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尖端
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さき
ふりがな文庫
“
尖端
(
さき
)” の例文
塔の燒跡に突つ立てた竿の
尖端
(
さき
)
が影を落したあたり、塔から幾らも離れてゐない水田の中の一點を、平次は自信に充ちて指すのでした。
銭形平次捕物控:249 富士見の塔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
罵声
(
ばせい
)
が子路に向って飛び、無数の石や棒が子路の
身体
(
からだ
)
に当った。敵の
戟
(
ほこ
)
の
尖端
(
さき
)
が
頬
(
ほお
)
を
掠
(
かす
)
めた。
纓
(
えい
)
(冠の
紐
(
ひも
)
)が
断
(
き
)
れて、冠が落ちかかる。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
また俎板に残った臓腑は白子、真子を一々串の
尖端
(
さき
)
で選り分けて塩辛に漬ける。これが又非常に贅沢な風味のあるものらしかった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
二年間金アミの中で金の柵ばかり啄ついている嘴の
尖端
(
さき
)
は鋭く砥がれていて、先の方で鍵型にちょっと曲り、手の肉にくい入るのである。
人真似鳥
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「さァ——」横瀬は、モシャモシャ
頭髪
(
かみのけ
)
を、指でゴシゴシ
掻
(
か
)
いた。「注射器は判るが、
尖端
(
さき
)
についている針が無いから、
見当
(
けんとう
)
がつかねえ」
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
ひよツとして、本場の上等鰹節のない時は、白醤油を皿に入れ、それを箸の
尖端
(
さき
)
で䑛めつゝ、
可味
(
うま
)
さうに飯の實を味つてゐた。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「ところで、あの
船室
(
ケビン
)
の前の白い
柱
(
マスト
)
の
尖端
(
さき
)
へ、御主人が
燈火
(
あかり
)
をお吊るしになったのは、度々のことではないですね?」
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
大幅の清少納言の
後向
(
うしろむ
)
きの姿の「繪姿の頸筋のあたり」を、舌の
尖端
(
さき
)
でかるく
䑛
(
な
)
める、といふところであり、その後の例は、『兵隊の宿』のなかの、お光といふ女主人公が
「鱧の皮 他五篇」解説
(旧字旧仮名)
/
宇野浩二
(著)
外科医の一人は堅いビフテキの一
片
(
きれ
)
を
肉叉
(
フオーク
)
の
尖端
(
さき
)
へ突きさして、その昔基督がしたやうに
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
日が暮れるとこの妄想の
恐怖
(
おそれ
)
は
何時
(
いつ
)
も小さな幼兒の胸に鋭利な鋏の
尖端
(
さき
)
を突きつけた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
『シヨクノ』——東京の言葉でいふ『ネツキ』は、最も私の心を樂ませた遊びです。木は不自由しない村ですから、私は太助の
鉈序
(
なたついで
)
に、強さうな木の
尖端
(
さき
)
を鋭く削つて貰ひました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そういう時僕はいつもその人の鼻の
尖端
(
さき
)
から唇へかけての横顔の曲線を比較するのだよ。すべて人の顔は正面から見て特徴のない場合、側面から見るとはっきりした特徴の見えるものだ。
呪われの家
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
青
蚊帳
(
かや
)
をすかして見るような、紺いろにぼけた世界だった。
藻
(
も
)
の林が身辺においしげって、ふしぎなことには、その
尖端
(
さき
)
に一つ一つ
果
(
み
)
のように人の顔がついていた。源十郎だった。お藤だった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
六寸程の
竹片
(
たけぎれ
)
が挟んであるのを見附て、指を差込だが春日の指に比べて隙間が少し狭かった、漸く取出してみると、
尖端
(
さき
)
に泥が
乾
(
かわ
)
き着いていた、足許に気がつくと柱の根元三寸程の所塀に密接して
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
なぜならその会堂はゴシック式の
尖端
(
さき
)
のとがったアーチが矢尻のように吾々の文明をつきさす前に建てられたものであるから、柱と柱の間の青白い一条の光りが頭上の世界への他の出入口を示した。
金の十字架の呪い
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
塔の
尖端
(
さき
)
には
黄金
(
きん
)
の旗
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
砥草
(
とくさ
)
などは北風にさらされる方の茎の色が茜色に焼け、さかんな水気を吸ひ上げ
尖端
(
さき
)
を蕭條と枯らしてゐるなど冬の色である。
冬の庭
