶるいを感じました。
ロッセ氏は、そういって、ぶるぶると身顫みぶるいをすると、急いでグラスを唇のところへ持っていった。
解剖上の醜悪なものにはいかに慣れている博士さえも身顫みぶるいを禁じ得ずに、首を取上げてみた。
ブルツと身顫みぶるひして体を半分もたげかけると、目の前にお由の大きな体が横たはつてゐる。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かつて幾人かの人の血を流したかも知れない喧嘩刀で、自分の伜の命を斷つた不思議な廻り合せに清兵衞は何んとなく身顫みぶるひを感じて居たのでした。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「…………」陳君は、怪老人の不気味な一言に、ぞッと身顫みぶるいして後退あとじさりした。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
お富はぞっと身顫みぶるいをしました。十九の厄、これは一座をパッと明るくするような娘です。
銭形平次捕物控:050 碁敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
また私はグレイス・プウルが私に向つてとび出して來るといふことを考へて身顫みぶるひした。
もう一度布を差し上げて、月の光に照らして見たが、庄三郎は思わず身顫みぶるいをした。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
池田良斎が答えると、俳諧師は驟雨にわかあめにでも逢ったように身顫みぶるいをして、
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
くつろげた寝衣ねまきの胸に吹き入るしぶきに身顫みぶるいをしてふと台場の方を見ると、波打際なみうちぎわにしゃがんでいる人影が潮霧の中にぼんやり見える。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
えゝ、と返事をしなければならないと思ふ——しかも私は身顫みぶるひをするのだ。
「神田の錢形平次兄哥を知らない者があるものか。顏を知らなくとも、名前だけは子供でも知つて居るよ。身に覺えのある野郎は、錢形と聽いただけでも身顫みぶるひする」
許宣は法海禅師に別れて、身顫みぶるいしながら帰り、針子橋の李克用の家へ往った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、總身そうみ身顫みぶるひをかんじながらどまつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「そうか」ととうとう十平太も不審の小首をかしげるようになった。と、見て取った手下どもは一時にゾッと身顫みぶるいをした。迷信深い賊の常として、幽霊を連想したのであった。
羊の身顫みぶるいに夢を破る 二疋の羊が身顫いし雪を払って居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
と、しがらみ身顫みぶるいをし物におびえたというように部屋の中を怖そうに見廻したが、ツト画像の前まで行き、夏彦の画像へ両手を投げ掛け譫言うわごとのように叫ぶのであった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
忿怒ふんぬ身顫みぶるいが傍聴人たちの間をつたわって行った。
(新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
すると先方はホラ気違ひが笑つたといふのでゾッと身顫みぶるひに及び、気違ひにチーズやバタがいりますか、ゼイタクな、それを又、取りつぐ馬鹿がゐるのだからネ、と言つて怒るのである。
二十一 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「では俺の血も絞るのか?」甚太郎はブルッと身顫みぶるいした。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それは夏の晴れ切った日の夕方であった。六郎の馬がさきになって堂のまえまで往ったところで、馬が不意に物に狂ったように、身顫みぶるいしたために、六郎は馬から落ちてしまった。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
めかけはいつでもこの時分には銭湯に行った留守のこと、彼は一人燈火あかりのない座敷の置炬燵に肱枕ひじまくらして、折々は隙漏すきもる寒い川風に身顫みぶるいをするのである。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すると、やがて、二羽の鴫が、舞い上がった。例の長い嘴で、そのために、飛びかたが重い。それでも、情愛こまやかに、追いつ追われつ、身顫みぶるいする林の上に大きなを画くのである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
猫背ねこぜな三味線の師匠は、小春日和こはるびよりの日を背中にうけた、ほっこりした気分で、耳の穴を、観世縒かんぜよりでいじりながら、猫のようにブルブルと軽く身顫みぶるいをした。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「これこれ若者、馬鹿なことを申せ、いずれお前は旅の人間ものでこの土地の様子を知らぬからこそさような太平楽も申しておれ、恐ろしいこの土地の話を聞いたら恐らく身顫みぶるいするであろうぞ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その声を聞くと、竜之助が身顫みぶるいをしました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
八五郎は返す言葉もなく井戸端へ廻りました。間もなく寒垢離かんごりを取るような水の音、昼下がりの陽射しはポカポカするようでも正月四日の寒さに、水の音を聴いただけでゾッと身顫みぶるいが出ます。
八五郎は返す言葉もなく井戸端へ廻りました。間もなく寒垢離かんごりを取るやうな水の音、晝下がりの陽射しはポカポカするやうでも正月四日の寒さに、水のお音を聽いただけでゾツと身顫みぶるひが出ます。
引被ひっかぶって達引たてひきでも、もしした日には、荒いことに身顫みぶるいをする姐さんに申訳のない仕誼しぎだと、向後きょうご謹みます、相替らず酔ったための怪我にして、ひたすら恐入るばかり。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
卑猥な思想や談話は彼を身顫みぶるいさせた。
おとよも同じように身顫みぶるいが出る。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
若衆はブルッと身顫みぶるいをした。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
身顫みぶるひして正氣づいた八五郎、
妾達の祖先が献身的であったころ、アルチバセフの快楽主義にさえ身顫みぶるいしたロシア婦人は欧羅巴ヨーロッパスタイルの淫事も、寝床で踊る未来派の怪奇も、断髪にする苦痛さえもなし、公爵婦人の名誉さえ瞬間に地に葬ったのです。
恋の一杯売 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
身顫みぶるいした。
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
美男子に対する時よりも、醜い老人やまたは最初いやだと思った男を相手にして、こういう場合に立到たちいたると、君江はなお更はげしくいつもの癖が増長して、後になって我ながら浅間しいと身顫みぶるいする事も幾度だか知れない。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ええ、それというのは、里春が怖いからなんです。心の中じゃ身顫みぶるいの出るほど嫌ってるんだが、あまり素気そっけなくすると許嫁いいなずけのところへ暴れ込まれ、せっかく纏りかけた縁談をぶちこわされないものでもないと思って、誘われれば嫌々ながら出かけて行くといったわけあいらしいんです」
「痴人夢を説くという言葉がありますが、人生に夢が無かったら、我々の生活は何と果敢はかなく侘しく、すさまじきものでしょう。夢あればこそ我々はあらゆる疾苦と不平と懊悩にも堪えて、にもかくにも何万日という——考えただけでも身顫みぶるいを感ずるような、恐ろしい生活を続けて行くのです」
そういうと、この歩きまわって、ねとねとと汗の浮く真夏の夜だというのに、むそうに肩をすぼめて、ぶるっと身顫みぶるいをすると、恰度ちょうど眼の前に来た分れみちのところで、鷺太郎から渡されたカンテラを、怖る怖る、つまむようにして受取り、「さよなら」ともいわずに、すたすたとやみの中に消えてしまった。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
いざといふ時、眉毛をしめされると、全身に身顫みぶるひが走りました。娘もそれつきり、といふ氣持なんです。妙に悲しくなつて、フト顏を擧げると——お仙さんは、生れてから、この時ほど驚いたことはないさうです。顏一面にあゐを塗つて、墨で隈取くまどつたやうな無氣味な顏が、自分の顏の横から、そつと覗いてるではありませんか。