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彼我
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ひが
ふりがな文庫
“
彼我
(
ひが
)” の例文
欧米の婦人連もまた同様に欠点があるので、その
彼我
(
ひが
)
の欠点を互いに相改めて、初めて
頼母
(
たのも
)
しい婦人が出来上がるというものである。
婦人に対する実業思想の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
現に事が
纏
(
まとま
)
るという実用上の言葉が人間として
彼我
(
ひが
)
打ち解けた非実用の快感状態から出立しなければならないのでも分りましょう。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ともかくも本国においては永遠に
行方
(
ゆくえ
)
知れずであり、この遠征によって
彼我
(
ひが
)
の交通が、開けたことにはなっていないのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
両軍は
祁山
(
きざん
)
の前に陣を張った。山野の春は浅く、陽は澄み、
彼我
(
ひが
)
の
旌旗
(
せいき
)
鎧甲
(
がいこう
)
はけむり
燦
(
かがや
)
いて、天下の壮観といえる対陣だった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここを本陣として置いて
食時
(
しょくじ
)
ならば皆ここに集まつて食ふ、それには皆弁当を開いてどれでも食ふので
固
(
もと
)
より
彼我
(
ひが
)
の別はない。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
そして坂上でちょっと馬を止めて「
唯今
(
ただいま
)
六郷川
(
ろくごうがわ
)
を挟んで
彼我
(
ひが
)
交戦中であるが、
何時
(
いつ
)
あの線が破れるかもしれないから、皆さんその準備を願います」
流言蜚語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
のみならず、斯くの如き手紙を平氣で書き、亦平氣で讀むという
彼我
(
ひが
)
二人の間は、眞に同心一體、肝膽相照すといふ趣きの交情でなくてはならぬ。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
東京市民は空襲警報にしきりと
脅
(
おび
)
え、太平洋では
彼我
(
ひが
)
の海戦部隊が微妙なる戦機を狙っているという場面であった。戦争は果して起るのであろうか。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
学べば学ぶほどに、
彼我
(
ひが
)
の文明の相違の著しいことがわかる。将来の文明は機械の文明であって、当分の日本の仕事は、まず以てその機械の文明を吸い取ることだ。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
歐文
(
おうぶん
)
で
日本歴史
(
にほんれきし
)
を
書
(
か
)
くとき、
便宜上
(
べんぎじやう
)
日本年紀
(
にほんねんき
)
と
共
(
とも
)
に
西歴
(
せいれき
)
を
註
(
ちう
)
して
彼我
(
ひが
)
對照
(
たいせう
)
の
便
(
べん
)
に
資
(
し
)
するは
最適當
(
さいてきたう
)
な
方法
(
はうはふ
)
であり、
歐文
(
おうぶん
)
で
歐洲歴史
(
おうしうれきし
)
を
書
(
か
)
くとき、
西歴
(
せいれき
)
に
從
(
したが
)
ふは
勿論
(
もちろん
)
である。
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
もとより詩の原理するところは、東西古今を通じて一であり、時と場所による異別を考え得ないが、その特色について観察すれば、
彼我
(
ひが
)
自
(
おのず
)
から異ったものがなければならぬ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
何時間かの
後
(
のち
)
、この歩兵陣地の上には、もう
彼我
(
ひが
)
の砲弾が、
凄
(
すさ
)
まじい
唸
(
うな
)
りを飛ばせていた。目の前に聳えた松樹山の山腹にも、
李家屯
(
りかとん
)
の我海軍砲は、幾たびか黄色い
土煙
(
つちけむり
)
を揚げた。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
旅順の海戦——
彼我
(
ひが
)
の勝敗の決した記憶すべき十日の海戦の詳報のしきりに出るころであった。アドミラル、トオゴーの勇ましい名が、世界の新聞雑誌に記載せらるるころであった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そのまに、
彼我
(
ひが
)
の距離は、またたくまに遠ざかり、やがて、五艘の
端艇
(
ボート
)
は、海霧の彼方に姿を没してしまった。船長ピコルはじめ、海賊たちは、どんなに口惜しがっていることだろう。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
昨日
(
きのう
)
となれば何事もただなつかし。何ぞ事の是非を
究
(
きわ
)
めて
彼我
(
ひが
)
の
過
(
あやまち
)
を
明
(
あきらか
)
にするの要あらんや。青春まことに
一夢
(
いちむ
)
。老の
寝覚
(
ねざ
)
めに思出の種一つにても多からんこそせめての慰めなるべけれ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
人を
讒
(
ざん
)
すべからず、まさしく国法を守りて
彼我
(
ひが
)
同等の大義に従うべし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
こんな場合に自分ならという
彼我
(
ひが
)
の比較さえ胸に浮かばなかった。今の彼女には寝ぼけたお時でさえ、そこにいてくれるのが
頼母
(
たのも
)
しかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
のみならず、斯くの如き手紙を平気で書き、又平気で読むといふ
彼我
(
ひが
)
二人の間は、真に同心一体、肝胆相照すといふ趣きの交情でなくてはならぬ。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そう言っている時にも、
彼我
(
ひが
)
