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同棲
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どうせい
ふりがな文庫
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同棲
(
どうせい
)” の例文
この女は彼と
同棲
(
どうせい
)
していた、或いは彼自身の表現を借りれば、彼は彼女と退屈な長ったらしいロマンスをひきずっていたのであった。
小波瀾
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
宮がお
薨
(
かく
)
れになったあとで大納言が忍んで通うようになっていたが、年月のたつうちには夫婦として公然に
同棲
(
どうせい
)
することにもなった。
源氏物語:45 紅梅
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
桂子は、前に
同棲
(
どうせい
)
していた異国人のおかげで、バラックながら一軒の家を持っていた。私はそこに転がりこんだ形になったのである。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
自分も六十に手が届くやうになり、
田舎
(
いなか
)
の閑居で退屈まぎれに、
同棲
(
どうせい
)
三十年近くで、はじめて妻といふ女を見直して見るのであつた。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
クルベーとの七年間の花々しい
同棲
(
どうせい
)
生活については、彼女はその後折にふれて口の
端
(
は
)
へ出すこともあったし、一番彼女を愛しもし
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
自分はその時分からお重と嫂とは火と水のような個性の差異から、とうてい円熟に
同棲
(
どうせい
)
する事は困難だろうとすでに観察していた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軽
(
かる
)
の村の愛人の死をいたんだ歌とならんで、もう一首、人麻呂がもうひとりの愛人(こちらの愛人とは
同棲
(
どうせい
)
をし、子まであった)
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
問 予の全集は三百年の
後
(
のち
)
、——すなわち著作権の失われたる後、
万人
(
ばんにん
)
の
購
(
あがな
)
うところとなるべし。予の
同棲
(
どうせい
)
せる女友だちは如何?
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二人
同棲
(
どうせい
)
して後の
倦怠
(
けんたい
)
、疲労、冷酷を自己の経験に照らしてみた。そして一たび男子に身を任せて後の女子の境遇の
憐
(
あわれ
)
むべきを思い
遣
(
や
)
った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
こいさんにそう云うことをさせて置いて、やがてずるずるべったりに二人が
同棲
(
どうせい
)
するようなことにでもなったら、何とするか。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人の間にはモデルと
同棲
(
どうせい
)
する美術家達の噂が引出されて行った。旅に来ては仏蘭西の女と一緒に住む同胞も少くはなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「犬といるなんて、
同棲
(
どうせい
)
しているようなことを云うなよ。もっとも、同棲にはちがいないが。そのうち仔どもが産れるよ。」
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
同棲
(
どうせい
)
してから半か月もたたないうちに、木部はややもすると高圧的に葉子の自由を束縛するような態度を取るようになった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
白蓮女史
失踪
(
しっそう
)
のニュースが、全面を
埋
(
う
)
めつくし、「
同棲
(
どうせい
)
十年の
良人
(
おっと
)
を捨てて、白蓮女史情人の
許
(
もと
)
へ走る。夫は五十二歳、女は二十七歳で結婚」
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ああして結婚後すぐ金を
浚
(
さら
)
って姿を
晦
(
くら
)
ました男ではあるが、ベシイは再会と同時にすべてを水に流して、またただちに彼と
同棲
(
どうせい
)
生活を始めた。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
それとも、私は貧乏な外科医の若い学生と
同棲
(
どうせい
)
して、もう生きたまま解剖してもらってもいい。私はねえ、この世が辛くなってしまったのよ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
というのは、日頃からかれの胸には、城代の石川
伯耆守数正
(
ほうきのかみかずまさ
)
にたいして、一つの同情と、また或る疑惑とが、
同棲
(
どうせい
)
していた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
