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さかひ
ふりがな文庫
“
界
(
さかひ
)” の例文
けれども赤彦君は、このごろ眠りと
醒覚
(
せいかく
)
との
界
(
さかひ
)
で時々錯覚することがあつた。ゆうべあたりも、『おれの
膝
(
ひざ
)
に今誰か乗つてゐなかつたか』
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
四人は翌二十日に
河内
(
かはち
)
の
界
(
さかひ
)
に
入
(
い
)
つて、食を求める外には人家に立ち寄らぬやうに心掛け、平野川に沿うて、
間道
(
かんだう
)
を東へ急いだ。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
街の傍に棄てられて、今は
界
(
さかひ
)
の石となりたる、古き柱頭も、わがためには、神聖なる記念なり、わがためには、めでたき音色に心を惱ますメムノンが塔なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
武州相州の
界
(
さかひ
)
、信濃坂に夜毎にはやし物の音あり。
笛鼓
(
ふえつづみ
)
など四五人声にして、中に老人の声一人ありける。近在または江戸などより、これを聞きに行く人多し。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
住むべき家の
痕跡
(
あとかた
)
も無く焼失せたりと
謂
(
い
)
ふだに、見果てぬ夢の如し、まして
併
(
あは
)
せて頼めし
主
(
あるじ
)
夫婦を
喪
(
うしな
)
へるをや、
音容
(
おんよう
)
幻
(
まぼろし
)
を去らずして、ほとほと幽明の
界
(
さかひ
)
を弁ぜず
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
お節は両手をうしろの首筋の方へ廻して細い
黄楊
(
つげ
)
の
櫛
(
くし
)
で髪をときつけながら立つて居た。物置の戸口と柱一つを
界
(
さかひ
)
にして小窓が切つてある其外には
手洗鉢
(
てうづばち
)
が置いてある。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
追放
(
つゐはう
)
と
聞
(
き
)
くからは、
父母
(
ちゝはゝ
)
もチッバルトもロミオもヂュリエットも
皆々
(
みんな/\
)
殺
(
ころ
)
されてしまうたのぢゃ。「ロミオは
追放
(
つゐはう
)
!」
其
(
その
)
一言
(
ひとこと
)
が
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
す
力
(
ちから
)
には
際
(
はて
)
も
量
(
はかり
)
も
限
(
きり
)
も
界
(
さかひ
)
も
無
(
な
)
いわいの。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
私はその時通り庭の土間を上つた所に立つて、汗を拭き/\、何気なく奥の間の方へ眼をやつたが、手前の部屋との
界
(
さかひ
)
の
葭障子
(
よししやうじ
)
を透して、其処に女が一人寝てゐるのが見えた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
仮現
(
けげん
)
の此
界
(
さかひ
)
にてこそ聖慮安らけからぬ節もおはしつれ、
不堅如聚沫
(
ふけんによじゆまつ
)
の御身を地水火風にかへし玉ひつる上は、
旋転如車輪
(
せんでんによしやりん
)
の御心にも和合動転を貪り玉はで、
隔生即忘
(
かくしやうそくまう
)
、
焚塵即浄
(
ふんぢんそくじやう
)
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
本町と北東仲町間の大通りを里俗広小路と云ひ、南方の中横町を杵屋横町、南方の上横町を常陸屋横町、満願寺長屋、広小路南角を恵比寿長屋、南方西仲町
界
(
さかひ
)
を古着店と云ふ。”
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
及び現に空冥
界
(
さかひ
)
を
異
(
こと
)
にしてゐる彼を切實に思ひ浮べることは出來なかつた。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
たやすく自然の美もて装はれたる
界
(
さかひ
)
の薫はしきあたりに到りうべく——ここに快楽の裡に包まれたる
霊魂
(
たましひ
)
——燃ゆるがごとき胸に響く愛国のしらべ、——ミルトンの運命と、シドニイの
最期
(
さいご
)
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
夫
(
そ
)
れ
呉起
(
ごき
)
は
賢人也
(
けんじんなり
)
。
而
(
しかう
)
して
矦
(
こう
)
の
國
(
くに
)
は
小
(
せう
)
にして、
又
(
また
)
彊秦
(
きやうしん
)
と
(九八)
界
(
さかひ
)
を
壤
(
じやう
)
