トップ
>
向脛
>
むこうずね
ふりがな文庫
“
向脛
(
むこうずね
)” の例文
沖の方を向いて立っていると、
膝
(
ひざ
)
の所で足がくの字に曲りそうになります。陸の方を向いていると
向脛
(
むこうずね
)
にあたる水が痛い位でした。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ごつんと
向脛
(
むこうずね
)
を一撃される。探偵はひっくりかえる。と、横面をガーンと靴で蹴あげられ、探偵は気が遠くなってふらッとなった。
暗号の役割:烏啼天駆シリーズ・4
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
床
(
ゆか
)
に穴が
開
(
あ
)
いていて、気をつけないと、縁の下へ落ちる
拍子
(
ひょうし
)
に、
向脛
(
むこうずね
)
を
摺剥
(
すりむ
)
くだけが、普通の往来より悪いぐらいのものである。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
がら/\/\と位牌が転がり落る騒ぎ、何うか
彼
(
こ
)
うか逃げましたが、いまだに経机の角で
向脛
(
むこうずね
)
を打った
疵
(
きず
)
は暑さ寒さには痛くってならねえ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この
坊様
(
ぼんさま
)
は、人さえ見ると、
向脛
(
むこうずね
)
なり
踵
(
かかと
)
なり、肩なり背なり、
燻
(
くす
)
ぼった鼻紙を当てて、その上から線香を押当てながら
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
あすここそ頂上に相違ないと、余りの嬉しさに
周章
(
あわ
)
てたものか、吾輩は
巌角
(
いわかど
)
から足踏み滑らして
十分
(
したたか
)
に
向脛
(
むこうずね
)
を打った。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
この通り
向脛
(
むこうずね
)
を
掻払
(
かっぱら
)
われて、着物なんぞもズタズタでございます、すんでのことに命を取られるところを、やっとここへ逃げ上ったんでございます
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これこそルパンの
睨
(
ねら
)
った機会だ。障害物が除去せらるるや否や長靴の
尖
(
さき
)
でドーブレクの
向脛
(
むこうずね
)
に得意の一撃を与えた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
賢二といへるは
寺内河竹新七
(
じないかわたけしんしち
)
の弟子なればなほ
血気盛
(
けっきざかり
)
の年頃なりしが真砂助は先代
瀬川如皐
(
せがわじょこう
)
の弟子とやらよほどの高齢なるに寒中も帽子を
冠
(
かぶ
)
らず
尻端折
(
しりはしょり
)
にて
向脛
(
むこうずね
)
を
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は
邸
(
やしき
)
の荒庭の真中に、水のかれた深い古井戸のあることを知っていた。ある日彼は、庭をぶらついていて、態とそこへ足を辷らせ、
向脛
(
むこうずね
)
に一寸した傷を拵えて見せた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
荒い型をして見せる時には着流しの裾の間から白い短い腰巻と黒い骨だらけの
向脛
(
むこうずね
)
が露出した。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
その愚かな奴らは陸へ上るや否や宝に
蹴躓
(
けつまず
)
いて
向脛
(
むこうずね
)
をへし折るくらいに思っていたに違いない。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
と、叫びながら狂気のように黄は彼女の後を追いかけたが、
手擲弾
(
てなげだん
)
のようなマリの靴を
向脛
(
むこうずね
)
に見まわれて
跛
(
びっこ
)
をひきながら彼は街路に飛出した。野蛮………………マリを跳ねかえした。
スポールティフな娼婦
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
二人とも
向脛
(
むこうずね
)
に
生疵
(
なまきず
)
が絶えないとでもいったような気持がしました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
転げこんだ拍子に、杉田は大きな箱のようなものの角で、いやというほど
向脛
(
むこうずね
)
をうちつけ、どたんと床に倒れた。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おれが馳け出して二間も来たかと思うと、廊下の真中で、
堅
(
かた
)
い大きなものに
向脛
(
むこうずね
)
をぶつけて、あ痛いが頭へひびく間に、身体はすとんと前へ
抛
(
ほう
)
り出された。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
音「能く掃除仕やすねえ、墓の間の草ア取って、
跨
(
まて
)
えで向うへ出ようとする時にゃアよく
向脛
(
むこうずね
)
を
打
(
ぶ
)
ッつけ、
飛
(
とび
)
っ
返
(
けえ
)
るように
痛
(
いて
)
えもんだが、
若
(
わけ
)
えに能く掃除しなさるのう」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
跣足になった脚の
向脛
(
むこうずね
)
に注射針を一どきに十筒も刺し通されたほどの痛みを覚えたからだ。