の砲弾は盛にとびかい、その爆発音は天地をふるわせ、硝煙はますますこくなって、おたがいの陣地をかくしてしまう。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いわゆる
我
(
われ
)
あるを知って
他
(
た
)
あるを忘れ、個人あるを知って国家を思わぬので、
彼我
(
ひが
)
の信用は地に
堕
(
お
)
ちて実業も振わない、社会の徳義は
紊乱
(
びんらん
)
する、風俗は
頽廃
(
たいはい
)
する
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
そこに中古支那の道義観や民情もうかがわれるし、そういう
彼我
(
ひが
)
の相違を読み知ることも、三国志の持つ一つの意義でもあるので、あえて原書のままにしておいた。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
負けていよいよ血迷うばかりで、
彼我
(
ひが
)
を見定めるの余裕があろうはずがありません。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それがはたして古く大国に行われたという嘗なる文字を
宛
(
あ
)
てて、当っているか否かを決するのは、必ずや
彼我
(
ひが
)
の伝統の比較、すなわち自今なお日本の知識人の至難なりとする討究が
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
明治以来、我々の文壇や文明やは、その
慌
(
あわただ
)
しい力行にかかわらず、一も外国の精神に追いついてはいなかった。逆に
益々
(
ますます
)
、
彼我
(
ひが
)
の行きちがった線路の上で、走れば走るほど遠ざかった。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
全部がぴたりと一致せぬ以上は写さるる彼になり切って、彼を写す訳には行かぬ。依然として
彼我
(
ひが
)
の境を有して、我の見地から彼を描かなければならぬ。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこでいよいよここに、○○国境を新戦場として、
互
(
たがい
)
に
誇
(
ほこ
)
りあう
彼我
(
ひが
)
の精鋭機械化兵団が、
大勝
(
たいしょう
)
か
全滅
(
ぜんめつ
)
かの、
乾坤
(
けんこん
)
一
擲
(
てき
)
の一大決戦を交えることになったのである。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし、それも遂に、自分たちを救うことの出来ないものであったと、
彼我
(
ひが
)
の地勢や作戦上の理解に知って、一時は落胆したものの、決して戦意を捨てはしなかった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
以上の如く、欧州文明の
這入
(
はい
)
って来た径路を考えてみると、葡、西及び英等の諸国の商業目的と布教目的とに依って開けたものであることが知れる。これより以後、
彼我
(
ひが
)
の交通は
益々
(
ますます
)
頻繁となった。
東西両文明の調和を論じて帝国の将来に及ぶ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
いよいよ
彼我
(
ひが
)
の砲撃戦がはじまった。こうなっては、飛行島大戦隊も逃げるわけにゆかない。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼我
(
ひが
)
相通じ、しかも彼我相守り、自己の特色を失わざると共に、同圏異圏の臭味を帯びざるようになった暁が、わが文壇の歴史に一段落を告げる時ではなかろうかと思います。
文壇の趨勢
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つまり海面と防潜網との隙間を行くものではあるが、こいつを何千何万
隻
(
せき
)
とぶっ放すと、
彼岸
(
ひがん
)
に達するまでに、
彼我
(
ひが
)
の水上艦艇に突き当るから、
直
(
ただ
)
ちに警報を発せられてしまう。
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それを
表向
(
おもてむき
)
さも
嬉
(
うれ
)
しい消息ででもあるように取扱かって、
彼我
(
ひが
)
に共通するごとくに見せかけたのは、無論一片のお
世辞
(
せじ
)
に過ぎなかった。もっと悪く云えば、一種の
嘲弄
(
ちょうろう
)
であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目下、
彼我
(
ひが
)
の空軍並に機械軍の間に、激烈なる戦闘を
交
(
まじ
)
えつつあり。
就中
(
なかんずく
)
、右翼
竜山師団
(
りゅうざんしだん
)
は一時苦戦に
陥
(
おちい
)
りたるも、左翼
仙台
(
せんだい
)
師団の
急遽
(
きゅうきょ
)
救援砲撃により、危機を脱することを得たり。終り
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこにはたとい気の毒だという
侮蔑
(
ぶべつ
)
の
意
(
こころ
)
が全く打ち消されていないにしたところで、ちょっと
彼我
(
ひが
)
の地位を
易
(
か
)
えて立って見たいぐらいな
羨望
(
せんぼう
)
の念が、
著
(
いちじ
)
るしく働らいていた。お延は考えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども
二人
(
ふたり
)
の
生活
(
せいくわつ
)
の
裏側
(
うらがは
)
は、
此
(
この
)
記憶
(
きおく
)
のために
淋
(
さむ
)
しく
染
(
そ
)
め
付
(
つ
)
けられて、
容易
(
ようい
)
に
剥
(
は
)
げさうには
見
(
み
)
えなかつた。
時
(
とき
)
としては、
彼我
(
ひが
)
の
笑聲
(
わらひごゑ
)
を
通
(
とほ
)
してさへ、
御互
(
おたがひ
)
の
胸
(
むね
)
に、
此
(
この
)
裏側
(
うらがは
)
が
薄暗
(
うすぐら
)
く
映
(
うつ
)
る
事
(
こと
)
もあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
時としては、
彼我
(
ひが
)
の笑声を通してさえ、御互の胸に、この裏側が薄暗く映る事もあった。こういう訳だから、過去の歴史を今夫に向って新たに繰り返そうとは、御米も思い寄らなかったのである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
我
常用漢字
小6
部首:⼽
7画
“彼”で始まる語句
彼
彼方
彼奴
彼女
彼処
彼方此方
彼岸
彼様
彼是
彼等