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耻
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は
ふりがな文庫
“
耻
(
は
)” の例文
こう云う代助は無論
臆病
(
おくびょう
)
である。又臆病で
耻
(
は
)
ずかしいという気は
心
(
しん
)
から起らない。ある場合には臆病を
以
(
もっ
)
て自任したくなる位である。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして喰べ酔つた友達を見つけると、こんな不心得者を自分の巣から出したのを
耻
(
は
)
ぢるやうに、何かひそひそ合図でもしてゐるらしかつた。
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それでその人倫の
紊
(
みだ
)
れて居ることはほとんどいうに忍びないほどの事もありますけれども、チベット人は
恬
(
てん
)
として
耻
(
は
)
じない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
婦女は貞節を忘れ、士は二君に事えて
耻
(
は
)
じず、禄と位とその本源を二つに分つ。これによって名を好むものは彼につき、利を好むものはこれに従う。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
翌日は、金之丞は手土産を持つて平次のところへ顏を出しましたが、さすがに身に
耻
(
は
)
ぢたものか、自分を狙ふ者の心當りについては、何にも打明けません。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
子の
敦忠
(
あつたゞ
)
も美男であったと云うことであるから、矢張美人系の一族たるに
耻
(
は
)
じない容姿だったのであろう。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「叱るでないぞ。いずれも近頃は気が張り切っている様子じゃ。僅かな粗相をも深く
耻
(
は
)
じて割腹する者が出ぬとも限らぬからな。よいか。決して強く
咎
(
とが
)
めるでないぞ」
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
言ッちゃアからかいますのサ。それでもネ、そのたんびに私が
辱
(
はずか
)
しめ辱しめ
為
(
し
)
い為いしたら、あれでも些とは
耻
(
は
)
じたと見えてネ、この頃じゃアそんなに言わなくなりましたよ
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
満枝は彼に
耻
(
は
)
ぢよとばかり
嗤笑
(
あざわら
)
ひぬ。さ知つたる荒尾は飽くまで真顔を作りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さうしてたゞ
欺
(
あざむ
)
かれた
自分
(
じぶん
)
の
不明
(
ふめい
)
に
就
(
つ
)
いてばかり
彼女
(
かのぢよ
)
は
耻
(
は
)
ぢたのである。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
そこでマトノ姫が
耻
(
は
)
じて、「同じ姉妹の中で顏が醜いによつて返されることは、近所に聞えても
耻
(
は
)
ずかしい」と言つて、山城の國の
相樂
(
さがらか
)
に行きました時に木の枝に懸かつて死のうとなさいました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
彼女自身も気のつかぬ
中
(
うち
)
いつからという事もなく
私娼
(
ししょう
)
の生活に
馴
(
な
)
らされて
耻
(
は
)
ずべき事をも
耻
(
はじ
)
とは思わぬようになったものであろう。折々は反省して他の職業に転じようと思う事もあるにちがいない。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
私
(
わたし
)
は今更に自分の無智を
耻
(
は
)
づかしく思ひます」梅子は又た語を
継
(
つ
)
ぎぬ「私は
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
、教会は
慥
(
たしか
)
に世の光であると信じて居りました、今ま始めて既に悪魔の巣であつたことを見ることが出来ました、 ...
