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咎
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とがめ
ふりがな文庫
“
咎
(
とがめ
)” の例文
役目不心得につきお
咎
(
とがめ
)
——という不名誉な
譴責
(
けんせき
)
のもとに、
退役
(
たいやく
)
同様な身の七年間、
鳩
(
はと
)
を飼って、鳩を相手に暮らしてきた同心である。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
筆なる者は罪もなく殊に孝心な者故助け
度
(
た
)
いとて訴え出でたる幸十郎は
最
(
い
)
と神妙の至りで有る、筆
儀
(
ぎ
)
は
咎
(
とがめ
)
も申し付けべき処なれども
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
利安は甲斐守歸邸の上、いかなる
咎
(
とがめ
)
に
逢
(
あ
)
はうも知れぬ事ではあるが、是非なき場合ゆゑ、物蔭から見させようと云つた。見知人が來た。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
非情
(
ひじやう
)
のものが、
恋
(
こひ
)
をした
咎
(
とがめ
)
を
受
(
う
)
けて、
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
から、
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
で、
今
(
いま
)
までも
双六巌
(
すごろくいは
)
の
番
(
ばん
)
をして、
雨露
(
あめつゆ
)
に
打
(
う
)
たれても、……
貴下
(
あなた
)
の
事
(
こと
)
が
忘
(
わす
)
れられぬ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前言
(
ぜんげん
)
前行
(
ぜんこう
)
は
唯
(
ただ
)
戯
(
たわぶ
)
れのみと、双方打解けて
波風
(
なみかぜ
)
なく治まりの
付
(
つい
)
たのは誠に
目出度
(
めでた
)
い、何も
咎
(
とがめ
)
立てするにも及ばぬようだが、私には少し説がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
ななえ自身が外で遊び呆けてゐる
咎
(
とがめ
)
もあつて、歸りの門の潛りも音を立てないで閉め、石疊のうへは靴音をしのばせることが常識になつてゐて
渚
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
満枝はさすが
過
(
あやまち
)
を悔いたる
風情
(
ふぜい
)
にて、やをら左の
袂
(
たもと
)
を
膝
(
ひざ
)
に
掻載
(
かきの
)
せ、
牡丹
(
ぼたん
)
の
莟
(
つぼみ
)
の如く
揃
(
そろ
)
へる
紅絹裏
(
もみうら
)
の
振
(
ふり
)
を
弄
(
まさぐ
)
りつつ、彼の
咎
(
とがめ
)
を
懼
(
おそ
)
るる
目遣
(
めづかひ
)
してゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
潰
(
つぶ
)
し將軍の
御落胤
(
ごらくいん
)
との事なれば少こし
安堵
(
あんど
)
しけれども後々の
咎
(
とがめ
)
を
恐
(
おそ
)
れ
早速
(
さつそく
)
名主組合へ右の
段
(
だん
)
を
屆
(
とゞ
)
け夫より町奉行の
御月番
(
おつきばん
)
松平日向守殿
御役宅
(
おやくたく
)
へ此段を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
弥九郎が心配して、もしこのことが知れて厳重なお
咎
(
とがめ
)
があったらどうなさるか、と訊くと
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どんな
咎
(
とがめ
)
を受けるも知れず、高木勇名は獨り心を痛めて、いろ/\同僚の城彈三郎に忠告し、その反省を
促
(
うなが
)
しましたが、何んとしても聽き容れず、そのうちに、何時の間にやら藩重役の耳に入つて
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
偶
(
たまたま
)
不平を以って鳴けば、
遽
(
にわか
)
に多言の
咎
(
とがめ
)
を獲、悔、
臍
(
ほぞ
)
を
噬
(
か
)
むも及ぶなし。尾を
揺
(
うご
)
かして憐を乞うを恥ず。今其罪名を責むるを蒙り、其状を
逼
(
せま
)
らる。伏して竜鱗を
批
(
う
)
ち竜頷を探る。
豈
(
あ
)
に敢て生を求めんや。
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
父母の心の
咎
(
とがめ
)
も
