利發りはつ)” の例文
新字:利発
ちゝにまで遠慮ゑんりよがちなればおのづからことばかずもおほからず、一わたしたところでは柔和おとなしい温順すなほむすめといふばかり、格別かくべつ利發りはつともはげしいともひとおもふまじ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たつしける萬事利發りはつ取廻とりまはしゆゑ重役衆ぢうやくしうには其樣にはからひ下役人へは賄賂わいろおく萬事ばんじ拔目ぬけめなきゆゑ上下こぞつて吉兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あの娘は氣丈で利發りはつだから、死んだ振りをして石垣の下に隱れ、曲者がゐなくなつてから、大きな聲で人を呼ぶと、庭男の久六が飛んで來て引揚げてくれたさうで
七歳の時から感應院の手元てもとそだち殊には利發りはつ愛敬者あいきやうものなり誰か違背いはいすべきいづれも其儀然るべしと相談さうだんこゝに決したり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此方こちらしんからつくでもりやうにつては面白おもしろくなくえることもあらう、いさむさんだからとてとほもの道理だうり心得こゝろえた、利發りはつひとではあり隨分ずいぶん學者がくしやでもある
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
も久八と附て夫婦の寵愛ちようあいあさからず養育しけるに一日々々と智慧ちゑつくしたが他所よその兒にまさりて利發りはつなるによりすゑ頼母敷たのもしき小兒せうになりといつくしみける中月立年暮て早くも七歳の春を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さいは海軍かいぐん鳥居とりゐ知人ちじん素性すぜうるからで利發りはつうまれつきたるをとこあるよし、其方そなた異存いぞんなければれをもらふて丹精たんせいしたらばとおもはるゝ、悉皆しつかい引受ひきうけは鳥居とりゐがして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
赤尾あかをひこ息子むすこのやうにちがひにつてかへつたもり候へば、もと/\利發りはつ貴君樣あなたさまそのづかひはあるまじきなれど、放蕩ほうたうものにでもおりなされては取返とりかへしがつき申さず
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おもひのまゝにあそびてはゝきをと父親てゝおやことわすれて、十五のはるより不了簡ふりようけんをはじめぬ、男振をとこぶりにがみありて利發りはつらしきまなざし、いろくろけれど樣子ふうとて四隣あたりむすめどもが風説うわさきこえけれど
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わざとらずがほつくりながらもくれなゐわれしらずおほ袖屏風そでびやうぶにいとゞこゝろのうちあらはれて今更いまさらきたることもありひとみぬひまの手習てならひ松澤まつざはたかとかいてまた塗隱ぬりかくすあどけなさ利發りはつえても未通女氣おぼこぎなりおなこゝろ芳之助よしのすけごとしとくちにはいへど歳月としつきはわがためゆづるたゆみしやうにおぼえてかしらすほどのまどろかしさよ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)