同棲
(
どうせい
)
生活の第一夜を
絢爛
(
けんらん
)
と踏み出すことに両人の意見は完全なる一致をみたのであるが、この詳細もここにくだくだしく描写している
遑
(
いとま
)
はない。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
重吉はかつて
我儘
(
わがまま
)
で身の
修
(
おさま
)
らない年上の女と
同棲
(
どうせい
)
した時の経験もあるので、
下手
(
したで
)
に出て女をあやなすことには
馴
(
な
)
れている。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼女が二人の伯母と
同棲
(
どうせい
)
していることはアリョーシャも知っていた。その一方の伯母というのは、姉のアガーフィヤだけの伯母に当たっていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
然
(
しか
)
し、そうすると、今、木島と
同棲
(
どうせい
)
している彼女は、私と同様、矢張りこの男のことをも忘れてしまったのであろうか。
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
同棲
(
どうせい
)
していた当時は、お
互
(
たがい
)
にその事には、一言もふれなかったが、後で考え合わせると、そうらしいというのである。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
水谷町で
同棲
(
どうせい
)
しているおくにもそうであるが、門七もまた徳田石順という、本道婦人科の医者の家で下男をしていた。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一
緒
(
しょ
)
ではありませぬ。
現世
(
げんせ
)
に
居
(
い
)
た
時分
(
じぶん
)
は、
夫婦
(
ふうふ
)
は
同
(
おな
)
じ
場所
(
ばしょ
)
に
行
(
ゆ
)
かれるものかと
考
(
かんが
)
えて
居
(
お
)
りましたが、こちらへ
来
(
き
)
て
見
(
み
)
ると
同棲
(
どうせい
)
などは
思
(
おも
)
いも
寄
(
よ
)
りませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
母と
妹
(
いもと
)
とは自分達夫婦と
同棲
(
どうせい
)
するのが窮屈で、赤坂区新町に下宿屋を開業。それも
表向
(
おもてむき
)
ではなく、例の
素人
(
しろうと
)
下宿。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
もう、この頃、私は或る女のひとと
同棲
(
どうせい
)
をはじめていたのです。でも、こんな工合いに大袈裟に腕組みをしているところなど、やっぱり少し気取っていますね。
小さいアルバム
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それに、男なくてはいられぬ女だったに相違ない——今から考えて見て——母はまた若い男と
同棲
(
どうせい
)
した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
私と
同棲
(
どうせい
)
してからも一年に三四箇月は郷里の家に帰っていた。田舎の空気を吸って来なければ身体が保たないのであった。彼女はよく東京には空が無いといって
歎
(
なげ
)
いた。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
物足りないというのは言い過ぎであろうが、ほんとうに孤独な人間がある場合には
同棲
(
どうせい
)
のねずみに不思議な親しみを感ずるような事も不可能ではないように思われたりした。
ねずみと猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それは三か月あまりの
同棲
(
どうせい
)
から受け取っておいた永峯の愛情をさえ乗り越えることがあった。
街頭の偽映鏡
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
そしてデオニソスとアポロとは、容易に普通の人格では、
同棲
(
どうせい
)
することができないのである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
略
(
ほゞ
)
これと前後して故郷の妻は子供を残して里方に復籍してしまつた。それまでは
同棲
(
どうせい
)
の女の頼りない将来の運命を
愍
(
あはれ
)
み気兼ねしてゐた私は、今度はあべこべに女が憎くなつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
鐘馗
(
しょうき
)
という
悪魔降伏
(
あくまごうふく
)
の神力ある英雄の像をまつる、桃太郎という
冒険者
(
ぼうけんしゃ
)
の像と、金太郎という動物と
同棲
(
どうせい
)
していた自然児の
裸像
(
らぞう
)
もまつる、この
祀
(
まつ
)
りを五月の
節句
(
せっく
)
と称するんだ
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
少しも幸福の妨げとなるものではないとされ、また、やがて一家族が生まれいずべきふたりの運命の和合をまず家の中で始め、
同棲
(
どうせい
)
生活がその
楔
(
くさび
)
として長く結婚の
