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てすう
ふりがな文庫
“
手数
(
てすう
)” の例文
旧字:
手數
なぐるなんと云う余計な
手数
(
てすう
)
は掛けない。そんな無駄をする程なら、己は
利足
(
りそく
)
の勘定でもする。女房をもその扱いにしていたのだ。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「何そんな
手数
(
てすう
)
のかかる事をしないでも出来ます。中学校の生徒に白木屋の番頭を加えて二で割ると立派な月並が出来上ります」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だが、或人の説によると、そんなに
手数
(
てすう
)
の要る事をするよりも、その注射代だけ
手土産
(
てみやげ
)
を持つて往つた方が、
屹度
(
きつと
)
女の気に入るといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大きな声では申されませぬが
私共
(
わたくしども
)
の考えますには無益なものに
手数
(
てすう
)
をかけて楽しんでいられるようなら
此様
(
こんな
)
結構な事はないじゃ御座いませんか。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
消毒の係りはただちに
疵口
(
きずぐち
)
をふさぎ、そのほか口鼻
肛門
(
こうもん
)
等いっさい体液の
漏泄
(
ろうせつ
)
を防ぐ
手数
(
てすう
)
をとる。三人の牧夫はつぎつぎ引き出して適当の位置にすえる。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
「これは有難い、私も今
両
(
りょう
)
三日すると、満行になるが、急に往かねばならぬことになったから、
手数
(
てすう
)
をかけた」
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
とにかく外見は友人のために時間や
手数
(
てすう
)
をつぶしている、しかし事実は友人のために
陥
(
おと
)
し
穽
(
あな
)
を掘る手伝いをしている、——あたしもずいぶん奮闘主義ですが
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
文「新兵衞殿、ようお出で下された、かく成り
果
(
はつ
)
るも自業自得、致し方がござらぬ、最早出帆の時刻、お役人にお
手数
(
てすう
)
をかけては相済まぬから、早くお帰り下さい」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
調理法
(
ちょうりほう
)
が
大
(
たい
)
へん
手数
(
てすう
)
のかかるものであることはうすうす
想像
(
そうぞう
)
されるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「
鷺
(
さぎ
)
の方はなぜ
手数
(
てすう
)
なんですか」カムパネルラは、さっきから、
訊
(
き
)
こうと思っていたのです。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
餅
(
もち
)
は
円形
(
まる
)
きが
普通
(
なみ
)
なるわざと三角にひねりて客の目を
惹
(
ひ
)
かんと
企
(
たく
)
みしようなれど実は
餡
(
あん
)
をつつむに
手数
(
てすう
)
のかからぬ工夫不思議にあたりて、三角餅の名いつしかその近在に広まり
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「待ちたまへ、味噌漬なら
敢
(
あえ
)
てお
手数
(
てすう
)
に及ぶまいと思ひます。」
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぬい子 それだけの
手数
(
てすう
)
をはぶくつもりなのよ。
昨今横浜異聞(一幕)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
これはまるで無駄な
手数
(
てすう
)
だった。プロテウスに
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
もう、お
手数
(
てすう
)
はかけません。
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
主人にあてつけるに
手数
(
てすう
)
は掛らない、ちょっと八っちゃんに
剣突
(
けんつく
)
を食わせれば何の苦もなく、主人の
横
(
よこ
)
っ
面
(
つら
)
を張った訳になる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これら新案の設色法は思ふに肉筆の制作と異なりてなるべく
手数
(
てすう
)
を簡略ならしめんとする彩色板刻の技術上偶然の結果に出でたるや知るべからず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「さうか、それはいゝ事をしたね。私もお前にそんな
手数
(
てすう
)
をかけても済まないから、いつそ
描
(
か
)
かない事にしよう。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
八 何ゆゑに文語を用ふる
乎
(
か
)
と皮肉にも僕に問ふ人あり。僕の文語を用ふるは何も気取らんが為にあらず。唯口語を用ふるよりも数等
手数
(
てすう
)
のかからざるが為なり。
病中雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ええ、毎日
注文
(
ちゅうもん
)
があります。しかし
雁
(
がん
)
の方が、もっと売れます。
雁
(
がん
)
の方がずっと
柄
(
がら
)
がいいし、
第一
(
だいいち
)
手数
(
てすう
)
がありませんからな。そら」
鳥捕
(
とりと
)
りは、また
別
(
べつ
)
の方の
包
(
つつ
)
みを
解
(
と
)
きました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
林「うむ、少しは疵も付いたろう、
自業自得
(
じごうじとく
)
だ、誰を
怨
(
うら
)
むところがあるか、神妙にお縄を頂戴しろえ、これ友之助、
大切
(
たいせつ
)
な御用だぞ、
上
(
かみ
)
へお
手数
(
てすう
)
の掛らねえように
有体
(
ありてい
)
に申上げろよ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一
方
(
ほう
)
は
火竜
(
かりゅう
)
、
他方
(
たほう
)
は
水竜
(
すいりゅう
)
——つまり
陽
(
よう
)
と
陰
(
いん
)
との
別
(
べつ
)
な
働
(
はたら
)
きが
加
(
くわ
)
わるから、そこに
初
(
はじ
)
めてあの
雷鳴
(
らいめい
)
だの、
稲妻
(
いなづま
)
だのが
起
(
おこ
)
るので、
雨
(
あめ
)
に
比
(
くら
)
べると、この
仕事
(
しごと
)
の
方
(
ほう
)
が
遥
(
はる
)
かに
手数
(
てすう
)
がかかるのじゃ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「また
手数
(
てすう
)
をかけるそうでございますね、顔ににあわない
強
(
