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犢鼻褌
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ふんどし
ふりがな文庫
“
犢鼻褌
(
ふんどし
)” の例文
これを差し留められるのは、彼等が
縮緬
(
ちりめん
)
の
犢鼻褌
(
ふんどし
)
など買つて、久し振りに沖から歸つて來る時の樂みを奪はれるやうなものであつた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
八五郎は遊んで居る片手を働かせて、内懷から腹掛の丼から、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の
三
(
み
)
つまで搜つて居ります。女巾着切と思込んだのです。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
よく見ると、その上に殿様が裸のまゝ
胡坐
(
あぐら
)
を掻いてゐた。ほんの素つ裸で、たつた一つ
紅絹
(
もみ
)
の
犢鼻褌
(
ふんどし
)
を締めてゐるだけだつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
七日が
過
(
すぎ
)
ると土手の甚藏が
賭博
(
ばくち
)
に負けて
素
(
す
)
っ
裸体
(
ぱだか
)
になり、寒いから
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の上に馬の腹掛を
引掛
(
ひっか
)
けて妙な
形
(
なり
)
に成りまして、お賤の処へ参り
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
冬でも着物のまま壁に
倚
(
もた
)
れて
坐睡
(
ざすい
)
するだけだと云った。
侍者
(
じしゃ
)
をしていた頃などは、老師の
犢鼻褌
(
ふんどし
)
まで洗わせられたと云った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
殊に漁師の常として海上で働くときは、丸裸の
犢鼻褌
(
ふんどし
)
一つであるから、持物で誰彼を知ることは困難である。
屍体と民俗
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
と、ぶつぶつ云いながら、一枚脱ぎ、二枚脱ぎ、ついに、真ッ裸になって赤い
犢鼻褌
(
ふんどし
)
一つになってしまった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
犢鼻褌
(
ふんどし
)
無用の世となれば義理も大に欠いて然るべし。義理とは何ぞや。歳暮新春の進物はいうに及ばず人の家に冠婚葬祭の事あれば必ず物を贈答することなり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そはとにかくに糞の歌も、厠の歌も、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の歌も、
腋毛
(
わきげ
)
の歌も、
瘡
(
かさ
)
の歌も歌として書に載せられをる事実は争ふべきにあらず。歌必ずしも
尽
(
ことごと
)
く上品ならんや。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
取り食ふなどは
昔噺
(
むかしばなし
)
の草双紙などには有る事にて、三歳の小児も今の世には信ぜざることなり、其鬼は青鬼か赤鬼か、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
は古きや新しきやなど嘲り戯れつつ……
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ふざけ者が土用干の時の戯れのように
犢鼻褌
(
ふんどし
)
一ツで大鎧を着たというのでは無く、鎧直垂を着けないだけであったろうが、それにしても寒いのには相違無かったろう。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その頃江戸川
畔
(
べり
)
に住んでいた私は偶然
川畔
(
かわべり
)
を
散策
(
ぶらつ
)
いていると、流れを
下
(
お
)
りて来る川舟に
犢鼻褌
(
ふんどし
)
一つで元気に
棹
(
さお
)
をさしてるのが眉山で、
吉原
(
よしわら
)
通いの
山谷堀
(
さんやぼり
)
でも
下
(
くだ
)
る
了簡
(
りょうけん
)
で
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私は日本で有名な海水浴場の傍に十週間住んでいたが、このような有様にいささかなりとも似通ったことは断じて見受けなかった。男は裸体でも必ず
犢鼻褌
(
ふんどし
)
をしている。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
ぢき裏の路地の奥に蓬莱豆をこしらへる家があつて
倶梨迦羅紋紋
(
くりからもんもん
)
の男たちが
犢鼻褌
(
ふんどし
)
ひとつの向ふ鉢巻で唄をうたひながら豆を煎つてたが、そこは鬼みたいな男たちが怖いのと
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
生憎
(
あいにく
)
や
櫓
(
ろ
)
柱損じて如何ともする
能
(
あた
)
わず、急に
犢鼻褌
(
ふんどし
)
を解き、
櫂
(
かい
)
を左右の
舷
(
げん
)
に結び、二人極力これを
揺
(
うご
)
かす、忽ちにして
褌
(
ふんどし
)
絶つ。急に帯を解き、これを結び、
蒼皇
(
そうこう
)
以て舟を
行
(
や
)
