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犠牲
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にえ
ふりがな文庫
“
犠牲
(
にえ
)” の例文
旧字:
犧牲
それからこっち後を引いてか、当歳から若年増、それも揃いも揃って女ばかりがすでに七人もこの神隠しの
犠牲
(
にえ
)
に上ったのであった。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
さあ、
八裂
(
やつざき
)
にしろ、俺は辞せん。——牛に乗せて夜叉ヶ池に連れて
行
(
ゆ
)
け。
犠牲
(
にえ
)
によって、降らせる雨なら、俺が竜神に談判してやる。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やがて正中ノ変となった。あまた宮方の人々は、斬られ、流され、むざんな
犠牲
(
にえ
)
となるを見たが、佐々木道誉の名は出ても来ぬ」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お初の方では、細い、白魚にも似た人さし指を、
曳金
(
ひきがね
)
にチカリと掛けて、ちょいと雪之丞に狙いをつけながら、
犠牲
(
にえ
)
をじゃらす
雌豹
(
めひょう
)
のように
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「神のお怒りでござります。神様が何かを怒らせられ飢餓を下されたのでござります。大事な宝を
犠牲
(
にえ
)
として、お怒りを
和
(
なだ
)
めずばなりますまい」
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
されば山の
犠牲
(
にえ
)
としてご要求になる人命と申しまするものは、一年にだいたい二百六十個、片足だけお取りあげになったものは千八本、前歯が六百枚、耳が七十三対という有様でございます。
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そが
犠牲
(
にえ
)
に吹きいづるなる。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
祖父江出羽守の
猟座
(
かりくら
)
、山伏山の田万里は、こうしてあくなき殿の我慾の
犠牲
(
にえ
)
に上げられて、一朝にして
狐狸
(
こり
)
の
棲家
(
すみか
)
と化し去ったのだった。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
膝を
露顕
(
あらわ
)
な素足なるに、恐ろしい
深山路
(
みやまじ
)
の霜を踏んで、あやしき神の
犠牲
(
にえ
)
に
行
(
ゆ
)
く……なぜか畳は
辿々
(
たどたど
)
しく、ものあわれに見えたのである。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あたりの
犠牲
(
にえ
)
にみずからを責めて苦しむのはよいことだが、それはそちたちの
科
(
とが
)
ではない。強悪正成一人の罪としておけ……
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「献上箱へ活きた
犠牲
(
にえ
)
を入れ、殿へ音物としてお送りしましたのも、私が最初かと存ぜられます」
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あの、雪を
束
(
つか
)
ねた白いものの、壇の上にひれ伏した、あわれな
状
(
さま
)
は、月を祭る供物に似て、非ず、
旱魃
(
かんばつ
)
の鬼一口の
犠牲
(
にえ
)
である。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「清純? ……そんなことばを聞くと、私、怖ろしくなりますわ、いつ、今に、あの伯父が私を黄金の
犠牲
(
にえ
)
にするか……」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
出雲国
(
いずものくに
)
松江
(
まつえ
)
の大橋をかけるとき、人柱を立てることになったが、誰もみずからすすんで
犠牲
(
にえ
)
になろうという者はない。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
漢権守様
(
あやごんのかみさま
)
の行なわせられる、
活躰解剖
(
いきみふわけ
)
の今夜の
犠牲
(
にえ
)
に、さあ何物があてられるかのう」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あの、雪を
束
(
つか
)
ねた白いものの、壇の上にひれ伏した、あはれな
状
(
さま
)
は、月を祭る
供物
(
くもつ
)
に似て、
非
(
あら
)
ず、
旱魃
(
かんばつ
)
の
鬼一口
(
おにひとくち
)
の
犠牲
(
にえ
)
である。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
春月を隠した美しい金剛雲の下で、その夜、惜し気もなく
犠牲
(
にえ
)
に散らされた鮮血が、どこまで、もちの木坂
満地
(
まんち
)
