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碓氷
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うすい
ふりがな文庫
“
碓氷
(
うすい
)” の例文
「しかしこの雪に夜道をおいでなさるには、お二人だけでは心許のうございますな。
碓氷
(
うすい
)
へかかる道はよほどひどうございますが」
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この汽車が通って来た
碓氷
(
うすい
)
の
隧道
(
トンネル
)
には——
一寸
(
ちょっと
)
あの峠の関門とも言うべきところに——巨大な氷柱の群立するさまを想像してみたまえ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
打倒尊氏の
大旆
(
たいはい
)
をひるがえして、その郷土郷土からふるい立ち、信濃の
宗良
(
むねなが
)
親王軍も、ぞくぞく
碓氷
(
うすい
)
峠を南へくだっているという。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寂々たる
一笻千巌万壑
(
いっきょうせんがんばんがく
)
のうちを蹈破し、初めて
碓氷
(
うすい
)
嶺上に至り、
茫々
(
ぼうぼう
)
たる八州の平原を望むがごとく、実にその快活を感ぜずんばあらず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
まだ記憶に残っているのは、妙義山が左り手に当って突兀と聳えていた事と、
碓氷
(
うすい
)
峠を上るのに急坂でなかなか骨の折れた事などである。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
▼ もっと見る
軽井沢と称する地で最も有名なものは、もちろん中仙道
碓氷
(
うすい
)
峠の軽井沢である。かの地を旅行した人はしばしばどういう意味だろうという。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そのとき、これに呼応して北陸の上杉景勝、前田利家が相携えて大兵を進め、信州から
碓氷
(
うすい
)
峠を越えて上州へ攻め入った。
老狸伝
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「急ぎの道中なら坂本から
碓氷
(
うすい
)
へかかるのが順だのに、わざわざ裏道へかかって妙義の山越しをするお客様だもの、一日や二日はどうでもいい」
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
越後から
清水越
(
しみずご
)
えか、或いは
三国峠
(
みくにとうげ
)
をよじて上州の沼田へ出たであろうと想像され、そうして
碓氷
(
うすい
)
を越え
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
唯
(
ただ
)
漢学者のみは峠の意味でいつまでも
之
(
これ
)
を使用した、
摺針
(
すりばり
)
嶺、
碓氷
(
うすい
)
嶺、函嶺などは其二、三の例である。
峠
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
日光とか
碓氷
(
うすい
)
とか、天下の名所はともかく、武蔵野のような広い平原の林が
隈
(
くま
)
なく染まって、日の西に傾くとともに一面の火花を放つというも特異の美観ではあるまいか。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
夜が明けると、一番の上り汽車、これが
碓氷
(
うすい
)
の
隧道
(
トンネル
)
を越えます時、その幾つ目であったそうで。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これはいかさま成田屋としては『
暫
(
しばらく
)
』を出しても見たいだろう。文政元年十一月に親父
白猿
(
はくえん
)
の十三回忌に
碓氷
(
うすい
)
甚太郎定光で例の
連詞
(
つらね
)
を述べたまま久しくお蔵になっていたのだからな。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
やまやという感心もせぬ旅宿に
昼餐
(
ちゅうさん
)
したため、白馬山におくられ、犀川よぎり、
小諸
(
こもろ
)
のあたり
浅間
(
あさま
)
山を
飽
(
あ
)
かず眺め、八ヶ岳、
立科
(
たてしな
)
山をそれよと指し、
落葉松
(
からまつ
)
の赤きに興じ、
碓氷
(
うすい
)
もこゆれば
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
然
(
しか
)
るに此の喜六が
亡
(
な
)
くなった跡は、
親戚
(
みより
)
ばかりで、別に恩を
被
(
き
)
せた人ではないから、気詰りで中の条にも
居
(
い
)
