“にえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
犠牲32.8%
29.3%
13.8%
11.2%
5.2%
3.4%
1.7%
似絵0.9%
0.9%
0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さあ、八裂やつざきにしろ、俺は辞せん。——牛に乗せて夜叉ヶ池に連れてけ。犠牲にえによって、降らせる雨なら、俺が竜神に談判してやる。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ことしも水の神のにえ求めつるよ。主人あるじはベルヒの城へきのふよりりとられて、まだ帰らず。手当てあてして見むとおもひ玉はば、こなたへ。」
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
昔の罪科つみとがを並べられた三斎、恐怖のにえとなって、ために、心臓に強烈な衝撃をうけて、もはや、生き直る力もない。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「いいやいや。にえみだれて刃みだれざるは上作なりと申す。およそ直刃すぐはに足なく、位よきは包永かねなが新藤五しんとうご千手院せんじゅいん粟田口あわたぐち——。」
寛永相合傘 (新字新仮名) / 林不忘(著)
お茶番のいる広い土間の入口のくぐり戸をはいってゆくと、平日いつもに増してお茶番の銅壺どうこにえたち、二つの茶釜ちゃがまからは湯気がたってどこもピカピカ光っていた。
と云いかけて実親じつおやの無慈悲を思うも臓腑はらわたにえかえるほど忌々いま/\しく恨めしいので、唇が痙攣ひきつり、烟管きせるを持った手がぶる/″\ふるえますから、お柳は心配気に長二の顔を見詰めました。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其のまゝき移すやうにむしろ彼方あなたへ、小さく遠くなつたやうな思ひがして、其の娘もにえの仔細も、媼の素性すじょうも、野のさまも、我が身のことさへ、夢を見たら夢に一切知れようと
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「よいつらがまえだ。その面、似絵にえ(似顔)に描いてつかわそう。しばし、うごくまいぞ」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれのつらを、似絵にえ(似顔絵)に描いてやるなどとざいた時もだ、腹では、くそでもくらえと思ったが、わざと尻尾しっぽを巻いて逃げ出したのも、今日のキメ手があったればこそだ。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狹い柳町の通は、造兵歸ざうへいがへりの職工で、にえくり返るやうである。軒燈けんとう徐々そろ/\雨の中から光出して、暖かい煙の這出はひだして來る飯屋めしや繩暖簾なはのれんの前には、腕車くるまが幾臺となく置いてある。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
鳰鳥(かいつぶり)は水にかずくので、葛飾かずしかのかずへの枕詞とした。葛飾は今の葛飾かつしか区一帯。「にえ」は神に新穀を供え祭ること、即ち新嘗にいなめの祭をいう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)