トップ
>
腹掛
>
はらがけ
ふりがな文庫
“
腹掛
(
はらがけ
)” の例文
さっき
胡坐
(
あぐら
)
をかいていた処へどっさり腰をおとすが否や、
腹掛
(
はらがけ
)
の中から汚れた古ぎれに包んだものを
掴
(
つか
)
み出したのは、勲章にちがいない。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ことし五歳で、体に相当した
襦袢
(
じゅばん
)
、
腹掛
(
はらがけ
)
に小さな
草刈籠
(
くさかりかご
)
を
背負
(
せお
)
い、木製の草刈鎌を持って、足柄山を踊る男の子でありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「時にお前、蛇口を見ていた時に、なんじゃないか、先についていた糸をくるくるっと
捲
(
ま
)
いて
腹掛
(
はらがけ
)
のどんぶりに入れちゃったじゃねえか。」
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
無雑作に
投
(
ほう
)
り出して、切り立ての
犢鼻褌
(
ふんどし
)
に、紺の香が匂う
腹掛
(
はらがけ
)
のまま、もう一度ドシャ降りの中へ
颯
(
さっ
)
と飛出しました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一人は素肌に
双子
(
ふたご
)
の
袷
(
あわせ
)
を着て一方の肩に
絞
(
しぼり
)
の
手拭
(
てぬぐい
)
をかけた
浪爺風
(
あそびにんふう
)
で、一人は紺の
腹掛
(
はらがけ
)
に
半纏
(
はんてん
)
を着て突っかけ
草履
(
ぞうり
)
の大工とでも云うような
壮佼
(
わかいしゅ
)
であった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
半纏
(
はんてん
)
、
股引
(
ももひき
)
、
腹掛
(
はらがけ
)
、
溝
(
どぶ
)
から引揚げたようなのを、ぐにゃぐにゃと
捩
(
よじ
)
ッつ、巻いつ、
洋燈
(
ランプ
)
もやっと
三分
(
さんぶ
)
心
(
しん
)
が
黒燻
(
くろくすぶ
)
りの影に、よぼよぼした
媼
(
ばあ
)
さんが、頭からやがて
膝
(
ひざ
)
の上まで
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
立派な
衣装
(
いしょう
)
を
馬士
(
まご
)
に着せると馬士はすぐ拘泥してしまう。華族や大名はこの点において解脱の方を得ている。華族や大名に馬士の
腹掛
(
はらがけ
)
をかけさすと、すぐ拘泥してしまう。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
腹掛
(
はらがけ
)
だけをヅタツと謂ったり(
北飛騨
(
きたひだ
)
から
能登
(
のと
)
)、
袴
(
はかま
)
だけをデンタツという
処
(
ところ
)
もあるが(秋田県)、元来は「
出立
(
でた
)
ち」だから、仕事着の全体を一括していうのが正しいのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
久し振りで
遇
(
あ
)
いましてこんな嬉しいことはありません、久し振りで
上下
(
かみしも
)
を見ましたよ、此の近所には
股引
(
もゝひき
)
や
腹掛
(
はらがけ
)
をかけた者
計
(
ばか
)
り
居
(
お
)
るから……かやや/\……これは嫁でございます
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
他は
盲縞
(
めくらじま
)
の
股引
(
ももひき
)
腹掛
(
はらがけ
)
に、
唐桟
(
とうざん
)
の
半纏
(
はんてん
)
着て、茶ヅックの
深靴
(
ふかぐつ
)
を
穿
(
うが
)
ち、衿巻の
頬冠
(
ほほかぶり
)
に
鳥撃帽子
(
とりうちぼうし
)
を頂きて、六角に
削成
(
けずりな
)
したる
檳榔子
(
びんろうじ
)
の逞きステッキを
引抱
(
ひんだ
)
き、いづれも
身材
(
みのたけ
)
貫一よりは低けれど
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
眞
(
ま
)
一
文字
(
もんじ
)
に
驅
(
か
)
けて
人中
(
ひとなか
)
を
拔
(
ぬ
)
けつ
潜
(
くゞ
)
りつ、
筆屋
(
ふでや
)
の
店
(
みせ
)
へをどり
込
(
こ
)
めば、三五
郎
(
らう
)
は
何時
(
いつ
)
か
店
(
みせ
)
をば
賣仕舞
(
うりしま
)
ふて、
腹掛
(
はらがけ
)
のかくしへ
若干金
(
なにがし
)
かをぢやらつかせ、
弟妹
(
おとうといもと
)
引
(
ひき
)
つれつゝ
好
(
す
)
きな
