“たぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タギ
語句割合
74.2%
9.0%
7.1%
3.9%
沸騰1.9%
當藝1.3%
0.6%
弾棊0.6%
弾碁0.6%
熱沸0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二叔の信雄、信孝へむかって、こううながすのさえ、あごのさきで、声こそ低かったが、業腹ごうはらたぎりが息になって洩れたような語調だった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
炭は真白な灰になり、昼間にはたぎり立つてうなりつづけて居た鉄瓶は、それのなかの水と一緒に冷えきつて居た。それも当然の事である。
それ等の文句を取って其儘そのまま詠んだというのでなく、巻向川(痛足あなし川)の、白くたぎ水泡みなわに観入して出来た表現なのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
土田どた刎橋はねばし」である。この小峡谷は常に霧が湧き易くて、罩めると上も下も深く姿を隠すといふ。重畳した岩のぬめりを水はたぎち、碧く澄んで流れて、謂ふところの鷺の瀬となる。
日本ライン (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
沸騰たぎっているしるこの鍋は宙に飛んで、それが煙花はなびの落ちて来たように、亭主の頭から混乱した見物の頭上に落ちて来ましたから、それをかぶったものは大火傷おおやけどをして
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かれ其地そこに名づけて當藝たぎといふ。其地そこよりややすこし幸でますに、いたく疲れませるに因りて、御杖をかして、ややに歩みたまひき。かれ其地そこに名づけて杖衝坂つゑつきざかといふ。
弓削皇子ゆげのみこ(天武天皇第六皇子、文武天皇三年薨去)が吉野に遊ばれた時の御歌である。たぎは宮滝の東南にその跡が残っている。三船山はその南にある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
たぎ河内かふち」は、今の宮滝みやたき附近の吉野川で、水が強く廻流している地勢である。人麿は此歌を作るのに、謹んで緊張しているから、自然歌調も大きく荘厳なものになった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
室内の用具も簡単な物ばかりで、起臥きがする部屋も客の座から残らず見えるのである。碁盤、双六すごろくの盤、弾棊たぎの具なども田舎いなか風のそまつにできた物が置かれてあった。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
別荘には山里らしい風流な設備しつらいがしてあって、碁、双六すごろく弾碁たぎの盤なども出されてあるので、お供の人たちは皆好きな遊びをしてこの日を楽しんでいた。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
土井は格別兄のにこもる積りはなかつたけれど、そこに閉籠れば閉籠つたで、どこへも出る気はしなかつた。二つの大きな桐胴の火鉢に、炭火がおこされて、湯がいつでも熱沸たぎつてゐた。
(新字旧仮名) / 徳田秋声(著)