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足
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たし
ふりがな文庫
“
足
(
たし
)” の例文
私なぞの理想はいつも人に迷惑を懸ける許りで、一向自分の
足
(
たし
)
になった事がないが、
側
(
はた
)
から見たら
嘸
(
さぞ
)
苦々しい事であったろう。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「筆で飯を喰ふ考は無い? ふゥむ、
夫
(
それ
)
ぢやア汝は一生涯新聞配達をする気か。
跣足
(
はだし
)
で号外を飛んで売つた処で一夜の豪遊の
足
(
たし
)
にならぬヮ。」
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
坊さんは寮舎に帰って、平生読み破った書物上の知識を残らず点検したあげく、ああああ
画
(
え
)
に
描
(
か
)
いた
餅
(
もち
)
はやはり腹の
足
(
たし
)
にならなかったと嘆息したと云います。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……「失礼だが、世帯の
足
(
たし
)
になりますか。」ときくと、そのつもりではあったけれど、まるで足りない。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此の人が店でも出す時の
足
(
たし
)
にして下さえ、一旦此の人に授かった金だから、何うか遣っておくんねえ
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
小作料があまり酷なために、村の人が誰も手をつけない石ころだらけの「
野地
(
やじ
)
」を余分に耕やしていた。そこから少しでも
作
(
さく
)
をあげて、暮しの
足
(
たし
)
にしようとしたのである。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
請取るに半分は
遣
(
つかは
)
し叔母女房の衣食の
足
(
たし
)
になし殘る所は主人へ預け
儉約
(
けんやく
)
を第一として勤め居たり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
山のやうに積んである穀物を
簸
(
ひ
)
るのだから、屑は澤山出る。それをあの婆あさんが一撮程づゝ手に取つて、
翳
(
かす
)
んだ目で五味を
選
(
よ
)
り出したところで、それが何の
足
(
たし
)
になるのでもない。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
旨
(
むね
)
の
旅出立
(
たびでたち
)
わな/\震ふばかりなり宿の
女子
(
をなご
)
心得て二階座敷の
居爐裡
(
ゐろり
)
に火を澤山入れながら夏の凉しき事を誇る蚊が
出
(
で
)
ぬとて西洋人が避暑に來るとて
夫
(
そ
)
れが今の
寒
(
さぶ
)
さを凌ぐ
足
(
たし
)
にはならず早く酒を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
今更ことごとしく時勢の非なるを憂いたとて何になろう。天下の事は
微禄
(
びろく
)
な我々風情がとやかく思ったとて何の
足
(
たし
)
にもなろうはずはない。お
上
(
かみ
)
にはそれぞれお歴々の方々がおられるではないか。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
つまらないと思いました。いくら書物を読んでも腹の
足
(
たし
)
にはならないのだと
諦
(
あきら
)
めました。同時に何のために書物を読むのか自分でもその意味が解らなくなって来ました。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宿へ
持行
(
もちゆき
)
身輕
(
みがる
)
に成る入用に遣はし殘りの三兩は我等
預
(
あづか
)
り居て
頓
(
やが
)
て夫婦になる時
帶
(
おび
)
にても又何にても其の方の好みの品を
拵
(
こしら
)
へる
足
(
たし
)
にせば便利成べしと云れ
生得
(
しやうとく
)
愚
(
おろか
)
なるお兼故是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
君、しかし何んだね、これにつけても、
小児
(
こども
)
に学問なんぞさせねえが
可
(
い
)
いじゃないかね。くだらない、もうこれ
織公
(
おりこう
)
も十一、
吹韛
(
ふいご
)
ばたばたは勤まるだ。二銭三銭の
足
(
たし
)
にはなる。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
八「少しばかりだが、年季が明けて国へ
帰
(
けえ
)
る時の
足
(
たし
)
にもなろうから取って置いてくれ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
木地に食入って吾を磨くのは実感だのに、私は第一現実を軽蔑していたから、その実感を
得
(
え
)
る場合が少く、
偶
(
たまたま
)
得た実感も其取扱を誤っていたから、木地の吾を磨く
足
(
たし
)
にならなかった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
学校
(
がつこう
)
の
卒業
(
そつげふ
)
証書
(
しようしよ
)
が二
枚
(
まい
)
や三
枚
(
まい
)
有
(
あ
)
つたとて
鼻
(
はな
)
を
拭
(
ふ
)
く
足
(
たし
)
にもならねば
高
(
たか
)
が
壁
(
かべ
)
の
腰張
(
こしばり
)
か
屏風
(
びやうぶ
)
の
下張
(
したばり
)
が
関
(
せき
)
の
山
(
やま
)
にて、
偶々
(
たま/\
)
荷厄介
(
にやつかい
)
にして
箪笥
(
たんす
)
に
蔵
(
しま
)
へば
縦令
(
たと
)
へば
虫
(
むし
)
に
喰
(
く
)
はるゝとも
喰
(
く
)
ふ
種
(
たね
)
には
少
(
すこ
)
しもならず。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
話は
容易
(
たやす
)
く二人の間に復活する事ができた。しかしそれは単に
兄妹
(
きょうだい
)
らしい話に過ぎなかった。そうして単に兄妹らしい話はこの場合彼らにとってちっとも腹の
足
(
たし
)
にならなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
隠元
(
いんげん
)
、
藤豆
(
ふぢまめ
)
、
蓼
(
たで
)
、
茘枝
(
れいし
)
、
唐辛
(
たうがらし
)
、所帯の
足
(
たし
)
と
詈
(
のゝし
)
りたまひそ、苗売の若衆一々名に花を添へていふにこそ、北海道の花茘枝、鷹の爪の唐辛、
千成
(
せんな
)
りの
酸漿
(
ほうづき
)
、蔓なし隠元、よしあしの大蓼
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
たゞ
理窟
(
りくつ
)
から
割
(
わ
)
り
出
(
だ
)
したのだから、
腹
(
はら
)
の
足
(
たし
)
には
一向
(
いつかう
)
ならなかつた。
彼
(
かれ
)
は
此
(
この
)
確
(
たしか
)
なものを
放
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
して、
更
(
さら
)
に
又
(
また
)
確
(
たしか
)
なものを
求
(
もと
)
めやうとした。けれども
左樣
(
そんな
)
ものは
少
(
すこ
)
しも
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
なかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さうさな。面白い事は面白いが、——何だか腹の
足
(
たし
)
にならない
麦酒
(
ビール
)
を飲んだ様だね」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ
理窟
(
りくつ
)
から割り出したのだから、腹の
足
(
たし
)
にはいっこうならなかった。彼はこの確なものを放り出して、さらにまた確なものを求めようとした。けれどもそんなものは少しも出て来なかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
健三はその先を
訊
(
き
)
かなかった。夫が碌な着物一枚さえ
拵
(
こしら
)
えてやらないのに、細君が自分の
宅
(
うち
)
から持ってきたものを質に入れて、家計の
足
(
たし
)
にしなければならないというのは、夫の恥に相違なかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“足”の解説
足(あし、foot)は、くるぶし以下接地部の身体の一部である。
(出典:Wikipedia)
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“足”を含む語句
足下
跛足
洗足
御足
足音
発足
足拵
一足飛
一足
足掻
満足
百足
急足
四足
足手纏
足代
足拍子
日足
足趾
跣足
...