の若草を
紅
(
くれない
)
にしたことか? ……。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今夜にも合図の
烽火
(
のろし
)
を上げて神保様の軍兵を引き入れることも方寸にある! いやその前に島君を捉え、硫黄ヶ滝へ引いて行き、右衛門めと押し並べて火薬の
犠牲
(
にえ
)
にしてくりょう
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
で、それに
犠牲
(
にえ
)
をささげて、壁のたたりを納めるこころと、かねては、この御修覆の儀の事なく終わるを祈念されて、あの護摩堂の壁へ、母と子と二人の人柱を塗りこめることになったのじゃ
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
が、旅人があって、
幸
(
さいわい
)
に通るとすると、それは直ちに
犠牲
(
にえ
)
になる。自分はよくても、身代りを人にさせる道でない。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女の肉体は獣王の
犠牲
(
にえ
)
にひとたびは供されたが、今は彼女自身のものに立ち返っていた。天然の
麗質
(
れいしつ
)
は、死んでからよけいに
珠
(
たま
)
のごとく
燦
(
かがや
)
いていた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この子を捕らえた仲間達は、戦勝を祈る
犠牲
(
にえ
)
だと申して、この子を神の拝殿の前で焼き殺そうと致しました、見るに見かねてこの私が命乞いを致したのでございます。私は祭司でござります。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「やめよう。自分から望んでここへ移って来たのだ。若い娘も
犠牲
(
にえ
)
にするのを承知でわしは
就役
(
じゅやく
)
して来たのだ」
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
私
(
わし
)
が
姪
(
めい
)
は、ただこの村のものばかりではない。一郡六ヶ村、八千の人の
生命
(
いのち
)
じゃ、
雨乞
(
あまごい
)
の
犠牲
(
にえ
)
にしてな。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わしの
精力
(
ちから
)
の
犠牲
(
にえ
)
にしていたが、
汝
(
うぬ
)
ら二人も同じ燈に釣られ、わせられたそうな、ようわせられた! ……竹藪にかけてある
罠
(
わな
)
にかけて、金地院範覚は生け捕った! 汝を料理した血だらけの手で
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
米ならば五万石、八千人のために、
雨乞
(
あまごい
)
の
犠牲
(
にえ
)
になりましょう!
小児
(
こども
)
のうちから知ってもおろうが、絶体絶命の
旱
(
ひでり
)
の時には、村第一の美女を取って
裸体
(
はだか
)
に
剥
(
む
)
き……
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さまたげたろう。また、ぶち壊したと仰っしゃるのか。いくら兄者でも聞き捨てならん。これまで戦場の
犠牲
(
にえ
)
としてきた多くの白骨に対してもだ。兄者ッ、自分の卑劣を
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
犠牲
(
にえ
)
には何を捧げような?」
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
(
誓
(
ちかい
)
は
違
(
たが
)
えぬ! 貴下が
去
(
い
)
って、
他
(
ほか
)
の
犠牲
(
にえ
)
の——巣にかかるまで、このままここで動きはしない、)
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……ご落命の
厄
(
やく
)
に会った浮島ヶ原は、戦場ではなかったにせよ、いわばご戦死も同様なこのたびの
犠牲
(
にえ
)
。そのことのみが、家臣としても、ふかく胸いたまれてなりませぬ
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蜘蛛の
犠牲
(
にえ
)
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
答「北条殿、新田殿、足利殿、そして後醍醐のきみも、正成どのも、
犠牲
(
にえ
)
であるに変わりはない」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漸
(
やつ
)
との
思
(
おも
)
ひで
此処
(
こゝ
)
まで
来
(
き
)
て……
先
(
ま
)
づ
一呼吸
(
ひといき
)
と
気
(
き
)
が
着
(
つ
)
くと、あの
躰
(
てい
)
だ。
老爺
(
おぢい
)
さん、
形代
(
かたしろ
)
の
犠牲
(
にえ
)
に
代
(
か
)
へて、
辛
(
から
)
くもです、
我
(
わ
)
が
手
(
て
)
に
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
