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色褪
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いろあ
ふりがな文庫
“
色褪
(
いろあ
)” の例文
壁には、
色褪
(
いろあ
)
せたミレーの晩鐘の口絵が張ってあった。面白くもない部屋だ。腰掛けは得たいが知れない程ブクブクして柔かである。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
この神苑の花が
洛中
(
らくちゅう
)
に
於
(
お
)
ける最も美しい、最も見事な花であるからで、円山公園の
枝垂桜
(
しだれざくら
)
が既に年老い、年々に
色褪
(
いろあ
)
せて行く今日では
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは、
色褪
(
いろあ
)
せた
古金襴
(
こきんらん
)
の袋に入っている。糸はつづれ、
紐
(
ひも
)
も
千断
(
ちぎ
)
れているが、
古雅
(
こが
)
なにおいと共に、中の笛までが、ゆかしく
偲
(
しの
)
ばれる。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
像の
古
(
ふ
)
りたるは
色褪
(
いろあ
)
せて、これを圍める彩畫ある板壁さへ、半ば朽ちて地に
委
(
ゆだ
)
ねたれど、中には
聖母兒
(
せいぼじ
)
の
丹粉
(
にのこ
)
猶
鮮
(
あざやか
)
かなるもなきにあらず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
まことにおつるは、
色彩
(
いろどり
)
のとぼしい忠相の生涯における一
紅点
(
こうてん
)
であったろう。たとえ、いかに小さくそして
色褪
(
いろあ
)
せていても。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
看護員は
犇々
(
ひしひし
)
とその身を
擁
(
よう
)
せる
浅黄
(
あさぎ
)
の
半被
(
はっぴ
)
股引
(
ももひき
)
の、雨風に
色褪
(
いろあ
)
せたる、
譬
(
たと
)
へば囚徒の幽霊の如き、
数個
(
すか
)
の物体を
眴
(
みま
)
はして、
秀
(
ひい
)
でたる
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めつ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其の老人達の
色褪
(
いろあ
)
せた式服にもはなやかな昔が数々折り込まれている様に、わたし達の老年にも一つや二つの思い出があろうと言うものですよ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
皮膚の
色褪
(
いろあ
)
せたペルシヤ人、半黒焼のマレー人、亡国的なポルトガル人などの群に交って北京を出発してから半ヶ月後
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
そこで彼は昔の学生服のかはりにフロックコートを着け、昔よりは立木の少し延び、建物の少し
色褪
(
いろあ
)
せた寄宿舎に、
暫
(
しばら
)
くぶりで快濶に帰つて来た。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
内田さんも、あなたの様子にニコニコ笑って来るし、ぼく達も、笑って
迎
(
むか
)
えましたが、ぼくにとっては月の光りも、一時に、
色褪
(
いろあ
)
せた気持でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
どこを歩いても昔の香が無い。三島が
色褪
(
いろあ
)
せたのではなくして、私の胸が老い
干乾
(
ひから
)
びてしまったせいかもしれない。
老ハイデルベルヒ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
梅花を渡るうすら冷たい夕風に
色褪
(
いろあ
)
せた丹頂の毛をそよがせ
蒼冥
(
そうめい
)
として
昏
(
く
)
れる前面の山々を淋しげに見上げて居る。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それから、もう一人の色つやの悪い、
痩
(
や
)
せた、貧相な女の子の姿が、その
傍
(
かたわ
)
らに
色褪
(
いろあ
)
せて、ぼおっと浮ぶ。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そこでは土地は
色褪
(
いろあ
)
せて呪われており、破壊が必要となる前に土地そのものが破壊されてしまうだろう。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
火鉢
(
ひばち
)
の
火
(
ひ
)
が
赤
(
あか
)
いのも、
鐵瓶
(
てつびん
)