ごう
)
つくばりですね」
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかしちょっとした
手数
(
てすう
)
を面倒がらないで
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
迷亭は何にも云わないで箸を置いて胸を二三度
敲
(
たた
)
いたが「奥さん
笊
(
ざる
)
は大抵三口半か四口で食うんですね。それより
手数
(
てすう
)
を掛けちゃ
旨
(
うま
)
く食えませんよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あれがなくなつたら、山ばかりでなく、向うに光つてゐる
大竹藪
(
おほたけやぶ
)
もよく見えるやうになるだらう。第一その方が茶席を造るよりは、
手数
(
てすう
)
がかからないのに違ひない。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして
霊魂
(
たましひ
)
を
奪
(
と
)
られたり、外套を
引
(
ひ
)
つ
剥
(
ぱが
)
されたりする。
農夫
(
ひやくしやう
)
といふものは、四福音書へ出るにも、探偵小説へ出るにも、
極
(
ごく
)
日当が
廉
(
やす
)
くて、
加之
(
おまけ
)
に物が解らないから
手数
(
てすう
)
が掛らなくていゝ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
文「何から何までお
手数
(
てすう
)
をかけまして恐入ります、
私
(
わたくし
)
は気付には及びませぬ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「やれやれ、これもまた
手数
(
てすう
)
をくうな」
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ところが案外なもので、まず
護謨
(
ゴム
)
を植えるための地面を借り受けるのにだいぶんな
手数
(
てすう
)
と暇が
要
(
い
)
る。それから借りた地面を切り開くのが容易の事でない。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こう云う
手数
(
てすう
)
をかけてまでも、無理に威厳を保とうとするのはあるいは
滑稽
(
こっけい
)
に聞えるかも知れない。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
決してそこの戸を閉めておくやうな
手数
(
てすう
)
のかかる事はしなかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼らの多くは全く私の知らない人で、そうして自分達の送った短冊を再び送り返すこちらの
手数
(
てすう
)
さえ、まるで眼中に置いていないように見えるのだから。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
手数
(
てすう
)
の懸らない人だな、養子には打つてつけさ。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
実は自分がこれだけの結論に到着するためには、わずかの時間内だがこれほどの
手数
(
てすう
)
と推論とを要したのである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だから死に近づきながら好い心持に、
三途
(
さんず
)
のこちら側まで行ったものが、順路をてくてく引き返す
手数
(
てすう
)
を
省
(
はぶ
)
いて、急に、
娑婆
(
しゃば
)
の真中に出現したんである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この手紙の内容は御退院を祝すというだけなんだから
一行
(
いちぎょう
)
で用が足りている。従って夏目文学博士殿と宛名を書く方が本文よりも少し
手数
(
てすう
)
が掛った訳である。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ずいぶん
手数
(
てすう
)
がかかるもんだね。我々の職業も根気仕事だが、君のほうはもっと激しいようだ」
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは少し
手数
(
てすう
)
が掛るなと思っていると、それから
糞
(
ふん
)
をして籠を
汚
(
よご
)
しますから、時々
掃除
(
そうじ
)
をしておやりなさいとつけ加えた。三重吉は文鳥のためにはなかなか強硬である。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
連中は三人だから、一人が一つの馬に乗るとすれば、三匹
要
(
い
)
る訳になる。この
茫漠
(
ぼうばく
)
たる原の中で、生きた馬を三匹
生捕
(
いけど
)
るとなると、
手数
(
てすう
)
のかかるのは一通りではあるまい。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女は主婦としていつもやる通りの義務を遅いながら
綺麗
(
きれい
)
に片づけた。津田がいないので、だいぶ
省
(
はぶ
)
ける
手数
(
てすう
)
を利用して、下女も
煩
(
わずら
)
わさずに、自分で自分の着物を畳んだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうじゃ無いのよ。あんまり
手数
(
てすう
)
がかかるんで、御父さんも根気が尽きちまったのよ。それでも御父さんだからあれだけにできたんですって、
皆
(
みん
)
な
賞
(
ほ
)
めていらしったわ」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
誤解交
(
ごかいまじ
)
りのこの評判が、どこからどうして起ったかを、
他
(
ひと
)
に説明しようとすれば、ずいぶん複雑な
手数
(
てすう
)
がかかるにしても、彼の頭の中にはちゃんとした
明晰
(
めいせき
)
な観念があって
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先生から手紙がくれば
差支
(
さしつかえ
)
があって
稽古
(
けいこ
)
ができないと云うことと断定して始めから読む
手数
(
てすう
)
を
省
(
はぶ
)
くようにした。たまに驚いた婆さんが代筆をする事がある。その時ははなはだよく分る。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれどもそこには東京ものの持って生れた誇張というものがあった。そんなに不完全なものですかと訊いてみようとしてそこに気のついた津田は、腹の中で苦笑しながら、質問をかける
手数
(
てすう
)
を
省
(
はぶ
)
いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“手数”の意味
《名詞:てすう》
あることを行うのに必要な作業の数。またそのような作業。手間。
1.が多くて面倒なこと。
特に、相手にかけさせる労力。多くおわびやねぎらいの気持ちをあらわすときに用いられる。
将棋や囲碁などにおける着手の数。
(出典:Wiktionary)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
数
常用漢字
小2
部首:⽁
13画
“手数”で始まる語句
手数料
手数後