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手土産
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てみやげ
ふりがな文庫
“
手土産
(
てみやげ
)” の例文
彼は其足で更にお馨さんの父母を訪うことにした。銀座で
手土産
(
てみやげ
)
の浅草海苔を買ったら、
生憎
(
あいにく
)
「
御結納
(
おんゆいのう
)
一式調進仕候」の札が眼につく。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼は酒や肉を買って片手に抱え、また嫂のよろこびそうな
手土産
(
てみやげ
)
なども二つ三つ持って、久しぶり
紫石街
(
しせきがい
)
の茶店隣の
芦簾
(
あしすだれ
)
を
覗
(
のぞ
)
き込んだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、或人の説によると、そんなに
手数
(
てすう
)
の要る事をするよりも、その注射代だけ
手土産
(
てみやげ
)
を持つて往つた方が、
屹度
(
きつと
)
女の気に入るといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その頃のことで、別に敷金を取るでもなく、大屋さんへちょっと
手土産
(
てみやげ
)
をする位で何んの面倒もなく引き移りました。
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
薄々平次の息が掛っているとは思いましたが、そう
判然
(
はっきり
)
わかってしまうと、利助もジッとしてはいられません。
手土産
(
てみやげ
)
を用意して、神田まで一と走り。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
通
(
とほり
)
がかりに
見
(
み
)
た。
此
(
こ
)
の
山椒
(
さんせう
)
を、
近頃
(
ちかごろ
)
、
同
(
おな
)
じ
此
(
こ
)
の
邊
(
あたり
)
に
住
(
すま
)
はるゝ、
上野
(
うへの
)
の
美術學校出
(
びじゆつがくかうで
)
の
少
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
から
手土産
(
てみやげ
)
に
貰
(
もら
)
つた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手土産
(
てみやげ
)
も
田舎
(
いなか
)
らしく、扇子に
羊羹
(
ようかん
)
を添えて来るもの、
生椎茸
(
なまじいたけ
)
をさげて来るもの、先代の好きな菓子を仏前へと言ってわざわざ玉あられ一箱用意して来るもの
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼の前には
先刻
(
さっき
)
島田の持って来た
手土産
(
てみやげ
)
がそのまま置いてあった。彼はぼんやりその粗末な菓子折を眺めた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行掛
(
ゆきが
)
けの駄賃にしたのだか初対面の
手土産
(
てみやげ
)
にしたのだか、常陸の
行方
(
なめかた
)
郡
河内
(
かはち
)
郡の両郡の不動倉の
糒
(
ほしひ
)
などといふ平常は官でも手をつけてはならぬ筈のものを
掻浚
(
かつさら
)
つて
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
久助さんが、なお何かと
手土産
(
てみやげ
)
ようのものをブラ下げて帰って来ての話に、こんなことがありました
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お神が切れるところから、彼は来るたびに何かおつな
手土産
(
てみやげ
)
をぶら下げ、時には役者の
描
(
か
)
き
棄
(
す
)
てた
小幅
(
しょうふく
)
などをもって来て、お神を悦に入らせるのに如才がなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
昼の日中、村に帰るのは恥かしいというのである。そこで叔父だけが先に帰って、私達は久し振りに
床屋
(
とこや
)
に行って顔を
剃
(
そ
)
ったり、祖母への
手土産
(
てみやげ
)
を買ったりなどした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
得ているので……どうか一つ、あなたもよろしく願いますよ。こういう仕事ですからね。外部へ知れていいことばかりはないので……これはそのほんの
手土産
(
てみやげ
)
代りですが
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
その子だということは初め一目見た時から、私にはよく分っていました。早速
手土産
(
てみやげ
)
の玩具を出して、こちらへおいでと云いましたが、いつまでもじっと縮み込んでいます。
子を奪う
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
長順 ふむ、何を隠さう——
徒
(