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
見
(
み
)
よ、
硝煙
(
せうえん
)
の
裡
(
うち
)
をぬけ。
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
を
耻
(
は
)
ぢ
顏
(
がほ
)
に。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
之
(
こ
)
れを
耻
(
は
)
ぢずば
何
(
なに
)
を
耻
(
は
)
づ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
單
(
たん
)
に
頭
(
あたま
)
から
割
(
わ
)
り
出
(
だ
)
した、
恰
(
あたか
)
も
畫
(
ゑ
)
にかいた
餠
(
もち
)
の
樣
(
やう
)
な
代物
(
しろもの
)
を
持
(
も
)
つて、
義理
(
ぎり
)
にも
室中
(
しつちゆう
)
に
入
(
い
)
らなければならない
自分
(
じぶん
)
の
空虚
(
くうきよ
)
な
事
(
こと
)
を
耻
(
は
)
ぢたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
女はさすがに身を
耻
(
は
)
ぢて、二つの乳房を
掌
(
たなごころ
)
に隱し、八方から投げかけられる視線を痛さうに受けて
跼
(
うづくま
)
りました。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
松尾はまるで自分が
嗤
(
わら
)
われているような
耻
(
は
)
ずかしい口惜しい思いでわれ知らず頬を熱くしながら云った。
石ころ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
孰方
(
どっち
)
が悪いと云うのではない、もしも悪いと云う者があれば、それは現代に通用しない古い道徳に
囚
(
とら
)
われた見方だ、これからの子供はそんなことを
耻
(
は
)
じてはいけない
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
醜きを
耻
(
は
)
ぢざる女
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
去れど城を守るものも、城を攻むるものも、おのが叫びの
纔
(
わず
)
かにやんで、この深き響きを不用意に聞き得たるとき
耻
(
は
)
ずかしと思えるはなし。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
父上市太郎樣は、身を
耻
(
は
)
ぢて
自害
(
じがい
)
をなすつたのです。それを
庇
(
かば
)
つたのは、此處に居られる奧方樣と、お女中のお菊さん。萬一自害と知れては、父上樣の非を
發
(
あば
)
くことになりませう。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども今の人間はたとい
僅
(
わず
)
かな苦痛にもせよ、もしそんなものを
味
(
あじわ
)
わないで同じ結果が得られるならば、その道を取るのを賢いとする。自分たちは自分たちの臆病を
耻
(
は
)
じるにはあたらない。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
双方共
何時
(
いつ
)
もの様に軽くは話し得なかった。代助は酒の力を借りて、己れを語らなければならない様な自分を
耻
(
は
)
じた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この時ルーファスの次に座を占めたるウィリアムが「
渾名
(
あだな
)
こそ狼なれ、君が剣に
刻
(
きざ
)
める文字に
耻
(
は
)
じずや」と
右手
(
めて
)
を延ばしてルーファスの腰のあたりを
指
(
ゆびさ
)
す。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼等
(
かれら
)
は
彼等
(
かれら
)
の
眼
(
め
)
に、
不徳義
(
ふとくぎ
)
な
男女
(
なんによ
)
として
耻
(
は
)
づべく
映
(
うつ
)
る
前
(
まへ
)
に、
既
(
すで
)
に
不合理
(
ふがふり
)
な
男女
(
なんによ
)
として、
不可思議
(
ふかしぎ
)
に
映
(
うつ
)
つたのである。
其所
(
そこ
)
に
言譯
(
いひわけ
)
らしい
言譯
(
いひわけ
)
が
何
(
なん
)
にもなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
し
宗助
(
そうすけ
)
には
丸
(
まる
)
で
時間
(
じかん
)
を
潰
(
つぶ
)
しに
來
(
き
)
た
樣
(
やう
)
な
自覺
(
じかく
)
が
明
(
あき
)
らかにあつた。それを
斯
(
か
)
う
取
(
と
)
り
繕
(
つく
)
ろつて
云
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
ふのも、
自分
(
じぶん
)
の
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさからであると、
獨
(
ひと
)
り
耻
(
は
)
ぢ
入
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
巨人の
椎
(
つい
)
を下すや四たび、四たび目に巨人の足は、血を含む泥を
蹴
(
け
)
て、木枯の
天狗
(
てんぐ
)
の杉を倒すが如く、
薊
(
あざみ
)
の花のゆらぐ中に、落雷も
耻
(
は
)
じよとばかり
鞺
(
どう
)
と横たわる。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は少々平岡を低く見過ぎたのに
耻
(
は
)
じ入った。実はこの側から、彼の心を動かして、旨く油の乗った所を、中途から転がして、元の家庭へ滑り込ませるのが、代助の計画であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
耻
部首:⽿
10画
“耻”を含む語句
羞耻
耻辱
耻入
羞耻心
可耻
破廉耻
廉耻
無耻
生耻
破廉耻漢
氣耻
気耻
老耻
死耻
耻掻
耻晒
耻曝
愧耻