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悲惨
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ひさん
ふりがな文庫
“
悲惨
(
ひさん
)” の例文
旧字:
悲慘
「もし
自分
(
じぶん
)
が、あの
佐倉宗吾
(
さくらそうご
)
だったら。」と、
空想
(
くうそう
)
したことでした。あの
悲惨
(
ひさん
)
きわまる
運命
(
うんめい
)
にあわなければならぬと
想像
(
そうぞう
)
したのです。
世の中のために
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
矢野が病の
外
(
ほか
)
に恋を持っているとなれば、悲しむべき運命に会うた時に、いっそうその
悲惨
(
ひさん
)
を深くすべきを思うたからである。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
……えゝ、
尤
(
もつと
)
も、
結核
(
けつかく
)
は、
喉頭
(
かうとう
)
から、もう
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
には
舌
(
した
)
までも
侵
(
をか
)
して
居
(
ゐ
)
たんださうですが。
鬼殻焼
(
おにがらやき
)
……
意気
(
いき
)
が
壮
(
さかん
)
なだけ
何
(
ど
)
うも
悲惨
(
ひさん
)
です。は、はア。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「では
已
(
や
)
むを得ませんから、最後のお話をいたしましょう」帆村は物静かな調子で云った。「この犯行の動機は、まことに
悲惨
(
ひさん
)
な事実から出て居ます。 ...
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
題して酒中日記という既に
悲惨
(
ひさん
)
なり、
況
(
いわ
)
んや実際彼の筆を採る必ず酔後に於てせるをや。この日記を読むに
当
(
あたっ
)
て特に記憶すべきは実に又この事実なり。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
「もし力があって、
賢
(
かしこ
)
いかたが、この
悲惨
(
ひさん
)
なありさまをごらんになれば、キツネどもが
罰
(
ばつ
)
をうけないうちは、じっとしてはいらっしゃれないでしょう。」
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
必死に、
逃路
(
にげみち
)
を求めているような青年の様子が、可なり
悲惨
(
ひさん
)
だった。美奈子は、他人事ならず、胸が張り裂けるばかりに、母が何と云い出すかと待っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
人間
(
にんげん
)
の
眼
(
め
)
には、
人
(
ひと
)
の
臨終
(
りんじゅう
)
というものは、ただ
衰弱
(
すいじゃく
)
した
一
(
ひと
)
つの
肉体
(
にくたい
)
に
起
(
おこ
)
る、あの
悲惨
(
ひさん
)
な
光景
(
ありさま
)
しか
映
(
うつ
)
りませぬが、
私
(
わたくし
)
にはその
外
(
ほか
)
にまだいろいろの
光景
(
ありさま
)
が
見
(
み
)
えるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
鮮血地にして余りに
悲惨
(
ひさん
)
な、殉難宗徒のありさまを見、唯一なるものを疑うようになり、おりから負傷した天童もろとも、戦死といつわって
唐櫃
(
からびつ
)
へ隠れ、原の城を脱出し
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
だから、あらゆる方面に向つて、
奥行
(
おくゆき
)
を
削
(
けづ
)
つて、一等国丈の
間口
(
まぐち
)
を
張
(
は
)
つちまつた。なまじい張れるから、なほ
悲惨
(
ひさん
)
なものだ。
牛
(
うし
)
と競争をする
蛙
(
かへる
)
と同じ事で、もう君、
腹
(
はら
)
が
裂
(
さ
)
けるよ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あるいは宗教のためか、どっちか知らないが、
図南
(
となん
)
の
鵬翼
(
ほうよく
)
を太平洋の風に張った勇士にちがいない、それが海難にあって、無人境の白骨となったとすれば、あまりに
悲惨
(
ひさん
)
な話じゃないか
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
が、たちまち物売りに
竹箆返
(
しっぺいがえ
)
しを食わせた
後
(
のち
)
、すっかり巻煙草を買うことを忘れていたのを発見した。巻煙草も吸われないのは
悲惨
(
ひさん
)
である。悲惨?——あるいは悲惨ではないかも知れない。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
正しきものの名によって兵をくわだてた勇士をかかる
悲惨
(
ひさん
)
な境遇に
陥
(
おちい
)
らしめ、そして王法の敵にかかる
栄
(
さか
)
えをあたうるごとき不合理な神々の前に、
乞食
(
こじき
)
のごとくに伏してあわれみを求めることが!