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
精限り根限りの味覺を舌の
尖端
(
さき
)
に集めようとする
状
(
さま
)
で、ぴた/\と音させて、深く考へ込んでゐたけれど、到頭分らなかつた。
父の婚礼
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「すつかり締めきりましたよ。六疊の外の三枚の雨戸は、鵜の毛の
尖端
(
さき
)
で突いた程の
疵
(
きず
)
もありませんね。棧も
確
(
しつか
)
りしてゐるし」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は指の
尖端
(
さき
)
に
唾
(
つば
)
をつけて、その青レッテルの壜をへばりつけた。それから爪の先で、いろいろやってみてやっと
栓
(
せん
)
を抜いた。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それを見ると福太郎も真似をするかのように
唾液
(
つば
)
を飲み込みかけたが、下顎が石のように
固
(
こわ
)
ばっていて、舌の
尖端
(
さき
)
を動かすことすら出来なかった。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
剣は持主が手入れを怠けたせいか、古い
留針
(
とめばり
)
のように
尖端
(
さき
)
が少し錆びかかっていました。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
机に
対
(
むか
)
つて、復た私は鉛筆の
尖端
(
さき
)
を削り始めた。今度の長物語を書くには、私は
本町
(
ほんまち
)
の
紙店
(
かみや
)
で幅広な方の
罫
(
けい
)
の入つた洋紙を買つて来て、堅い鉛筆でそれに記しつけることにして居る。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
死体の右の手を持ち上げて調べて見ると
食指
(
ひとさしゆび
)
の
尖端
(
さき
)
に泥がついて居た。
呪われの家
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
揉みはじめたのだがその足裏は、どうしたことかひどく硬くて
凹
(
へこ
)
まない。どうやら大きな
胼胝
(
たこ
)
らしい。博士は、今度はもう少し足を持ちあげて、その
拇
(
おや
)
指の
尖端
(
さき
)
を灯の前へ
捻
(
ね
)
じ向けるようにした。
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
閃
(
ひら
)
めく
噴水
(
ふんすゐ
)
の
尖端
(
さき
)
からしづれて
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
今、その雲の
尖端
(
さき
)
を
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
『こんなことをして、これ
何
(
なん
)
になるんだらう。』と、小池は細卷きの袋入りの
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
の
尖端
(
さき
)
で、其の女の黒髮を突ツついた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その穴の方へ
尖端
(
さき
)
を向けて、横木や兩側の板から逆に打つた釘の先には、この穴に引つ掛つて死んだ、伊保木金太郎の着物から
毮
(
むし
)
られたらしい
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
通り風や、青い火や、幽霊になって現われて、
鶴嘴
(
つるはし
)
の
尖端
(
さき
)
を掴んだり、
安全燈
(
ラムプ
)
を消したり、
爆発
(
ハッパ
)
を
不発
(
ボヤ
)
にしたりする。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、赤羽主任は、吹矢の一本を取上げて、その
尖端
(
さき
)
で由蔵の頭のあった辺を探っていたが、暫くすると、コツンと音がして、ポカリと眼の前に一つの穴が開いた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『今ね、』と準教員は銀之助の方を振向いて見ながら、『猪子先生のことで、大分やかましく成つて来たところさ。』と言つて、一寸鉛筆の
尖端
(
さき
)
を
舐
(
な
)
めて、
復
(
ま
)
た
微笑
(
ほゝゑ
)
み乍ら写生に取懸つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ええ、そう云えば、時にはあの
尖端
(
さき
)
に
燈火
(
あかり
)
を点けることもございました……年に一度か二度のことですが、なんでも、いつもより少し遠く、沖合まで
帆走
(
セイリング
)
する時の、
目標
(
めじるし
)
にするとか申しまして……」
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
清少納言の繪姿の頸筋のあたりを舌の
尖端
(
さき
)
で輕く䑛めてから、丸行燈の燈心を一筋にして、郡内の厚蒲團の上へ、埋まるやうになつて轉がつた。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
麻繩を持つて來て善兵衞の死骸を
梁
(
はり
)
に釣り、その繩の
尖端
(
さき
)
を窓から出して、お由利の父親が善兵衞を怨んで首を吊つた、あの柿の木に結んでしまつた