す。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
彼は楊子をくはへながら、
直
(
す
)
ぐ家主の
庭
(
には
)
の
界
(
さかひ
)
にある井戸端へ出て行つた。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「なあおつう、さうだな」と
身體
(
からだ
)
を
横
(
よこ
)
に
向
(
む
)
けていつた。
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
と
土間
(
どま
)
との
界
(
さかひ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る
柱
(
はしら
)
の
陰
(
かげ
)
にランプの
光
(
ひかり
)
から
身
(
み
)
を
避
(
さ
)
けるやうにして一
座
(
ざ
)
の
獻酬
(
けんしう
)
を
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
た
女房等
(
にようばうら
)
の
手
(
て
)
が
俄
(
にはか
)
におつぎの
臀
(
しり
)
をつゝいて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
めぢの
界
(
さかひ
)
に物も無し、唯
遠長
(
とほなが
)
き
並木路
(
なみきみち
)
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
幽暗不知の
界
(
さかひ
)
に閉ぢこめて
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
北組、南組とは
大手前
(
おほてまへ
)
は
本町通
(
ほんまちどほり
)
北側、
船場
(
せんば
)
は
安土町通
(
あづちまちどほり
)
、
西横堀
(
にしよこぼり
)
以西は
神田町通
(
かんだまちどほり
)
を
界
(
さかひ
)
にして、市中を二分してあるのである。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
めぢの
界
(
さかひ
)
に物も無し、唯
遠長
(
とほなが
)
き並木路
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
又
佛蘭西
(
フランス
)
なる諸作家バルザツク、ユウゴオ、ゾラ、ドオデエの徒は、或は人情派の
界
(
さかひ
)
を超えて、人間派に入れりともいふべからむが、これとてもまた近世の作家なり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
野末遙けき森陰は、裾の
界
(
さかひ
)
の
線
(
すぢ
)
黒み
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
明
(
あかり
)
に透かして見れば、厩のはづれから、向つて左隣の
界
(
さかひ
)
に掛けて、一面の
竹藪
(
たけやぶ
)
である。八は暫く様子を見てゐて、
穿
(
は
)
いてゐた
下駄
(
げた
)
を脱いで、厩の
簷下
(
のきした
)
に置いて、竹藪の中に這入つた。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
野末遙けき森陰は、
裾
(
すそ
)
の
界
(
さかひ
)
の
線
(
すぢ
)
黒み
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
竹藪の奥の
詰
(
つめ
)
まで来た。ここからは障子を
脱
(
はづ
)
してある八畳の間が見える。ランプの光は、裏の畠の
界
(
さかひ
)
になつてゐる、
臭橘
(
からたち
)
の垣を照して、
蜘
(
くも
)
の
網
(
い
)
に溜まつた雨の
雫
(
しづく
)
がぴかぴかと光つてゐる。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
西が
知源寺
(
ちげんじ
)
、
摂津国町
(
つのくにまち
)
、
又二郎町
(
またじらうまち
)
、越後町、
旅籠町
(
はたごまち
)
、南が大川、北が与力町を
界
(
さかひ
)
とし、大手前から
船場
(
せんば
)
へ掛けての市街は、
谷町
(
たにまち
)
一丁目から三丁目までを
東界
(
ひがしさかひ
)
、
上大
(
かみおほ
)
みそ筋から
下難波橋
(
しもなんばばし
)
筋までを
西界
(
にしさかひ
)
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
“界”の意味
《名詞・suffix》
(さかい)空間を分ける線。
(カイ)種類を同じくする空間。
(カイ)生物分類の基本階級の一つで、一般的にはその最上単位。但し、近年ではさらにその上位に「ドメイン」のをおくこともある。界-門-綱-目-科-(族)-属-(節)-種
(出典:Wiktionary)
界
常用漢字
小3
部首:⽥
9画
“界”を含む語句
境界
世界中
滅法界
外界
幽界
人界
限界
他界
界隈
世界
冥界
見界
結界
眼界
花柳界
社界
下界
三界
人間界
世界的
...