したとばかり
喜
(
よろこ
)
んだのは、お
浦
(
うら
)
ぢやない、
家内
(
かない
)
ぢやない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
自分のために、
幾多
(
いくた
)
の兵馬を
犠牲
(
にえ
)
にし、自分の一命をも陣頭に置いて、闘ってくれているのだ。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小児
(
こども
)
一人
犠牲
(
にえ
)
にして、毒薬なんぞ装らないでも、坊主になって
謝
(
あやま
)
んねえな。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
犠牲
(
にえ
)
にされるのかと思うと、庶民はお互いが、大名でなかった事を、むしろ
密
(
ひそ
)
かに祝福した。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああ、
犠牲
(
にえ
)
は代った。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それもこれも、ただ朝家のお為と、たくさんな人命の
犠牲
(
にえ
)
を惜しむばかりに申したことで、決して、尊氏をおそれ、左中将殿にお恨みがあって、
讒
(
ざん
)
したわけなどではありませぬ」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
両手でおさえたふところの秘冊! 幾多の
犠牲
(
にえ
)
をかけられて
奪
(
と
)
り奪られした阿波の大秘! 宝石のように抱きしめながら、お綱のあとを追って禅定寺の峠路を熱い息で駆けのぼる。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
では、あの評判な
及時雨
(
きゅうじう
)
ノ宋江でしたか。ならば、身を
犠牲
(
にえ
)
とする覚悟で
焦眉
(
しょうび
)
の危急を
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ここまで登ってくる途中でも、
犠牲
(
にえ
)
になった幾人もの
斬口
(
てぐち
)
をみたが、汝、あたら
天禀
(
てんぴん
)
の才腕をもって、時勢の反抗児となり、幕府の
走狗
(
そうく
)
になって、無為に終るのはつまらんではないか」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何百両という金を
貯
(
た
)
めるのは一生かかっても難しいことと、一平が
悪智慧
(
わるぢえ
)
を出して、醤油賭をやるようになってから、お咲も、自分の体を
犠牲
(
にえ
)
にしてもという気で夜鷹に身を落したが、実は
醤油仏
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我意
(
がい
)
もいわせず、浅井家へ
嫁
(
とつ
)
がせたのは、この信長であった。——国を
保
(
たも
)
つためには是非もない。わが家の
犠牲
(
にえ
)
になれといいふくめられて、泣く泣く
輿
(
こし
)
にかくれて行ったお市のすがたが……。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「徐兄。——ご辺はこの孔明を、祭の
犠牲
(
にえ
)
に供えようというおつもりか」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見るまに、かれと龍太郎の
犠牲
(
にえ
)
となる者のかずが知れなかった。そのふたりにまもられながら
伊那丸
(
いなまる
)
も
小太刀
(
こだち
)
をぬいて
幾人
(
いくにん
)
か
斬
(
き
)
った。だが、かれは
敵
(
てき
)
をかけまわして
浴
(
あ
)
びせかけることはしない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「地勢険悪、自然の力には人も抗し得ませぬ。——また、敵もおめおめと見てはおりませぬ。必然、無数の
犠牲
(
にえ
)
の者を出して、結果は遂に、
不成就
(
ふじょうじゅ
)
に終ること火を見るよりも明らかかと思われます」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男の未来を
犠牲
(
にえ
)
にさせて、この儘、戻ろうなどと考えておいでたのか。さりとは、
浅慮
(
あさはか
)
な。……実を云えば、恥しいが、人妻のあなたに、この半蔵は日頃からやる瀬ない思いを
焦
(
こが
)
していたのでござる。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
問「では、何十万の死者も、その
犠牲
(
にえ
)
というわけですか」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
剣風一陣、もう三名が血まつりの
犠牲
(
にえ
)
となった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
犠
常用漢字
中学
部首:⽜
17画
牲
常用漢字
中学
部首:⽜
9画
“犠牲”で始まる語句
犠牲者
犠牲的
犠牲台
犠牲料
犠牲用
犠牲船