銭形平次捕物控:229 蔵の中の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その絶頂に立っておりました棒切れと、その
尖端
(
さき
)
に結びつけてあるヤシの枯れ葉を、
一思
(
ひとおも
)
いに引きたおして、眼の下はるかの淵に投げ込んでしまいました。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
先刻
(
さっき
)
、君は私の手料理になる
栄螺
(
さざえ
)
を、
鱈腹
(
たらふく
)
喰
(
た
)
べてくれたね。ことに君は、×××××、
箸
(
はし
)
の
尖端
(
さき
)
に摘みあげて、こいつは
甘味
(
うまい
)
といって、嬉しそうに食べたことを覚えているだろうね。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
尖端
(
さき
)
の方に妙な万力が吊るしてありますな?」
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
中から
選
(
よ
)
り出したのは、枝のない竹が一本、長さ六尺ほど、
尖端
(
さき
)
は泥に
塗
(
まみ
)
れて、黒ずんだ
膠
(
にかわ
)
のように見えるのは、紛れもない血の古くなったものです。
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
田圃
(
たんぼ
)
の中の稻の穗の柔かに
實
(
みの
)
つたのを
一莖
(
ひとくき
)
拔き取つて、まだ青い
籾
(
もみ
)
を
噛
(
か
)
むと、白い汁が甘く舌の
尖端
(
さき
)
に附いた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ツイ自分の鼻の先に突立っている毛の
尖端
(
さき
)
を見ると、自分では毛頭ソンナ気じゃないのに、両手がジリジリと縮んで、赤茶色の
禿頭肌
(
はげはだ
)
が吾輩の唇に接近して来た。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
銅
(
あか
)
だって、一分もある厚いやつを使ってあるんで……。それにあの針と来たら、少し曲ってはいるが、ああいう風にだんだんと
尖端
(
さき
)
の方にゆくにつれて細くするには、とても骨を折った。
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
中から選り出したのは、枝のない竹が一本、長さ六尺ほど、
尖端
(
さき
)
は泥に塗れて、黒ずんだ
膠
(
にかは
)
のやうに見えるのは、紛れもない血の古くなつたものです。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その都度に、華やかな
洋傘
(
パラソル
)
の
尖端
(
さき
)
が、大きい、小さい
円
(
まる
)
や弧を、
空
(
くう
)
に描いて行くのであった。
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
露
(
つゆ
)
の
滴
(
したゝ
)
りさうな眞白の實を花の形に切り、ナイフの
尖端
(
さき
)
に刺して小池の前に差し出した。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
袖の
尖端
(
さき
)
に血のついた娘——それも、間違ひなくこの境内から出た女の行方を、つまらない手違ひから見失つて了つたといふのは、何としたドヂでせう。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
最初、
唇
(
くち
)
の
周囲
(
ぐるり
)
がムズ痒いような気持で、サテは
少
(
ちっ
)
と中毒ったかナ……と思ううちに指の
尖端
(
さき
)
から不自由になって来ます。立とうにも腰が抜けているし、物云おうにも声が出ん。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
懷中
(
ふところ
)
から
楇
(
つみ
)
を取り出して、
路傍
(
みちばた
)
の缺け瓦に
尖端
(
さき
)
の錆を磨りおとした文吾は、白く光る針のやうな鋭さに見入りながら、これで煑賣屋の婆の眼をば、飛び込んでたゞ一突きと、氣が狂うたやうに
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
袖の
尖端
(
さき
)
に血のついた娘——それも、間違いなくこの境内から出た女の
行方
(
ゆくえ
)
を、つまらない手違いから見失ってしまったというのは、何としたドジでしょう。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから左右の白眼を、魚のようにギラギラ光らせると、泥まみれの両頬をプーッと風船ゴムのように膨らまして、炭の
粉
(
こ
)
まじりの灰色の
痰
(
たん
)
を舌の
尖端
(
さき
)
でネットリと唇の前に押出した。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“尖端”の意味
《名詞》
尖 端(せんたん 「先端」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
物の尖った端。
時代・流行の先頭。
(出典:Wiktionary)
尖
漢検準1級
部首:⼩
6画
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
“尖端”で始まる語句
尖端的
尖端人
尖端々々
尖端画壇