けん)” の例文
旧字:
まるで人を野良犬かなんぞのようにあしらッて、あげくにはなぐったり、果物籠まで往来へほうり出して、水でもッかけそうなけんまくだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
面長おもながの、老人だから無論しわは寄っていたが、締った口元で、段鼻で、なかなか上品な面相かおつきだったが、眼が大きな眼で、女には強過きつすぎる程けんが有って
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その若い美しい奥方連の中に、太田筑前守の奥方ばかり四十を越した年配の、けんのありそうな婦人であります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
西北諸王の子弟は、東南に分封し、東南諸王の子弟は、西北に分封し、其地を小にし、其城を大にし、以て其力を分たば、藩王のけんは、削らずして弱からん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ドーレ。と木綿もめんはかまけた御家来ごけらいが出てましたが当今たゞいまとはちがつて其頃そのころはまだお武家ぶけえらけんがあつて町人抔ちやうにんなど眼下がんか見下みおろしたもので「アヽ何所どこからたい。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
兵馬へいばけん」とか「弓馬きゅうばいえ」とかいう語もあるほど、遠い昔から軍事の要具とせられている勇ましい馬の鳴声は、「お馬ヒンヒン」というとおことばにあるとおり
駒のいななき (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
実際今日こんにちの文けんは全く吾〻われ/\青年の手にあるんだから、一言でも半句でも進んで云へる丈云はなけりや損ぢやないか。文壇は急転直下の勢で目覚しい革命を受けてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
幸子はこの老婦人にそんな猪突ちょとつ的な一面があったことを今迄知らなかったのであるが、なるほど、そう云えば、年を取って尚更なおさらそうなったのかどうか、顔つきにも何処かけんがあって
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いづれにしても世渡よわたりの茶を濁さずといふこと無かりしかど、皆思はしからで巡査を志願せしに、上官の首尾好く、つひには警部にまで取立てられしを、中ごろにしてきんこれけんと感ずるところありて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
世を殺せし者必らずしも虚栄にほこる勝利者のみにはあらじ、力ある者は力なき者を殺し、けんある者は権なき者を殺し、智ある者は智なき者を殺し、げふある者は業なき者を殺し、世は陰晴常ならず
最後の勝利者は誰ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
もの云いなどもおとなしくけんというものが少しもない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
婆のけんまくに驚いたとみえ、弥次馬はもういて来ない。殿しんがりとして、鳥居の下で見張っていた権叔父も、やがて後から来て
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手前は常陸に知己しるべがあるから参ったが、ふとした縁で惣次郎方の厄介、処が惣次郎人遣いを知らず、名主というをけんにかってひどい取扱いをするは如何いかにも心外で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たしかに武家出の人であって、一見して女丈夫とも思われるくらいのけんの高い老女であります。
第十三子けいだい王とし、大同府だいどうふに居き、第十四子えいしゅく王とし、藩に甘州府かんしゅうふに就かしめ、第十五子しょくを封じてりょう王とし、広寧府こうねいふに居き、第十六子せんけい王として寧夏ねいかに居き、第十七子けんねい王に封じ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「聞きずてにならぬ暴言ぼうげんようがあればこそ幕内まくうちへとおる。それは奉行ぶぎょう役権やっけんじゃ。役儀やくぎけんをもってとおるになんのふしぎがあろう。どけどけ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お銀様は、冷たいけんのある言葉で首を横に振ったまま、お君の方を見返りもしませんでした。
大勢で悪口あっこう云われ、田舎武士と云って、手前などが女子おなごを買っても惚れられようと思うはおしが強いなどと云って、重役のけんふるって中根が打擲ちょうちゃくして、扇子のかなめでな面部を打割られたを残念と思って
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
人いちばいけんをふるったり意慾をほしいままにしたけれど、こういう人間ほど、半面には、かたくななくらいな道徳的良心をもっているので、失脚すると共に自己の良心で
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ね起きると、左官たちは、ひとつかみにしてしまいそうなけんまくで、お杉ばばの前に立ったが
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ならぬ!」と、伯父のけんを、声に加えて、蔡瑁はさらにこッぴどくいって、追い払った。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでに、鎌倉を立ち、九州このかたも、直義へは、軍政、日常のおもなるけん、あらましは彼にゆだねてあるが、このうえの名誉も栄花も俗世の果報かほうはみんな彼にやりましょう。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また折には草に伏し、熱砂を這い、もし服さぬ者は、これを斬るぐらいなけんは持っていませんと、到底、列を曳きずッてはいけません。しかるに、夫人おくがたの執事や家来とあっては
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いきなり横合の樹陰こかげから跳び出した人影がある。しゃれ声ですぐ老人であることは分ったが、手には、槍を引っげ、はかまを高くくくし上げて、まるで夜叉やしゃのようなけんまくだった。
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青年からご壮年になるまで、或いはいまも——光圀公のお胸にひそんでいることは——幕府のけんまつりごと一切をあげて、天朝へお還しさせ申さんという恐ろしいお望みにあるのです。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも、あなたの嘲蔑ちょうべつとあのけんまくにも屈せず、誠心誠意、相手を説破せんとするあの情熱は正直者です。あの容態ようたいは大器です。必ず後に大きくなるうつわと、野衲やのうは信じて疑いません
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんじゃと、あの玄徳が、けんの妹をもらいにきたのですって。……まああつかましい」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「眠りの邪魔になるからやめろというのに、聞えないか」弁円が、けんぺいに叱ると
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでにそのけんまくからして只ならないものがある。往来の者は、ッ気にとられて
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けんびず、世に臨んでは、政治まつりごとを私に曲げず、義にのぞんでは私心なく、白雲のごとく身は縹渺ひょうびょう、雨のごとく行動は急、そして貧に自楽することを知って、まとを得ざるも不平を病まずなどと……
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
否、大いにおそれてさえいるのだが、それにせよ直義がこのひとを超えてあまりなけんを持つのは好ましいことでなかった。しぜん自分の将来も共にうだつの上がらない予想がされてくるからだった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
食ッてかかるようなけんまくで、手を出している者たちを突き退
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
突っかかって来たわが子のけんまくにお杉はまた、膝に角を立てて
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けんをとってびょうに立つものが、第二の幕府をつくりはせぬか」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
必然武府のけんを持ち、すなわち、幕府ができてまいりましょう
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ま——大変なけんまくね」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けんる世にまた成れかし