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薬師
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やくし
ふりがな文庫
“
薬師
(
やくし
)” の例文
旧字:
藥師
やがて、彼の影は、
薬師
(
やくし
)
ヶ
谷
(
やつ
)
東光寺の裏へ、獣の這うように這い寄っていた。時はもう
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
ごろ。
谷
(
やつ
)
の内は灯一つ見えなかった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
良
(
い
)
いお
医者
(
いしや
)
に
出会
(
であ
)
ふことも有らうから、夫婦で
茅場町
(
かやばちやう
)
の
薬師
(
やくし
)
さまへ
信心
(
しん/″\
)
をして、三七、二十一
日
(
にち
)
断食
(
だんじき
)
をして、
夜中参
(
よなかまゐ
)
りをしたら
宜
(
よ
)
からう。
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蠢
(
うごめ
)
くものの影はいよいよその数を増し、橋むこうの向井将監の邸の角から
小網町
(
こあみちょう
)
の
鎧
(
よろい
)
の渡し、茅場町の
薬師
(
やくし
)
から
日枝神社
(
ひえじんじゃ
)
、
葭町
(
よしちょう
)
口から
住吉町
(
すみよしちょう
)
口と
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
のちに
歌
(
うた
)
ヶ
浜
(
はま
)
においてその同じ桂の
余木
(
よぼく
)
をもちいて
彫
(
ほ
)
らせられたのが、くだんの
薬師
(
やくし
)
の
尊像
(
そんぞう
)
じゃとうけたまわっておる。ハイ、まことに
古今
(
ここん
)
の
妙作
(
みょうさく
)
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その頃父は
小立野
(
こだつの
)
と言う
処
(
ところ
)
の、
験
(
げん
)
のある
薬師
(
やくし
)
を信心で、毎日参詣するので、私もちょいちょい連れられて行ったです。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
いまここにお
薬師
(
やくし
)
さまの霊験をかたろうとするものではなく、そのお薬師さまの裏のほうにある
如来荘
(
にょらいそう
)
という、あまりきれいでないアパートの一室に
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
田端
(
たばた
)
だの、
道灌山
(
どうかんやま
)
だの、
染井
(
そめい
)
の墓地だの、
巣鴨
(
すがも
)
の監獄だの、
護国寺
(
ごこくじ
)
だの、——三四郎は
新井
(
あらい
)
の
薬師
(
やくし
)
までも行った。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
麻布網代町
(
あざぶあみしろちょう
)
、
小石川白山
(
こいしかわはくさん
)
、
渋谷荒木山
(
しぶやあらきやま
)
、
亀戸天神
(
かめいどてんじん
)
なんぞいつか古顔となり、
根岸
(
ねぎし
)
御行
(
おぎょう
)
の
松
(
まつ
)
、
駒込神明町
(
こまごめしんめいちょう
)
、
巣鴨庚申塚
(
すがもこうしんづか
)
、
大崎五反田
(
おおさきごたんだ
)
、中野村
新井
(
あらい
)
の
薬師
(
やくし
)
なぞ
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その
途々
(
みちみち
)
、廊下にも、庭先にも、戸棚の上にも、床の間にも、金仏、木像、古いの、新しいの、
釈迦
(
しゃか
)
も観音も
薬師
(
やくし
)
も
弁財天
(
べんざいてん
)
も、大小あらゆる仏像が置いてあるのは
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ところが外へ出て見ると、その晩はちょうど弥勒寺橋の近くに、
薬師
(
やくし
)
の
縁日
(
えんにち
)
が立っている。だから
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
の
往来
(
おうらい
)
は、いくら寒い時分でも、押し合わないばかりの人通りだ。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
或る日
新井
(
あらい
)
の
薬師
(
やくし
)
から
江古田
(
えこだ
)
の村あたりをあるいて、路傍の休み茶屋の豆腐屋を兼ねた店先に腰を掛けると、その家の老婆が
頻
(
しき
)
りに嘉陵が携えていたヤシホの盃に目を
留
(
と
)
め
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
如来は、如実の道に乗じて、
来
(
きた
)
って
正覚
(
しょうがく
)
を成す、とある通り仏の最上美称であって、
阿弥陀
(
あみだ
)
、
釈迦
(
しゃか
)
、
薬師
(
やくし
)
、
大日
(
だいにち
)
などをいうのであります。如来が一番むずかしいものとなっている。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
伯父の家というのは、愛宕下の
薬師
(
やくし
)
の裏通りのごたごたした新道にある射的屋であった。