る。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
たとへばワーテルローの陣に雷が落ちて将軍級のもの、ネーあたりが撃たれて死んだと云つても、雷をば角の生えた
虎
(
とら
)
の皮の
犢鼻褌
(
ふんどし
)
をした生物とはいかにしても聯想が向かない。
雷談義
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
而してそこで岡田の着物をぬがせ、彼は
犢鼻褌
(
ふんどし
)
ひとつの姿になってそこに立たせられた。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
心配するなッ、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
を
焚
(
や
)
いたッても、お前方を殺すことじゃあねえぞ。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
木綿の布六尺、纏うて腰部を蔽ふもの、これを
犢鼻褌
(
ふんどし
)
と謂ふ。越中、もつこう等はまた少しく異なれり。長崎日光の
辺
(
へん
)
にて、はこべといひ、奥州にてへこしといふも、こはたゞ名称の異なれるのみ。
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
犢鼻褌
(
ふんどし
)
を
腮
(
あご
)
にはさむや
著
(
き
)
そ
始
(
はじめ
)
汶村
(
ぶんそん
)
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
ば助けて
遣
(
やる
)
がよし
誰樣
(
どなた
)
も客人方に盜まれし品はなきやといふに
隣
(
とな
)
り座敷の客は
寢惚眼
(
ねぼけまなこ
)
にてキヨロ/\しながら拙者は大事の者が見えぬなり
早々
(
さう/\
)
詮議
(
せんぎ
)
成
(
なさ
)
れて下されよと云ゆゑ大事な者とは何なりやと
問
(
と
)
ひけるに客人
些
(
ちと
)
申兼たるが
御寶
(
おたから
)
が
紛失
(
ふんじつ
)
致し然も
昨日
(
きのふ
)
買
(
かひ
)
たてなりと云ば皆々成程
犢鼻褌
(
ふんどし
)
でござるか夫は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
八五郎は遊んでいる片手を働かせて、内懐から腹掛の丼から、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の三つまで
捜
(
さぐ
)
っております。女
巾着切
(
きんちゃくきり
)
と思込んだのです。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼はそれを
犢鼻褌
(
ふんどし
)
のミツへ
挟
(
はさ
)
んでいるか、または
胴巻
(
どうまき
)
へ入れて
臍
(
へそ
)
の上に乗っけているか、ちゃんと見分ける女なんだから、なかなか油断はできないよ
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ホワイトシャーツもまたその如し。然れどもメリヤスの肌着に至つては
犢鼻褌
(
ふんどし
)
も同様にて、西洋にては如何なる場合にも決して人の目に触れしむべきものにあらず。
洋服論
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「人間も
犢鼻褌
(
ふんどし
)
一つで、子供の枕もとで蚊を焼いて歩くやうになつちや、もうから意気地もない。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
犢鼻褌
(
ふんどし
)
だけを身につけた三人の日本人——小さな、背の低い人たちだが、恐ろしく強く、重いトランクその他の荷物を赤裸の背中にのせて、やすやすと小舟に下した——が
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
金松
(
かねまつ
)
と云う奴がいて、
其奴
(
そいつ
)
か
毀
(
こわ
)
れた碌でもねえ
行李
(
こり
)
を持っていて、自分の物は
犢鼻褌
(
ふんどし
)
でも古手拭でも
皆
(
みんな
)
其ん
中
(
なけ
)
え置くだ、或時
己
(
おれ
)
が其の行李を棚から
下
(
おろ
)
してね、明けて見ると
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
我もそを聞きて半黒を善きもののやうに思ひし事あり。またこの夜四辻にきたなき
犢鼻褌
(
ふんどし
)
、
炮烙
(
ほうろく
)
、
火吹竹
(
ひふきだけ
)
など捨つるもあり。犢鼻褌の
類
(
たぐい
)
を捨つるは厄年の男女その厄を脱ぎ落すの意とかや。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
此盆にも此の正月にも心付して呉れたお吉と気がついて八五郎めんくらひ、素肌に一枚どてらの
袵
(
まへ
)
広がつて
鼠色
(
ねずみ
)
になりし
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の見ゆるを急に押し隠しなどしつ、親分、なんの、あの、なんの姉御だ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
どんなに眠かったか、素肌の上に
半纏
(
はんてん
)
一枚羽織って、胸毛と一緒に、
掛守
(
かけまも
)
りと、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
が、だらしもなくはみ出します。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もっとも地獄の
