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牲
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にえ
ふりがな文庫
“
牲
(
にえ
)” の例文
衝
(
つ
)
と入る。
袂
(
たもと
)
に
縋
(
すが
)
って、
牲
(
にえ
)
の鳥の乱れ姿や、
羽掻
(
はがい
)
を
傷
(
いた
)
めた袖を悩んで、
塒
(
ねぐら
)
のような戸を
潜
(
くぐ
)
ると、
跣足
(
はだし
)
で下りて、小使、カタリと後を
鎖
(
さ
)
し
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昔の
罪科
(
つみとが
)
を並べられた三斎、恐怖の
牲
(
にえ
)
となって、ために、心臓に強烈な衝撃をうけて、もはや、生き直る力もない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ちょうど片目の魚が
生
(
い
)
け
牲
(
にえ
)
のうちからおそれ敬われたように、後々神の御身につく布である故に、その機の音のするところへは、ただの人の布を織る者は
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
老人「あれはみんな
牲
(
にえ
)
ですよ。サッサンラップ島のカメレオンには去年売れた野菜を
牲
(
にえ
)
にするのですよ。」
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
このお痛わしいお弟子入りについては、色々とこみ入った事情もございますが、
掻撮
(
かいつま
)
んで申せばこれは、父君右兵衛佐殿の調略の
牲
(
にえ
)
になられたのでございました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
昔美なる白綿羊を多く持った牧夫あり、何か
仔細
(
しさい
)
あってその羊一疋を神に
牲
(
にえ
)
すべしと誓いながら
然
(
しか
)
せず、神これを
嗔
(
いか
)
って大波を起し牧夫も羊も
捲
(
ま
)
き込んでしまった。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そのさまは一様でなかったが、その家に悪いしらせがあると、人びとはひどく恐れて、
牲
(
にえ
)
を供えて
禳
(
はろ
)
うた。神が喜んでうけいれてくれると、その不思議がなくなるのであった。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
久しく我らを
賤
(
いや
)
しみたり、我らに
捧
(
ささ
)
ぐべきはずの定めの
牲
(
にえ
)
を忘れたり、
這
(
は
)
う代りとして立って行く
狗
(
いぬ
)
、
驕奢
(
おごり
)
の
塒巣
(
ねぐら
)
作れる
禽
(
とり
)
、尻尾なき猿、物言う蛇、露
誠実
(
まこと
)
なき狐の子、
汚穢
(
けがれ
)
を知らざる
豕
(
いのこ
)
の
女
(
め
)
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
もろもろの歓楽に
驕
(
おご
)
りたまいしが、絶大の愛を心に持ちたまい、慈悲をあまねく日本国じゅうに
垂
(
た
)
れたまい、不幸なる者を救いたまえること数を知らず、今何の報いにて風波の
牲
(
にえ
)
となりたまわん。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
牲
(
にえ
)
にせられて血を流した人達があったとかで
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
幇間同士が血のしたたるビフテキを捧げて出た、獅子の口へ、身を
牲
(
にえ
)
にして奉った、という
生命
(
いのち
)
を
賭
(
と
)
した、
奉仕
(
サアビス
)
である。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
このお痛はしいお弟子入りについては、色々とこみ入つた事情もございますが、
掻撮
(
かいつま
)
んで申せばこれは、父君右兵衛佐殿の調略の
牲
(
にえ
)
になられたのでございました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
白鶏を
牲
(
にえ
)
して隠財を求むといい、コラン・ド・ブランシーの『遺宝霊像評彙』一巻六四頁には、天主教徒白鶏をクリストフ尊者に捧げて、指端の痛みを
癒
(
いや
)
しもらう。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
すっかり
牲
(
にえ
)
にささげて、あのいとわしい
貴
(
とうと
)
いお方のお側に、あまりに長う辛抱をしすぎました。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
姜はそこで
懼
(
おそ
)
れて結納をかえした。薛老人は心配して、
牲
(
にえ
)
を
潔
(
きよ
)
めて祠に往って
祷
(
いの
)
った。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
母はもとより天道の
大御心
(
おおみこころ
)
には
協
(
かな
)
わぬ
生立
(
おいたち
)
、自分の体を
牲
(
にえ
)
にして、そして
神仏
(
かみほとけ
)
の手で、つまり
幽冥
(
ゆうめい
)
の間に蝶吉の身を救ってやろう、いずれ
母娘
(
おやこ
)
が、揃って泥水稼業というは
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長崎奉行、代官をあやつって、松浦屋を陰謀の
牲
(
にえ
)
にした
頭人
(
とうにん
)
ともいうべき
奸商
(
かんしょう
)
ではないか!
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
明くるを待ちて、相見て口を合わするに、三人符を同じゅうしていささかも異なる事なし。ここにおいて青くなりて
大
(
おおい
)
に
懼
(
おそ
)
れ、
斉
(
ひと
)
しく
牲
(
にえ
)
を備えて、廟に
詣
(
まい
)
って、罪を謝し、哀を乞う。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
於是
(
これにおいて
)
蒼
(
あを
)
くなりて
大
(
おほい
)
に
懼
(
おそ
)
れ、
斉
(
ひと
)
しく
牲
(
にえ
)
を
備
(
そな
)
へて、
廟
(
びやう
)
に
詣
(
まゐ
)
つて、
罪
(
つみ
)
を
謝
(
しや
)
し、
哀
(
あい
)
を
乞
(
こ
)
ふ。
甲冑堂
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
牲
常用漢字
中学
部首:⽜
9画
“牲”を含む語句
犠牲
犧牲
自己犠牲
犠牲者
犠牲的
牲料
犧牲的
犠牲用
生牲
犧牲者
犠牲船
人身犠牲
犠牲料
犠牲台
牲牢
燔牲
大犠牲
大牲