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苅
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か
ふりがな文庫
“
苅
(
か
)” の例文
然し耗っても
錆
(
さ
)
びても、心棒は心棒だ。心棒が廻わらぬと家が廻わらぬ。
折角
(
せっかく
)
苅
(
か
)
り入れた麦も早く
扱
(
こ
)
いて
撲
(
ぶ
)
って俵にしなければ
蝶々
(
ちょうちょう
)
になる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
紀州などの
俚諺
(
りげん
)
に、「麦は百日の
播
(
ま
)
きしゅんに三日の
苅
(
か
)
りしゅん、稲は百日の苅りしゅんに三日の
植付時
(
うえつきどき
)
」ということがある。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
町の商人は、夏の終りに
苅
(
か
)
り採った甘蔗の茎を買い溜め、貯蔵しておいて、秋祭りの鎮守の市で、一本一銭か二銭に売った。
甘い野辺
(新字新仮名)
/
浜本浩
(著)
菊芋という奴はたしかに豚の飼料には
宜
(
よろ
)
しい、第一その繁殖力が盛んで、
萌
(
も
)
え出してからは、
苅
(
か
)
っても苅ってもあとからあとから成長する、併し
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
家
(
うち
)
は直ぐ知れた。平らに
苅
(
か
)
り込んだ
櫧
(
かし
)
の木が高く黒板塀の上に
聳
(
そび
)
えているのが、何かの秘密を蔵しているかと思われるような、外観の陰気な邸であった。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
十二節に「これその青くしていまだ
苅
(
か
)
らざる時にも他の
一切
(
すべて
)
の草よりは早く枯る」とあるは、
旱魃
(
かんばつ
)
来
(
きた
)
りて水退くやこの二つの草が
忽
(
たちま
)
ち枯るることをいうたのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
それはおれにはよくわかるんだ、しかしどうしたって
蒔
(
ま
)
いた種は
苅
(
か
)
らなければなるまい、彼はそれだけの事をしたんだから、……人間は弱いものだ、罪を犯した者が
はたし状
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
だいたいこれが、僕の
因循姑息
(
いんじゅんこそく
)
からはじまったことだから、むろん、じぶんが
蒔
(
ま
)
いた種はじぶんで
苅
(
か
)
るつもりだよ。マヌエラも、僕と一緒によろこんで死んでくれる。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
十日も
苅
(
か
)
り
溜
(
ため
)
し草を一日に
焼
(
やい
)
たような心地して、尼にでもなるより外なき身の行末を
歎
(
なげき
)
しに、
馬籠
(
まごめ
)
に御病気と聞く途端、アッと驚く
傍
(
かたわら
)
に
愚
(
おろか
)
な心からは看病するを
嬉
(
うれし
)
く
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
庭のコスモス咲き出で候はば、私帰るまであまりお
摘
(
つ
)
みなされずにお残し下されたく、軒の朝顔かれ/″\の見ぐるしきも、
何卒
(
なにとぞ
)
帰る日まで
苅
(
か
)
りとらせずにお置きねがひあげ候。
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
さを
鹿
(
しか
)
の
妻
(
つま
)
喚
(
よ
)
ぶ
山
(
やま
)
の
岳辺
(
をかべ
)
なる
早田
(
わさだ
)
は
苅
(
か
)
らじ
霜
(
しも
)
は
零
(
ふ
)
るとも 〔巻十・二二二〇〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
二人はかう約束して、恐る/\鼻の入口から入つて、先づ鎌で
藪
(
やぶ
)
のやうに生えた鼻毛を
苅
(
か
)
り、鍬で鼻の
垢
(
あか
)
を掘りしては、鼻の障子を叩いて、無事でゐることを互に知らせ合ひました。
漁師の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
声の主は、鍬をもって畑を打つ孔明か、豆を
苅
(
か
)
って、
莢
(
さや
)
を
莚
(
むしろ
)
に叩く弟の均であった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きのうの朝、あたしがお部屋で本を読んでいますと、花壇のほうで草でも
苅
(
か
)
るような音がしますので、見てみますと、お父さまが朝吉と二人で、花壇の花を
鎌
(
かま
)
で苅っていらっしゃるのです。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今は成り果てて仕舞ひました、何だ
角
(
か
)
だと取られる
税
(
もの
)
は多くなる、
積
(
と
)
れる
作物
(
もの
)
に変りは無い、其れで山へも入ることがならねい、草も
迂濶
(
うつかり
)
苅
(
か
)
ることがならねい、
小児
(
こども
)
は学校へ
遣
(
や
)
らにやならねい
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「無駄を
苅
(
か
)
って、大急ぎで筋を運んでくれ、それからどうした」
呪の金剛石
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
苅
(
か
)
りし
小草
(
をぐさ
)
に
倒
(
たふ
)
れ
伏
(
ふ
)
し
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
根子立
(
ねつこだち
)
といふ山に入り、
笹
(
ささ
)
を
苅
(
か
)
りて束となし
担
(
かつ
)