られませんので、忠平と相談して中の条を出立し、
追分
(
おいわけ
)
沓掛
(
くつがけ
)
軽井沢
(
かるいざわ
)
碓氷
(
うすい
)
の峠も
漸
(
ようや
)
く越して
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
碓氷
(
うすい
)
峠の
権現
(
ごんげん
)
さまよ、わしがためには守り神
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
嘆
(
なげ
)
き
給
(
たま
)
いし
碓氷
(
うすい
)
山
県歌 信濃の国
(新字新仮名)
/
浅井洌
(著)
この人々に出会ったのが機縁で、親鸞と西仏と、光実、了智の四名は、ふたたび
碓氷
(
うすい
)
を越えて、信州
佐久郡
(
さくごおり
)
へ行くことになった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は幼いとき父に伴われて上越国境の
四万
(
しま
)
温泉の奥の渓流へも、磯部鉱泉の
碓氷
(
うすい
)
川へも、足尾銅山の方から流れてくる渡良瀬川へも釣りに行った。
利根川の鮎
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
普通の中仙道は松井田から
坂本
(
さかもと
)
、
軽井沢
(
かるいざわ
)
、
沓掛
(
くつかけ
)
の
宿々
(
しゅくじゅく
)
を経て
追分
(
おいわけ
)
にかかるのが順路ですが、そのあいだには
横川
(
よこかわ
)
の番所があり、
碓氷
(
うすい
)
の関所があるので
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
碓氷
(
うすい
)
その他の坂本の宿、
越後
(
えちご
)
葡萄
(
ぶどう
)
峠の如きは麓の村も衰えたが、その後に起った山道の衰微の方がなお烈しい。一夏草を
芟払
(
かりはら
)
わずにおけば大道も小径になる。
峠に関する二、三の考察
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
なにしろその頃は中央線の汽車がまだ八王子までしか通じていないし、
碓氷
(
うすい
)
トンネルがやっと出来て汽車が通じて間もない明治二十六年、丁度私が二十でございました。
木曾御岳の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
(
連
(
つれ
)
がもう一人あった。)三人連で、軽井沢、
碓氷
(
うすい
)
のもみじを見た汽車の
中
(
うち
)
に、まさしく間違うまい、これに就いた事実があって、私は、
不束
(
ふつつか
)
ながら、はじめ、淑女画報に
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下は
碓氷
(
うすい
)
の坂本までの間にあるまいと信じていたところ、その自信をうらぎって、ちっとも恐れず武者ぶりついて来た勇気のほどには、裸松ほどのものも、
一時
(
いっとき
)
力負けがして
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ただ関東平野の方角へ出るには、鳥居、
塩尻
(
しおじり
)
、和田、
碓氷
(
うすい
)
の四つの峠を越えねばならないのに引きかえ、
美濃
(
みの
)
方面の平野は馬籠の西の宿はずれから目の下にひらけているの相違だ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と出兵の口実を
藉
(
か
)
りて、上杉勢の退路を断ち、沼田、吾妻、
碓氷
(
うすい
)
の各所で、烈しい合戦が繰りかえされて来たのである。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上州
碓氷
(
うすい
)
郡豊岡村不動堂の縁起に曰く、八幡太郎この地の山窟に安倍の残党を退治せられた時、自分は
火性
(
ひのしょう
)
で本年は
水性
(
みずのしょう
)
なれば、寺僧をして
増歳
(
ぞうさい
)
の祭をなさしめた処
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
碓氷
(
うすい
)
峠の登り口、坂本の宿へはまだ一、二里あろうという二軒在家の村へついたとき、もう浅春の陽はとっぷりと暮れていた。寒い西風が、村の路に埃をあげて吹いている。
酒徒漂泊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
わたしも
親父
(
おやじ
)
と一緒に横川で汽車を下りて、
碓氷
(
うすい
)
峠の旧道をがた馬車にゆられながら登って下りて、荒涼たる軽井沢の宿に着いたときには、実に心細いくらい寂しかったものです。
木曽の旅人
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
浅間の北には長大な
四阿
(
あずまや
)
山が大魚の背を浮べたように横たわる。
碓氷
(
