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てすう
だが、或人の説によると、そんなに
手数の要る事をするよりも、その注射代だけ
手土産を持つて往つた方が、
屹度女の気に入るといふ事だ。
大きな声では申されませぬが
私共の考えますには無益なものに
手数をかけて楽しんでいられるようなら
此様結構な事はないじゃ御座いませんか。
勘次は
朝のまだ
凉しい、
葉に
濕りのある
間に
竈の
灰を
持つて
行つて
其の
葉に
掛けて
遣る
丈の
手數は
竭したのである。それで
幾らでも
活溌に
運動する
瓜葉蟲は
防がれた。
盆前よりかけて
暑さの
時分をこれが
時よと
大汗になりての
勉強せはしなく、
揃へたる
籘を
天井から
釣下げて、しばしの
手數も
省かんとて
數のあがるを
樂しみに
脇目もふらぬ
樣あはれなり。
彼等は
漸次家族の
間の
殊に
夫婦の
爭ひに
深入して
却て
雙方から
恨まれるやうな
損な
立場に
嵌つた
經驗があるので、
壞れた
茶碗をそつと
合せるだけの
手數で
巧に
身を
引く
方法と
機會とを
知つて
居た。