ぎて立ち上がらんとする時、笹原の上を風の吹き渡るに心付きて見れば
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
最早
豌豆
(
えんどう
)
や
蚕豆
(
そらまめ
)
も
蒔
(
ま
)
かねばならぬ。蕎麦も霜前に
苅
(
か
)
らねばならぬ。また其れよりも農家の一大事、月の下旬から来月初旬にかけて、最早麦蒔きがはじまる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
父はこれからしぼられるだろうし、相当お気の毒さまであるが、それは御自分の
茨
(
いばら
)
を御自分で
苅
(
か
)
るわけである、「よろしい」と彼は呟いた、「戦術を考えるとしよう」
女は同じ物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と少し
甘
(
あま
)
えて言う。男は年も三十一二、
頭髪
(
かみ
)
は
漆
(
うるし
)
のごとく
真黒
(
まっくろ
)
にて、いやらしく手を入れ油をつけなどしたるにはあらで、短めに
苅
(
か
)
りたるままなるが人に
優
(
すぐ
)
れて見
好
(
よ
)
きなり。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
うつせみの
命
(
いのち
)
を
惜
(
を
)
しみ
波
(
なみ
)
に
濡
(
ぬ
)
れ
伊良虞
(
いらご
)
の
島
(
しま
)
の
玉藻
(
たまも
)
苅
(
か
)
り
食
(
を
)
す 〔巻一・二四〕 麻続王
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「
勿論
(
もちろん
)
、行きます。今、新編制の
機関砲隊
(
ミトライユール
)
を訓練してゐるところで、もうぢき出かけます。あゝ愉快々々! 我々はまるで大鎌で野の草を
苅
(
か
)
るやうに、プロシヤの豚どもを打殺してやれるわけだ!」
風変りな決闘
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
その根に茂っている草もめったに
苅
(
か
)
られることがなかった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
平次は話の無駄を
苅
(
か
)
り取るやうに、斯う言葉を
挾
(
はさ
)
みました。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
根子立
(
ねっこだち
)
という山に入り、
笹
(
ささ
)
を
苅
(
か
)
りて
束
(
たば
)
となし
担
(
かつ
)
ぎて立上らんとする時、笹原の上を風の吹き渡るに心づきて見れば
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
籬
(
かき
)
の外の畑では、まだ
晩蒔
(
おそまき
)
の麦を蒔いて居る。向うの田圃では、ザクリ/\鎌の音をさして
晩稲
(
おくて
)
を
苅
(
か
)
って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
吾背子
(
わがせこ
)
は
仮廬
(
かりほ
)
作
(
つく
)
らす
草
(
かや
)
なくば
小松
(
こまつ
)
が
下
(
した
)
の
草
(
かや
)
を
苅
(
か
)
らさね 〔巻一・一一〕 中皇命
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
山口のハネトという家の主人、佐々木氏の祖父と竹馬の友なり。きわめて無法者にて、
鉞
(
まさかり
)
にて草を
苅
(
か
)
り
鎌
(
かま
)
にて土を掘るなど、若き時は乱暴の
振舞
(
ふるまい
)
のみ多かりし人なり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
四二
六角牛
(
ろっこうし
)
山の
麓
(
ふもと
)
にオバヤ、板小屋などいうところあり。広き
萱山
(
かややま
)
なり。村々より
苅
(
か
)
りに行く。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
たとえば
菌採
(
きのこと
)
り青物採りなどはそれであったが、青物は採らなくなり菌も栽培にかわると、いわゆるナバ師はみな男になった。『万葉集』には「
玉藻
(
たまも
)
苅
(
か
)
るあま
少女
(
おとめ
)
ども」
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかしそれを
苅
(
か
)
りあつめて一軒の屋根を葺くには、
萱野
(
かやの
)
というものが近くになければならぬ。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかしそういうのはもう歴史を忘れたので、前には江戸といった大きな都会でも、草こそは
苅
(
か
)
りに行かなかったけれども、やはり早朝にこのお茶の子を食っていたのである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
二毛作
(
にもうさく
)
といって田にも麦を作るようになると、稲の
苅
(
か
)
り
跡
(
あと
)
は冬にはいるまえに、馬などを使ってさっさと起こしてしまうが、以前は春になりやっと田の氷がとけるのを待って
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
山村では馬上にそれをかじりながら、娘や男が朝草を
苅
(
か
)
りに出かけるのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
やがてはその地の草を
苅
(
か
)
り木を
斫
(
き
)
り邑居を構えたのであろう。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
苅
漢検準1級
部首:⾋
7画
“苅”を含む語句
苅株
苅萱道心
苅田
草苅
苅入
銘苅子
苅羽井
苅込
色彩間苅豆
苅田郡
独活苅
苅萱
苅薦
草苅鎌
苅羽郡
玉藻苅食
麦苅入
玉藻苅麻須
玉藻苅
弟苅羽田刀辨
...