北海道ほくかいだう)” の例文
井戸ゐどのふちに茶碗ちやわんゆゑ、けんのんなるべし。(かしや、かなざもの、しんたてまつる云々うんぬん)これは北海道ほくかいだう僻地へきち俚謠りえうなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
診察しんさつせし窒扶斯患者ちぶすくわんじや感染かんぜんして、しや三十路みそぢにたらぬわかざかりを北海道ほくかいだうつちしぬ、かぜ便たよりにこれをきしおそのこヽろ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まちをつと末男すゑをは、偶然ぐうぜんにも彼女かれとおなじ北海道ほくかいだううまれたをとこであつた。彼女かれはそれを不思議ふしぎ奇遇きぐうのやうによろこんだ。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
明治めいぢ三十五ねんはるぐわつ徳島とくしまり、北海道ほくかいだう移住いぢゆうす。これよりき、四男しなん又一またいちをして、十勝國とかちのくに中川郡なかがはごほり釧路國くしろのくに足寄郡あしよろごほりながるゝ斗滿川とまむがはほとり牧塲ぼくぢやう經營けいえいせしむ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
三年ばかりたつたのち、汽車は薄煙うすけむりを残しながら、九百八十六部の「夢みつつ」を北海道ほくかいだうへ運んで行つた。
詩集 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ばんもお總菜さうざいさけ退治たいぢた、北海道ほくかいだうさんである。ちやうけに岡山をかやまのきび團子だんごべたところで、咽喉のどつまらせるはふはない。これしかしながらたびこゝろであらう。——
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
北海道ほくかいだう移住後いぢゆうご冬時とうじ服裝ふくさうは、内地ないちりしときほとんどことならず。しかして當地たうち寒氣かんき左程さほどかんぜざるのみならず、凍傷とうしやうとう一度いちどをかされたることあらず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
わたし北海道ほくかいだうつても、れにもつたひとはふとはおもひませんわ。わたしはたゞそつと自分じぶんまへのこした足跡あしあとを、くるまほろあひだからでもてくれゝばいゝんですもの。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
をりふしはひにいままでこともなき日本全圖にほんぜんづなどヽいふものをおたみがお使つかひの留間るすひろけてこともあり、新聞紙しんぶんしうへにも札幌さつぽろとか北海道ほくかいだうとか文字もじにはいちはやくのつく樣子やうす
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
數十年前すうじふねんぜんよりおこなれる灌水くわんすゐは、北海道ほくかいだう移住後いぢゆうご冬時とうじいへどおこたりたることあらず。このにはいま井戸ゐどなきをもつて、斗滿川とまむがはりておこなへり(飮用水いんようすゐこのかはみづもちゆ)
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
「はあ、北海道ほくかいだうへは始終しじう往復わうふくをするですが、今度こんど樺太からふとまでくですて。」
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)