島田髷
(
しまだまげ
)
に結って
白紛
(
おしろい
)
をべったり塗って店に
坐
(
すわ
)
っていたのが、宝沢の従妹に当たるお玉であった。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
余
(
よ
)
先年其古跡を
尋
(
たづね
)
んとて
下
(
しも
)
越後にあそびし時、
新道
(
しんだう
)
村の
長
(
をさ
)
飯塚知義
(
いひつかともよし
)
の
話
(
はなし
)
に、
一年
(
ひとゝせ
)
夏の頃
雩
(
あまこひ
)
の
為
(
ため
)
に村の者どもを
从
(
したが
)
へ
米山
(
よねやま
)
へのぼりしに、
薬師
(
やくし
)
へ参詣の人山こもりするために
御鉢
(
おはち
)
といふ所に小屋二ツあり
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
さうして、ふわ/\して
諸方
(
ほう/″\
)
歩
(
ある
)
いてゐる。
田端
(
たばた
)
だの、道灌山だの、染井の墓地だの、巣鴨の監獄だの、護国寺だの、——三四郎は
新井
(
あらゐ
)
の
薬師
(
やくし
)
迄も行つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
へえ
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます、
只今
(
たゞいま
)
杖
(
つゑ
)
を持つてまゐりませう。近「もう
杖
(
つゑ
)
も
要
(
い
)
らねえから
薬師
(
やくし
)
さまへ
納
(
をさ
)
めて
往
(
い
)
きな。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「百本杭」もその名の示す通り、
河岸
(
かし
)
に近い水の中に何本も立つてゐた
乱杭
(
らんぐひ
)
である。昔の芝居は
殺
(
ころ
)
し
場
(
ば
)
などに
多田
(
ただ
)
の
薬師
(
やくし
)
の
石切場
(
いしきりば
)
と一しよに度々この人通りの少ない「百本杭」の
河岸
(
かし
)
を使つてゐた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ちょうどこの駒形堂から大河を距てて
本所
(
ほんじょ
)
側に多田の
薬師
(
やくし
)
というのがありましたが、この
叢林
(
やぶ
)
がこんもり深く、昼も暗いほど、時鳥など沢山巣をかけていたもので、
五月
(
さつき
)
の空の雨上がりの夜などには
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
余
(
よ
)
先年其古跡を
尋
(
たづね
)
んとて
下
(
しも
)
越後にあそびし時、
新道
(
しんだう
)
村の
長
(
をさ
)
飯塚知義
(
いひつかともよし
)
の
話
(
はなし
)
に、
一年
(
ひとゝせ
)
夏の頃
雩
(
あまこひ
)
の
為
(
ため
)
に村の者どもを
从
(
したが
)
へ
米山
(
よねやま
)
へのぼりしに、
薬師
(
やくし
)
へ参詣の人山こもりするために
御鉢
(
おはち
)
といふ所に小屋二ツあり
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そして
確
(
たしか
)
に、それが
薬師
(
やくし
)
のお
告
(
つげ
)
であると信じたですね。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さて重二郎は母の眼病
平癒
(
へいゆ
)
のために、暇さえあれば茅場町の
薬師
(
やくし
)
へ
参詣
(
さんけい
)
を致し、
平常
(
ふだん
)
は細腕ながら
人力車
(
じんりき
)
を
挽
(
ひ
)
き、一生懸命に稼ぎ、
僅
(
わず
)
かな
銭
(
ぜに
)
を取って帰りますが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
成程
(
なるほど
)
先刻
(
さつき
)
も
薬師
(
やくし
)
さまで見ましたが、
薬師
(
やくし
)
さまより
観音
(
くわんおん
)
さまの
方
(
はう
)
が
工面
(
くめん
)
が
宜
(
い
)
いと見えてお
賽銭箱
(
さいせんばこ
)
が大きい……
南無大慈大悲
(
なむだいじだいひ
)
の
観世音菩薩
(
くわんぜおんぼさつ
)
、
今日
(
こんにち
)
図
(
はか
)
らず
両眼
(
りやうがん
)
明
(
あきら
)
かに
相成
(
あひな
)
りましてございます
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
温泉は川岸から
湧出
(
わきだ
)
しまして、石垣で積上げてある所を
惣湯
(
そうゆ
)
と申しますが、追々
開
(
ひら
)
けて、当今は
河中
(
かわなか
)
の湯、
河下
(
かわしも
)
の湯、
儘根
(
まゝね
)
の湯、
下
(
しも
)
の湯、
南岸
(
みなみぎし
)
の湯、
川原
(
かわら
)
の湯、
薬師
(
やくし
)
の湯と
七湯
(
しちとう
)
に分れて
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“薬師”の意味
《名詞》
(やくし)薬師如来の略。
(くすし)医者。
(出典:Wiktionary)
薬
常用漢字
小3
部首:⾋
16画
師
常用漢字
小5
部首:⼱
10画
“薬師”で始まる語句
薬師如来
薬師寺
薬師堂
薬師仏
薬師山
薬師様
薬師町
薬師詣
薬師講
薬師岱赭