うすい
)
峠から北に続く連脈は、一之字山、網張山、
鼻曲
(
はなまがり
)
山、八栗山の剣ヶ峰、角落山となって四阿山脈の下に紛糾している。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
権現の前の石段を一息に走せ下ったところは、
碓氷
(
うすい
)
の
貞光
(
さだみつ
)
の力餅です。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
旅行をして諸国を
歩行
(
ある
)
くのに、越前の
木
(
こ
)
の芽峠の
麓
(
ふもと
)
で見かけた、炭を
背負
(
しょ
)
った女だの、
碓氷
(
うすい
)
を越す時汽車の窓からちらりと見ました、
隧道
(
トンネル
)
を出て、
衝
(
つ
)
と隧道を入る間の茶店に、うしろ向きの
女
(
むすめ
)
だの
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僕は
碓氷
(
うすい
)
を越す時に——
一昨日
(
おととい
)
だ——
真実
(
ほんと
)
に寂しかったねえ。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
信濃では、雲の峰のように湧いた大小いくつもの乱軍が合流しあって、一手は
碓氷
(
うすい
)
峠をこえ、一手は甲州を
席巻
(
せっけん
)
し、もう武蔵野へなだれ出ていた。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
碓氷
(
うすい
)
峠の山水を飾る
碓氷
(
うすい
)
川、霧積川、坂本川も長い年月、我が釣意を誘うところであった。
水の遍路
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
あなた様のご一行が、木曾路の雪に引っ返して、
碓氷
(
うすい
)
へ出たという善光寺からの便りを手にいたしましたので
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このあいだに、
宗良
(
むねなが
)
親王の
大旆
(
たいはい
)
は、
碓氷
(
うすい
)
から武蔵の
小手指
(
こてさし
)
ヶ
原
(
はら
)
に着き、新田
義興
(
よしおき
)
(義貞の二男)と脇屋義治(義助の子)を両翼とし、ほとんど武蔵野を
風靡
(
ふうび
)
していた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その地方の布教に、努力の
効
(
かい
)
を見た親鸞は、暇があると、山をこえて、越後や越中の国々へもよく杖をひいた。——また、
碓氷
(
うすい
)
を越えて、
上野
(
こうずけ
)
や
下野
(
しもつけ
)
の方面へもたびたび出た。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大月玄蕃ほどの者が、前には大草額平を
騙
(
かた
)
って
碓氷
(
うすい
)
峠に彼を
擁
(
よう
)
し、その失敗にも懲りず、再びここで二人を絶ってしまおうとする焦り方は、たしかに前の気持に近いものである。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
碓氷
(
うすい
)
峠や三国峠はただ宮方勢が敗走して行った山波の彼方であったまでにすぎない。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんどの如きも、信玄としては、かならずや謙信が
赫怒
(
かくど
)
して、上州から
碓氷
(
うすい
)
方面へ
伐
(
き
)
り入って来るなり、或いは、手薄な信州方面にたいして、報復手段をとって来るものと予想していた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東山道は、
碓氷
(
うすい
)
を越えて、信濃高原を経て、木曾路へ出るのである。もちろんこの方が日数はかかるが、右馬允貞盛は、途中、訪うべき人もあったので、こんどの帰洛には、東山道をえらんだ。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「九郎様。あなたは存外、何でもお心得ですから、おおかたご存知の事でしょうが、北は
碓氷
(
うすい
)
を境に、南は足柄山を境として、これから東が、
坂東
(
ばんどう
)
と申します。いわゆる、
東
(
とう
)
八
箇
(
か
)
国
(
こく
)
に入ります」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は再び、
傷
(
いた
)
む脚を鞭打って、
碓氷
(
うすい
)
峠を、東へ越えた。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
碓
漢検準1級
部首:⽯
13画
氷
常用漢字
小3
部首:⽔
5画
“碓氷”で始まる語句
碓氷峠
碓氷川
碓氷嶺
碓氷社
碓氷越
碓氷郷
碓氷関
碓氷権現