室
(
へや
)
を有することは
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それでも各自に自分の
部屋
(
へや
)
と自由とを取って置いた。クリストフとの
几帳面
(
きちょうめん
)
な
同棲
(
どうせい
)
に
馴
(
な
)
れることは、フランソアーズにはできなかったろう。そのうえ、彼女の境遇もそれに適しなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
妾も心中この人ならばと思い定めたる
折柄
(
おりから
)
とて、直ちに承諾の
旨
(
むね
)
を答え、いよいよ結婚の約を結びて、母上にも事情を告げ、彼も公然その友人らに
披露
(
ひろう
)
して、それより
同棲
(
どうせい
)
することとなり
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
天下
翕然
(
きゅうぜん
)
としてモーツァルトを惜しみ、旧居を
訪
(
と
)
う
憧憬者
(
しょうけいしゃ
)
の多いのに驚いて、始めて自分が十年
同棲
(
どうせい
)
した夫が、不世出の大天才であったことを「わずかに悟った」にすぎなかったと言われている。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
守人がまだ故郷の水戸で
里見無念斎
(
さとみむねんさい
)
の道場に通っていたころ、師範代をつとめていたのが遊佐銀二郎、それから江戸の両国で銀二郎は人魚の女のお蔦と
同棲
(
どうせい
)
していたが、そこで守人はお蔦を見て
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
法律関係をまっとうするために
同棲
(
どうせい
)
するものは真の夫婦にあらず
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「申上げますわ。西川さん、私、御両親と
同棲
(
どうせい
)
は厭よ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
実直で父親似と思つた次男は、思ひがけない芸人で、年上の恋人が出来、それと
同棲
(
どうせい
)
するために、関西へ移つたまま音信不通となつた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
その時分は銀子もまだ苦い
汁
(
しる
)
の後味が舌に残りながら、四年間
同棲
(
どうせい
)
した、一つ年上の男のことが、
綺麗
(
きれい
)
さっぱりとは清算しきれずにいた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いつまでも他人に対する
羞恥
(
しゅうち
)
と同じものを見せて、
同棲
(
どうせい
)
の歳月は重なってもこの傾向がますます目だってくるばかりであると思うと苦しくて
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ある異国人と
同棲
(
どうせい
)
し、その異国人が、ブラック・マーケットで本国に帰された後は、女給勤めのかたわら夜の天使のようなことをしていた彼女。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
夫婦は和合
同棲
(
どうせい
)
という点において、人並以上に成功したと同時に、子供にかけては、一般の隣人よりも不幸であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし木部の時でも二か月とは
同棲
(
どうせい
)
していなかったとも思った。倉地と離れては一日でもいられそうにはなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
文面によると、伊豆山には、逃亡した政子ばかりでなく、頼朝もそこへ移って、
同棲
(
どうせい
)
しているらしく思われたので
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父が一時母と分かれて横浜かなんぞにいて他の女と
同棲
(
どうせい
)
していたような小さなドラマがあって、そのとき隣りに住んでいた老夫婦がたいへん母に同情し
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
二十数年間ノ
同棲
(
どうせい
)
ノ後ニ、始メテ妻ノ肉体美ヲ知ッテ驚クヿヲ得ル夫ハ、今カラ新シイ結婚ヲ始メルノト同ジダ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
七年間ひと足も村を出ないで
同棲
(
どうせい
)
したし、昔は
乾草広場
(
センナヤ
)
のヴィャーゼムスキイ公爵の家に泊まったこともあるし
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
“同棲”の意味
《名詞》
同棲(どうせい)
結婚していない男女が一緒に生活すること。
(出典:Wiktionary)
“同棲”の解説
同棲(どうせい)は、一つの家に一緒に住むこと。一般に結婚していない人が共に生活することを指すことが多いが、その概念規定は多様である。
(出典:Wikipedia)
同
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
棲
漢検準1級
部首:⽊
12画
“同棲”で始まる語句
同棲者
同棲生活
同棲中
同棲後