いたづ
)
らに俗世間の義理人情に囚へられ、新しき教の心もえ
覚
(
さと
)
らぬ俗人
原
(
ばら
)
、あの老耄の痩首
丁切
(
ちよんぎ
)
り、吉利支丹宗へわが入門の
手土産
(
てみやげ
)
にな致さむ所存。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
偖小間物屋彦兵衞は
翌日
(
よくじつ
)
手土産
(
てみやげ
)
を
持
(
もち
)
馬喰町馬場の
脇
(
わき
)
なる彼の女
隱居
(
いんきよ
)
の
許
(
もと
)
へ
行
(
ゆき
)
昨日
(
きのふ
)
雨舍
(
あまやど
)
りの禮を
言
(
い
)
ひて
直
(
すぐ
)
に
商賣
(
あきなひ
)
に出しが是より心安くなり
宵
(
よひ
)
の内など
咄
(
はなし
)
に
行
(
ゆき
)
近處
(
きんじよ
)
へ出入場の世話を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
手土産
(
てみやげ
)
をなににしようかと思ったが、顔見知りの「
魚勝
(
うおかつ
)
」に寄って、
鯛
(
たい
)
を二枚、揃えた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
きっぱりと
繍
(
ぬ
)
わせ、折鶴の紋のついた藤紫の
羽織
(
はおり
)
、
雪駄
(
せった
)
をちゃらつかせて、供の男に、
手土産
(
てみやげ
)
らしい
酒樽
(
たる
)
を持たせ、うつむき勝ちに歩むすがたは、
手嫋女
(
たおやめ
)
にもめずらしい
﨟
(
ろう
)
たけさを持っている。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
だから我々も面倒臭い事は好加減にやつて置くべきである。それから郡視学も郡視学である。あの男は、郡視学に取立てられるといふ話のあつた時、毎日
手土産
(
てみやげ
)
を以て郡長の家へ日参したさうである。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
手土産
(
てみやげ
)
の菓子折を提げてゐる。
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
そして祝家村の陣営——宋江の幕舎へつくやすぐ、まず事情とこの一計とを呉用が参陣の
手土産
(
てみやげ
)
として、彼に語りつたえたものなのだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
翌日は、金之丞は
手土産
(
てみやげ
)
を持って平次のところへ顔を出しましたが、さすがに身に恥じたものか、自分を狙う者の心当りについては、何にも打明けません。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、或る晩、晩飯を済まし、裏口から、酒の切手を
手土産
(
てみやげ
)
にして思い切って出掛けて行った。何んだか冷汗を
掻
(
か
)
く思いで敷居を
跨
(
また
)
ぎ、御免下さいといったものである。
幕末維新懐古談:20 遊芸には縁のなかったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
大きなカステラの
函
(
はこ
)
を
手土産
(
てみやげ
)
に持って行ったので、大叔父は義理に
搦
(
から
)
まれて、要求されただけの金をその場で払わされたとかで、私はさんざ大叔母に
厭味
(
いやみ
)
を言われた上
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
細君は教授の夫人への
手土産
(
てみやげ
)
にと庭の
薔薇
(
ばら
)
の花を
提
(
さ
)
げ、自分がまだ娘であった頃から教授の家へはよく
出入
(
ではいり
)
したという話を岸本にして聞かせた。漸くのことで三人は船に間に合った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
二人とも私の母方の
従兄
(
いとこ
)
に当る男だったから、その縁故で、益さんは
弟
(
おとと
)
に会うため、また私の父に敬意を表するため、月に一遍ぐらいは、牛込の奥まで
煎餅
(
せんべい
)
の袋などを
手土産
(
てみやげ
)
に持って
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三月の末東京に帰って、五月中また
苺
(
いちご
)
など持って
訪
(
たず
)
ねて来た。翌年丁度引越しの一周年に、彼女はまた
手土産
(
てみやげ
)
を持って訪ねてくれた。去年帰西して、
昨日
(
きのう
)
江州
(
ごうしゅう
)
から上京したばかりだと云った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
振
(
ふり
)
否々
(
いや/\
)
然に非ず此は此程
手土産
(
てみやげ
)
にても持參すべきなれども其代りに進ぜるなりと種々申て
漸々
(
やう/\
)
受納
(
うけをさ
)
めさせ
猶
(
なほ
)
靱負
(
ゆきへ
)
は申樣我等未だ少々の
資本
(
しほん
)
もあれば何ぞ一
目論見
(
もくろみ
)
致し度思ふなり何と
金貸渡世
(
かねかしとせい
)