与
(
あずか
)
って力あるかも知れぬ。兎に角彼は唖になった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
歌はざりし
咎
(
とがめ
)
か、
實
(
みのり
)
なき冬の日にも
愁
(
うれへ
)
は照りしかど。
白鳥
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
兄はあながちに深くも
咎
(
とがめ
)
ず
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その
咎
(
とがめ
)
を受けて江戸を発する時、抽斎は四言十二句を書して贈った。中に「
菅公遇譖
(
かんこうたまたまそしられ
)
、
屈原独清
(
くつげんはひとりきよし
)
、」という語があった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
見る者
扨
(
さて
)
こそ
噂
(
うはさ
)
のある
公方樣
(
くばうさま
)
の御落胤の天一坊樣といふ御方なるぞ無禮せば
咎
(
とがめ
)
も有んと恐れざる
者
(
もの
)
もなく此段早くも
町奉行
(
まちぶぎやう
)
大岡越前守殿の
耳
(
みゝ
)
に入り
彼所
(
かしこ
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
中津人は俗物であると
思
(
おもっ
)
て、
骨肉
(
こつにく
)
の
従兄弟
(
いとこ
)
に対してさえ、心の中には何となく
之
(
これ
)
を
目下
(
めした
)
に
見下
(
みくだ
)
して居て、
夫等
(
それら
)
の者のすることは一切
咎
(
とがめ
)
もせぬ、
多勢
(
たぜい
)
に
無勢
(
ぶぜい
)
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
何、妙なものに
出会
(
でっくわ
)
して気を痛めたに違いなかろう。むむ、思ったばかり罪はないよ、たとい、不思議なものの
咎
(
とがめ
)
があっても、私が申請けよう。さあ、しっかりとつかまれ。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
殊に悪事を重ねましたる水司又市でございますから、別段にお
咎
(
とがめ
)
も無く此の事が榊原様のお屋敷へ聞えました所から、白島山平
並
(
ならび
)
にお照は召返しの上、
彼
(
か
)
のお繼は白島の家の養女になり
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或
(
ある
)
いは功も功とならずして、
却
(
かえっ
)
て
咎
(
とがめ
)
のあらんも
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
殉死は国家の御
制禁
(
せいきん
)
なる事、
篤
(
とく
)
と承知候えども壮年の頃相役を討ちし某が死遅れ候
迄
(
まで
)
なれば、御
咎
(
とがめ
)
も無之かと存じ候。
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
連て天下の御
關所
(
せきしよ
)
を廻り
道
(
みち
)
せし事
不屆
(
ふとゞき
)
なりと
咎
(
とがめ
)
れば文藏夫婦は是を聞て
仰天
(
ぎやうてん
)
なし兩手を地に突何卒御見
遁
(
のが
)
し下されよと詫けれ共
惡漢
(
わるもの
)
共は
勿々
(
なか/\
)
聞入ず大切なる御關所何と存じ
拔道
(
ぬけみち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
勘八のみお
咎
(
とがめ
)
が有りましては
偏頗
(
かたおとし
)
のお調べかと心得ます
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
も
功
(
こう
)
とならずして、
却
(
かへつ
)
て
咎
(
とがめ
)
のあらむも
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
既にして正弘は
逝
(
ゆ
)
いた。そして柏軒は何の
咎
(
とがめ
)
をも受くることなく、只奥医師より表医師に
貶
(
へん
)
せられたのみであつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
次に壽阿彌は微官とは云ひながら公儀の務をしてゐて、頻繁に劇場に出入し、俳優と親しく交り、種々の奇行があつても、
曾
(
かつ
)
て
咎
(
とがめ
)
を
被
(
かうむ
)
つたことを聞かない。これも其類例が少からう。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
咎
漢検1級
部首:⼝
8画
“咎”を含む語句
御咎
見咎
聞咎
気咎
罪咎
咎立
心咎
咎人
何咎
咎徴
咎申付
咎目
殃咎
氣咎
禍事咎祟
言咎