フランセスの顔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
午飯
(
ひるめし
)
が出来たと人から呼ばれる頃まで、庭中の熊笹、竹藪の
間
(
あいだ
)
を歩き廻って居た田崎は、空しく
向脛
(
むこうずね
)
をば笹や
茨
(
いばら
)
で血だらけに
掻割
(
かきさ
)
き、頭から顔中を
蛛
(
くも
)
の巣だらけにしたばかりで
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この村の
何某
(
なにがし
)
、秋の末つ方、夕暮の事なるが、落葉を拾いに裏山に上り、
岨道
(
そばみち
)
を
俯向
(
うつむ
)
いて
掻込
(
かきこ
)
みいると、フト目の前に太く
大
(
おおい
)
なる脚、
向脛
(
むこうずね
)
のあたりスクスクと毛の生えたるが、ぬいとあり。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五分刈
(
ごぶがり
)
は向き直って「あの声は胸がすくよだが、惚れたら胸は
痞
(
つか
)
えるだろ。惚れぬ事。惚れぬ事……。どうも脚気らしい」と
拇指
(
おやゆび
)
で
向脛
(
むこうずね
)
へ
力穴
(
ちからあな
)
をあけて見る。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
下駄じゃあねえか、下駄じゃあねえか、
串戯
(
じょうだん
)
じゃあねえ、何を
面啖
(
めんくら
)
ったか知らねえが、そいつを懐に入れるだけの
隙
(
ひま
)
が有りゃ、
敵
(
あいて
)
の
向脛
(
むこうずね
)
をかッぱらって
遁
(
に
)
げるゆとりはありそうなもんだぜ。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
元より素足の儘ですから熊笹の根に足を引掛けて爪を引っぱがし、
向脛
(
むこうずね
)
をもり/\
摺破
(
すりこわ
)
し血だらけになりながら七八町も登りますと、
闇
(
くら
)
くって分りませんが山の上は平らで、
樹
(
き
)
に掴まって
能
(
よ
)
く見ると
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
旗竿が
向脛
(
むこうずね
)
にあたったものらしい。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
障子の影に細長い
向脛
(
むこうずね
)
が二本立ったまま
微
(
かす
)
かに動くのが見える。主人はうーん、むにゃむにゃと云いながら例の赤本を突き飛ばして、黒い腕を
皮癬病
(
ひぜんや
)
みのようにぼりぼり
掻
(
か
)
く。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
山牛蒡
(
やまごぼう
)
の葉にて
捲
(
ま
)
いたる
煙草
(
たばこ
)
を、シャと
横銜
(
よこぐわ
)
えに、ぱっぱっと煙を噴きながら、両腕を頭上に
突張
(
つッぱ
)
り、ト
鋏
(
はさみ
)
を
極込
(
きめこ
)
み、
踞
(
しゃが
)
んで
横這
(
よこばい
)
に、ずかりずかりと
歩行
(
ある
)
き寄って、与十の
潜見
(
すきみ
)
する
向脛
(
むこうずね
)
を
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
正「
私
(
わたくし
)
も
一寸
(
ちょい
)
と
向脛
(
むこうずね
)
の毛を三本ばかり抜きましょう」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
余が廿貫目の婆さんに降参して自転車責に
遇
(
あ
)
ってより以来、大落五度小落はその数を知らず、或時は石垣にぶつかって
向脛
(
むこうずね
)
を
擦
(
す
)
りむき、或る時は立木に突き当って
生爪
(
なまづめ
)
を
剥
(
は
)
がす
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……清水谷公園を一廻りに大通を過ぎて番町へ帰ったが、
吻
(
ほっ
)
として、浴衣に着換えて、足袋を脱ぐ時、ちょっと肩をすくめて、まず
踵
(
かかと
)
、それから、
向脛
(
むこうずね
)
を見て苦笑したのは、我ながら
呆
(
とぼ
)
けている。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おおかた
流汗淋漓
(
りゅうかんりんり
)
大童
(
おおわらわ
)
となって自転車と奮闘しつつある
健気
(
けなげ
)
な様子に見とれているのだろう、
天涯
(
てんがい
)
この
好知己
(
こうちき
)
を得る以上は
向脛
(
むこうずね
)
の二三カ所を
擦
(
す
)
りむいたって惜しくはないという気になる
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
馬蛤の穴を
刎飛
(
はねと
)
んで、
田打蟹
(
たうちがに
)
が、ぼろぼろ打つでしゅ、泡ほどの砂の
沫
(
あわ
)
を
被
(
かぶ
)
って転がって
遁
(
に
)
げる時、
口惜
(
くや
)
しさに、奴の
穿
(
は
)
いた、
奢
(
おご
)
った長靴、丹精に磨いた自慢の
向脛
(
むこうずね
)
へ、この
唾
(
つば
)
をかッと吐掛けたれば
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
向脛
(
むこうずね
)
を
掻払
(
かっぱら
)
って、ぎゃっと
傾倒
(
のめ
)
らしてくれますわ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
脛
漢検1級
部首:⾁
11画
“向”で始まる語句
向
向日葵
向島
向側
向後
向背
向直
向合
向柳原
向山