物
(
もの
)
をば
何
(
なん
)
でも
買
(
か
)
への
大兄樣
(
おあにいさん
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
径二、三尺にもおよぶ大きな
捏鉢
(
こねばち
)
だとか、非常に立派な箕だとか、手の込んだ蓑だとか、形の面白い編笠だとか、または紺の麻布に染模様のある馬の
腹掛
(
はらがけ
)
だとか、それは様々なものの陳列を見ます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
胸
(
むね
)
には
腹掛
(
はらがけ
)
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
無雜作に投り出して、切り立ての
牘鼻褌
(
ふんどし
)
に、紺の香が匂ふ
腹掛
(
はらがけ
)
のまゝ、もう一度ドシヤ降の中へ
颯
(
さつ
)
と飛出しました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
盲目縞
(
めくらじま
)
の
股引
(
ももひき
)
をはき、じじむさいメリヤスのシャツの上に背中で十文字になった
腹掛
(
はらがけ
)
をしているのが、窮屈そうに見えるくらい、いかにも頑丈な身体つきである。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
袖
(
そで
)
のないどてらだから、入れ所に窮して
腹掛
(
はらがけ
)
の隠しへでも
捩
(
ね
)
じ込んで置くものと見える。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
紺の
股引
(
ももひき
)
腹掛
(
はらがけ
)
を着た米友は、例の眼をクリクリさせて、自分のまわりを取捲いている群集を見廻し、高さ一丈二尺ほどある
漆塗
(
うるしぬ
)
りの梯子を大地へ押し出して、それに片手をかけました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
へえ、
何人前
(
なんにんまへ
)
出るえ。長「
何人前
(
なんにんまへ
)
なんて
葬式
(
とむらひ
)
ぢやア
有
(
あ
)
るまいし、
菓子器
(
くわしき
)
へ乗せて一つよ。弥「たつた一つかア。長「がつ/\
喰
(
く
)
ふと
腹
(
はら
)
を見られるは。弥「ぢやア
腹掛
(
はらがけ
)
をかけて
往
(
い
)
きませう。 ...
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
一
(
ひと
)
ツ
紋
(
もん
)
の
羽織
(
はおり
)
を
着
(
き
)
て
足袋
(
たび
)
跣足
(
はだし
)
、
男
(
をとこ
)
は
盲縞
(
めくらじま
)
の
腹掛
(
はらがけ
)
、
股引
(
もゝひき
)
、
彩
(
いろどり
)
ある
七福神
(
しちふくじん
)
の
模樣
(
もやう
)
を
織
(
お
)
りたる
丈長
(
たけなが
)
き
刺子
(
さしこ
)
を
着
(
き
)
たり。これは
素跣足
(
すはだし
)
、
入交
(
いりちが
)
ひになり、
引違
(
ひきちが
)
ひ、
立交
(
たちかは
)
りて
二人
(
ふたり
)
とも
傍目
(
わきめ
)
も
觸
(
ふ
)
らず。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ずっとひどいのは、まるで紙屑買としか見えなかった。
腹掛
(
はらがけ
)
股引
(
ももひき
)
も一人
交
(
まじ
)
っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
腹掛
(
はらがけ
)
へ
突込
(
つっこ
)
んで帰りましたが、悪い事は出来ないもので、これが紀伊國屋へ
誂
(
あつら
)
えた胴乱でございます、それが為に
後
(
のち
)
に蟠龍軒が庄左衞門を
殺害
(
せつがい
)
したことが知れます。これは
後
(
のち
)
のことで。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は時々
表二階
(
おもてにかい
)
へ
上
(
あが
)
って、細い
格子
(
こうし
)
の間から下を見下した。鈴を鳴らしたり、
腹掛
(
はらがけ
)
を掛けたりした馬が何匹も続いて彼の眼の前を過ぎた。
路
(
みち
)
を隔てた真ん向うには大きな
唐金
(
からかね
)
の仏様があった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
腹
常用漢字
小6
部首:⾁
13画
掛
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
“腹掛”で始まる語句
腹掛法被
腹掛股引
腹掛袢纏