沙汰
(
さた
)
も金次第というから
犢鼻褌
(
ふんどし
)
のカクシへおひねりを一つ投げこめば鬼の角も折れない事はあるまいが
生憎
(
あいにく
)
今は十銭の銀貨もないヤ。ないとして見りャうかとはして居られない。
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
男の
犢鼻褌
(
ふんどし
)
女にあって腰巻と云うの類か。男の越中は婦女のオンマ。物同じくして名を異にするもの
豈
(
あに
)
独り下駄のみならんや。つらつら足駄を眺むるに二枚の歯あり三個の眼ありこれ其の赤裸の本体。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
侍者
(
じしや
)
をしてゐた
頃
(
ころ
)
などは、
老師
(
らうし
)
の
犢鼻褌
(
ふんどし
)
迄
(
まで
)
洗
(
あら
)
はせられたと
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
裸といったって、勿論必ず
犢鼻褌
(
ふんどし
)
はしめている。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
どんなに眠かつたか、素肌の上に
半纒
(
はんてん
)
一枚羽織つて、
胸毛
(
むなげ
)
と一緒に、掛守りと、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
が、だらしもなくはみ出します。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
無雑作に
投
(
ほう
)
り出して、切り立ての
犢鼻褌
(
ふんどし
)
に、紺の香が匂う
腹掛
(
はらがけ
)
のまま、もう一度ドシャ降りの中へ
颯
(
さっ
)
と飛出しました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
クルリと尻をまくると、両方の尻に
蛙
(
かえる
)
となめくじを彫って
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の
三
(
み
)
つの上に、小さく蛇がとぐろを巻いております。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
クルリと尻をまくると、兩方の
尻
(
しり
)
に
蛙
(
かへる
)
となめくぢを彫つて
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の三つの上に、小さく蛇がとぐろを卷いて居ります。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「安心して下さい、ありゃ確かに男ですよ。
毛脛
(
けずね
)
が大変で——その上切り立ての
犢鼻褌
(
ふんどし
)
をして、威張って居ましたよ」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「安心して下さい、ありや確かに男ですよ。
毛脛
(
けずね
)
が大變で——その上切り立ての
犢鼻褌
(
ふんどし
)
をして威張つてゐましたよ」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「汚い手拭だな、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
と手拭だけでも、切り立てのパリツとしたのをたしなみにしろ。若い者が見つともねえ」
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「癪だの意地だのてえものは、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の
三
(
み
)
つにでもくるんで人樣の前へは出さねえ方が無事だぜ」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐桟
(
とうざん
)
を狭く着て、
水髪
(
みずがみ
)
の
刷毛先
(
はけさき
)
を左に曲げた、人並の風俗はしておりますが、長い鼻、
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
、間伸びのした
台詞
(
せりふ
)
、何となく
犢鼻褌
(
ふんどし
)
が嫌いといった人柄に見えるから不思議です。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐棧
(
たうざん
)
を狹く着て、水髮の
刷毛
(
はけ
)
先を左に曲げた、人並の風俗はして居りますが、長い鼻、
團栗眼
(
どんぐりまなこ
)
、間伸びのした
臺詞
(
せりふ
)
、何となく
犢鼻褌
(
ふんどし
)
が嫌ひといつた人柄に見えるから不思議です。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の三つも
括
(
くゝ
)
らうと思ひましたがね。相手が有難さうにして居るから、罰でも當つちや惡からうと、叔母さんが拵へてくれた肌守りの中に封じ込んで來ましたよ、この通り」
銭形平次捕物控:278 苫三七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「河童の元結や
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の乾かないうちに縛りたいところだ」
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
犢
漢検1級
部首:⽜
19画
鼻
常用漢字
小3
部首:⿐
14画
褌
漢検1級
部首:⾐
14画
“犢”で始まる語句
犢
犢牛
犢皮
犢子
犢肉
犢料理