は如何有らんと
相談
(
さうだん
)
なせば主は
駭
(
おどろ
)
き御身何程の金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「作兵衛、お前に少し頼みたいことがあって、それでわざわざ父上までご一緒にお越しなされたのだ。これは少ないが、
手土産
(
てみやげ
)
の代りだ、取っておけ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「見舞ですよ、正真正銘親分の見舞に
違
(
ちげ
)
えねえ証拠は、この通り
手土産
(
てみやげ
)
を持って来たじゃありませんか」
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もっとも、飯田の方に着いて同門の人たちと一緒になる場合を考えると紋付の羽織に
袴
(
はかま
)
ぐらい
風呂敷包
(
ふろしきづつ
)
みにして肩に掛けて行く用意は必要であり、馬籠本陣への
手土産
(
てみやげ
)
も忘れてはいなかったが。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「よかろう。では、わしは
手土産
(
てみやげ
)
でも
提
(
さ
)
げるとしよう。亭主、大
甕
(
がめ
)
一
壺
(
こ
)
に酒を詰め、牛肉二十斤、鶏一トつがい、あの小舟のうちへ積んどいておくれ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たまの里帰りらしい
手土産
(
てみやげ
)
をそこへ取り出すにも、祖母のおまんをはじめ宗太夫婦に話しかけるにも、彼女は都会生活の間に慣れて来た言葉づかいと郷里の
訛
(
なま
)
りとをほどよくまぜてそれをした。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そんな事を言って、笹屋の主人源助が
手土産
(
てみやげ
)
を持って顔を出しました。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
『少いが、これは
手土産
(
てみやげ
)
だ。その代りに頼みがある。
明日
(
あした
)
の早朝、ここで山田浅右衛門が、
胴試
(
どうだめ
)
しにかける罪人の死骸を、朝までおれに貸してくれないか』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一郎は新しく替った学校の
徽章
(
きしょう
)
を帽子に附け、
手土産
(
てみやげ
)
を
提
(
さ
)
げ、改まった顔付をしてやって来た。この一郎と一緒になることは泉太や繁をめずらしがらせた。節子は平素にも
勝
(
ま
)
して静粛に見えた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「それから親分、これは私の
手土産
(
てみやげ
)
」
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「こりゃ今度、おれが甲府へ来た
手土産
(
てみやげ
)
のかわりだよ、すくねえが納めておいてくれ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かねて大酒のうわさのある師匠のために、陰ながら健康を案じ続けていた彼ではあるが、いざ
訪
(
たず
)
ねて行こうとして、何か
手土産
(
てみやげ
)
をと
探
(
さが
)
す時になると、やっぱり良い酒を持って行って勧めたかった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「そのつもりで、
手土産
(
てみやげ
)
のかわりに、少しばかり御馳走を買って待っていたのよ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「房ちゃんは
幾歳
(
いくつ
)
に成るの?」とお種が
手土産
(
てみやげ
)
を取出しながら聞いた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これは筑前がほんの
手土産
(
てみやげ
)
代りと申しあげて、よろしく、御前へ御披露のほどを
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と母親は
手土産
(
てみやげ
)
を出して、
炉辺
(
ろばた
)
に置きました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“手土産(
土産
)”の解説
土産(みやげ、みあげ、どさん、とさん)は、知人や縁者に配る目的で旅行先などで買い求めるその土地にちなむ品物(進物)。または知人や縁者の家宅など訪問先を訪問する際に感謝を込めて持参する進物のこと。後者の場合は手土産(てみやげ)という言い方もする。旅先で見聞きした物事や体験などを語って聞かせることを土産話(みやげばなし)という。進物であることから丁寧語の接頭辞をつけ、御土産(おみやげ)と称するのが一般的である。
(出典:Wikipedia)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
土
常用漢字
小1
部首:⼟
3画
産
常用漢字
小4
部首:⽣
11画
“手土”で始まる語句
手土