けい)” の例文
五百が強いて帰ろうとすると、宗右衛門は安の生んだおけいせんの二人のむすめに、おばさんを留めいという。二人の女は泣いて留める。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
〔評〕或ひと岩倉公幕を佐くとざんす。公薙髮ていはつして岩倉邸に蟄居ちつきよす。大橋愼藏しんざうけい三、玉松みさを、北島秀朝ひでとも等、公の志を知り、深く結納けつなふす。
(四)「けい」「てい」「めい」のようにエ段音の次にイ音が来たものは、文字通りケイテイメイと発音していたのであるが、江戸後半の京都方言では
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
また真に、主君をけいする者は、敬する主君が、敵手てきしゅにかかってきょうせられるのを、眼で見るに忍べるものではありません。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つたので床次氏は勿論の事、原けい迄が半分偉人になつた積りの顔を歪めて苦笑してゐたさうだ。その男といふのは何でも帖佐辺の村長だといふ事だ。
子曰く、ようや南面せしむべしと。仲弓、子桑伯子を問う。子曰く、可なり、簡なりと。仲弓曰く、けいに居りて簡を行い、以て其の民に臨まば、亦可ならずや。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
およぜいつとめ、ところけいするところかざり・しかうしてにくところ(八五)めつするをるにり。かれみづか其計そのけいとせば、すなは其失そのしつもつこれ(八六)きはむるかれ。
風流自喜偶歩ふうりうおのづからぐうほをよろこぶ、とふので、一六いちろく釜日かまびでえす、とそゝりる。懷中くわいちうには唐詩選たうしせん持參ぢさん見當けんたう世間せけんでは、あれは次男坊じなんばうと、けいしてとほざかつて、御次男ごじなんとさへふくらゐ。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處には若い番頭のけい太郎が、何彼と應接して居るのを見付けると、そつと裏の方へ呼んで
しからばすなわち万一の変あるも控制こうせいやすしと、帝けいこたえたまわく、燕王は骨肉至親なり、何ぞこれに及ぶことあらんやと。敬曰く、ずい文揚広ぶんようこうは父子にあらずやと。敬の言実に然り。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
われは幻影と傀儡くわいらいとをけいせず、ディヤナも「義務」も「自由」も牛の姿のアピスも
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
主人は細君をそれほどおもんじてはいないが、ただ以上いじょうてんをおおいにけいしている。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
学士がくしですのなんのと云ツたところ味噌摺みそすりはふらずお辞義じぎ礼式れいしきじゆくせざれば何処どこいつてもけいしてとほざけらる〻が結局おちにてだしもけいさるゝだけをとくにしてめてもの大出来おほできといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
余輩のいわゆる遠ざかるとは、たがいに遠隔して敵視するをいうに非ず、またけいしてこれを遠ざくるの義にも非ず。遠ざかるは近づくの術なり、離るるは合するの方便なり。近くその例を示さん。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しよくをはりてのちあるじがいふ、ちや旦那だんな(秋山のことばに人をけいして茶の間の旦那といふ、茶の間をももちし人といふ事にや)どつふりに入らずといふ、此ことばさとしがたくて案内にへば
わがけいする龍三郎りゆうざぶらうの君
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
跡にのこったのは未亡人安四十四歳、長女けい二十一歳、次女せん十九歳の三人である。五百は台所町のやしき空地くうちに小さい家を建ててこれを迎え入れた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
〔譯〕周子しうしせいしゆとす、こゝろ本體ほんたいを守るを謂ふなり。※説づせつに、「よく無し故にせい」と自註じちゆうす、程伯氏ていはくしこれに因つて天よくせつ有り。叔子しゆくしけいする工夫くふうも亦こゝに在り。
戴宗たいそうという名は、すでに宋江がもらってきた紹介状でわかっていたが、江州では両院の押牢使おうろうしという上位にあり、となえて、「たい院長」とけいせられているだけでなく、おどろくべき道術をもっていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わがけいする画家よ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
この計画のために、抽斎は二階の四室を明けて、宗右衛門夫妻、けいせんの二女、女中一人いちにん丁稚でっち一人をまわせた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
〔譯〕爲す無くして爲す有る之をまことと謂ふ。爲す有つて爲す無し之をけいと謂ふ。
わがけいする画家よ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)