にえ)” の例文
ピグミーは、そこで刀の方に向き直って腕組みをしながら、しきりに地肌や、にえの具合を、ながめ入りましたが
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と云いかけて実親じつおやの無慈悲を思うも臓腑はらわたにえかえるほど忌々いま/\しく恨めしいので、唇が痙攣ひきつり、烟管きせるを持った手がぶる/″\ふるえますから、お柳は心配気に長二の顔を見詰めました。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
淀川よどがわを控えて、城を見て——当人寝が足りない処へ、こうてりつけられて、道頓堀どうとんぼりから千日前、この辺のにえくり返る町の中を見物だから、ぼうとなって、夢を見たようだけれど、それだって
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その面の冴えなど、美しい太刀のにえのようだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)