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「召集されて随分
悲惨
(
ひさん
)
な家もあるンでしょうね」
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
駅
(
えき
)
へむかう
道
(
みち
)
の
上
(
うえ
)
で、なにかあるらしく
人々
(
ひとびと
)
が
集
(
あつ
)
まっているので、
自分
(
じぶん
)
もいってみる
気
(
き
)
になりました。それは、はじめて
見
(
み
)
る、
悲惨
(
ひさん
)
の
光景
(
こうけい
)
ではなかった。
道の上で見た話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ああ、僕はその光景を一目見たとき、そっちへ目を向けたことを
後悔
(
こうかい
)
した。それは
悲惨
(
ひさん
)
きわまる光景だった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ただ快活な喜劇の女優の代りに、
悲惨
(
ひさん
)
な屍体があった。がその他の
境遇
(
きょうぐう
)
は、全く同じである。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
馴
(
な
)
れない
料理人
(
れうりにん
)
が、むしるのに、
幾
(
い
)
くらか
鎧皮
(
よろひがは
)
が
附着
(
くつゝ
)
いて
居
(
ゐ
)
たでせうか。
一口
(
ひとくち
)
触
(
さは
)
つたと
思
(
おも
)
ふと、
舌
(
した
)
が
切
(
き
)
れたんです。
鬼殻焼
(
おにがらやき
)
を
退治
(
たいぢ
)
ようと
言
(
い
)
ふ、
意気
(
いき
)
が
壮
(
さかん
)
なだけ
実
(
じつ
)
に
悲惨
(
ひさん
)
です。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
人世問題
(
じんせいもんだい
)
になんらかの考えがあって、いまの
境遇
(
きょうぐう
)
にありとせば、いよいよ
悲惨
(
ひさん
)
な
運命
(
うんめい
)
である。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
だから君、
悲惨
(
ひさん
)
じゃないか。悲惨だろう。この上仕方のない事はないだろう。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして見ると、自分の
周囲
(
まわり
)
には何処かに
悲惨
(
ひさん
)
の影が取巻ていて、人の
憐愍
(
れんみん
)
を自然に
惹
(
ひ
)
くのかも知れない。自分の性質には何処かに人なつこいところがあって、
自
(
おのず
)
と人の親愛を受けるのかもしれない。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
破壊以前
(
はかいいぜん
)
が人なみよりもあたたかい
歓楽
(
かんらく
)
に
富
(
と
)
んでおっただけ、
破壊後
(
はかいご
)
の
悲惨
(
ひさん
)
が
深刻
(
しんこく
)
であった。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
河村は見るも物凄い
形相
(
ぎょうそう
)
となり、真紅な口をガッと開いたかと思うと、両手で
虚空
(
こくう
)
をつかんで、そのまま絶命した。実に
悲惨
(
ひさん
)
とも
凄絶
(
せいぜつ
)
ともいいあらわし難い彼の最期だった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところが、
僕
(
ぼく
)
がたずねていって、
伝記
(
でんき
)
で
知
(
し
)
った
佐倉宗吾
(
さくらそうご
)
の
歩
(
ある
)
いた
道
(
みち
)
を、もし
自分
(
じぶん
)
が
同
(
おな
)
じ
境遇
(
きょうぐう
)
に
置
(
お
)
かれたら、やはりその
道
(
みち
)
を
歩
(
ある
)
いたかもしれぬ。そうすれば、
同
(
おな
)
じような
悲惨
(
ひさん
)
なめにあったであろう。
世の中のために
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ゆくさきざきの乳屋で
虐待
(
ぎゃくたい
)
されて、ますます
本物
(
ほんもの
)
になったらしい。じつにきのどくというて、このくらい
悲惨
(
ひさん
)
なことはすくなかろうと、安藤は長ながと話しおわって
嘆息
(
たんそく
)
した。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
佐々記者は
遂
(
つい
)
に決心して、前に自分の生命を救ってくれた少年に、このたびは自分の命を
捧
(
ささ
)
げたいと申出たが、艇長ははじめの
誓約
(
せいやく
)
をたてにして承知しなかった。
悲惨
(
ひさん
)
なる光景だった。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ちがうよ。爆弾の時限性については、あくまで正確なることを保証する。侯爵夫人は爆死せられたのではなく、アフリカ探検中、蟒に呑まれてしまって、
悲惨
(
ひさん
)
な
最期
(
さいご
)
を
遂
(
と
)
げられたのじゃ」
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして放送所の
後庭
(
あとにわ
)
に掘ってあるごみ捨て場の方へ持っていかれた。いろんなきたないものと一緒に、じめじめした穴の中に、ぼくは
悲惨
(
ひさん
)
な日を送るようになった。身体はだんだんと
錆
(
さび
)
て来た。
もくねじ
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
第三の犠牲者のお千代の
殺害惨状
(
さつがいさんじょう
)
はあまりにも
悲惨
(
ひさん
)
だった。女給一同は、第二の惨劇以来というものは、カフェ・ネオンに宿泊するのをいやがって、みな別荘の方へ行って寝ることにしていた。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
悲
常用漢字
小3
部首:⼼
12画
惨
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“悲惨”で始まる語句
悲惨な
悲惨事