が
優
(
やさ
)
しい
響
(
ひゞ
)
きに
湯氣
(
ゆげ
)
を
立
(
た
)
てゝゐるのも、ふと
擡
(
もた
)
げてみた
夜着
(
よぎ
)
の
裏
(
うら
)
が
甚
(
はなはだ
)
しく
色褪
(
いろあ
)
せてゐるのも、すべてが
皆
(
みな
)
私
(
わたし
)
に
向
(
むか
)
つて
生
(
い
)
きてゐる——この
年
(
とし
)
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ところでその内の一枚は、他の三枚にくらべて彫刻に塗りこんである
絵具
(
えのぐ
)
が莫迦に
色褪
(
いろあ
)
せています。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「いや、てれるというわけではない」又左衛門は
火桶
(
ひおけ
)
の
鉄瓶
(
てつびん
)
から、湯を湯ざましへ移し、
急須
(
きゅうす
)
と湯ざましとで湯をこなしながら、まるで
色褪
(
いろあ
)
せた情事を悔みでもするように云った
燕(つばくろ)
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
再度
(
さいど
)
の努力に新しくされた希望が續いた。最初のときと同じやうに、數週間はその希望は輝いてゐた。けれども同じやうに
光薄
(
ひかりうす
)
れ
色褪
(
いろあ
)
せて行つた。一行も一言も私には屆かなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
頃
(
ころ
)
は春の
末
(
すえ
)
ということは庭の桜が
殆
(
ほとん
)
ど散り尽して、
色褪
(
いろあ
)
せた
花弁
(
はなびら
)
の
未
(
ま
)
だ
梢
(
こずえ
)
に残って
居
(
い
)
たのが、若葉の
際
(
ひま
)
からホロ/\と
一片
(
ひとひら
)
三片
(
みひら
)
落つる
様
(
さま
)
を今も
判然
(
はっきり
)
と
想
(
おも
)
いだすことが出来るので知れます。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
お前は「
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
のKOREA」だ。絢爛の
色褪
(
いろあ
)
せた
絵画織物
(
テベストリー
)
だ。Poogh !
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
……
色褪
(
いろあ
)
せた曇り日の光を背負い、頑固に肩をいからせ目を虚空に向けて突っ立っている彼の貧弱なからだを見上げ、急にぼくは少年航空兵募集の、あの戦時中のポスターを思い出した。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
色褪
(
いろあ
)
せし花束は現れぬ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
むっちりと肥えた
四十路
(
よそじ
)
がらみのひとだった。幼子を抱いて、
色褪
(
いろあ
)
せた衣服もよけい着くずしている
容
(
かたち
)
だが、どこかには上流婦人らしい
大容
(
おおよう
)
な風もある。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうしてこんな物がこの家に伝わっていたのであろう、———
色褪
(
いろあ
)
せた
覆
(
おお
)
いの
油単
(
ゆたん
)
を払うと、下から現れたのは、古びてこそいるが立派な
蒔絵
(
まきえ
)
の
本間
(
ほんけん
)
の琴であった。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
青葉の間に散りぎわの悪い
色褪
(
いろあ
)
せた花をのこして、なぎの日のような煙った淡さで咲いていた。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「赤毛のゴリラ」の顔は見る見る土のように
色褪
(
いろあ
)
せていった。ああ生命は風前の
灯
(
ともしび
)
である。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
竹の柱を
結
(
ゆ
)
い、
筵編
(
むしろあ
)
みの
揚蔀
(
あげじとみ
)
に、
色褪
(
いろあ
)
せた
帳
(
とばり
)
など
繞
(
めぐ
)
らして、並木の松の数ほど
白粉
(
おしろい
)
の女たちが出ていて
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤原時代なるものは
色褪
(
いろあ
)
せました。ようやく、平家栄花の勃興期に入りましょう。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
褪
漢検1級
部首:⾐
15画
“色”で始まる語句
色
色彩
色々
色沢
色合
色紙
色艶
色香
色気
色白