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与力
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よりき
ふりがな文庫
“
与力
(
よりき
)” の例文
旧字:
與力
と言うのは、南町奉行
与力
(
よりき
)
の筆頭
笹野新三郎
(
ささのしんざぶろう
)
、奉行朝倉石見守の智恵袋と言われたほどの人物ですが、不思議に高貴な人品骨柄です。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこは二十帖ばかりの広さで、上段があり、その下に滝沢忠太夫と、二人の
与力
(
よりき
)
がいた。侍の吟味には役支配の列席する規定がある。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その頃、この江戸には夜な夜な不可解なる
辻斬
(
つじぎり
)
が現れて、まるで
奉行
(
ぶぎょう
)
も
与力
(
よりき
)
もないもののように大それた殺人をくりかえしてゆく。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
御新造と呼ばれる女は、江戸の
御鉄砲方
(
おてっぽうかた
)
井上左太夫の
組下
(
くみした
)
の
与力
(
よりき
)
、和田弥太郎の妻のお松で、和田の屋敷は小石川の
白山前町
(
はくさんまえまち
)
にあった。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
与力
(
よりき
)
は、幕府の警察官として、強盗押入りの知らせがあれば、ただちに隊を組んで、その捕縛にむかって、挺身するのであった。
私の歩んだ道
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
▼ もっと見る
ではもう一名、べつにしかるべき
与力
(
よりき
)
を差し添えてやろう。そして人数も五百名に増し、装備には武器庫の二番庫も開いて使え。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薪水
(
しんすい
)
を積み込む御用船に乗り込んで、黒船に近づこうとしたけれども、それも毎船
与力
(
よりき
)
が乗り込んで行くために、便乗する機会はなかった。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そこで
与力
(
よりき
)
にはこう言った。この願書は内見したが、これは奉行に出されぬから、持って帰って
町年寄
(
まちどしより
)
に出せと言えと言った。
最後の一句
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と、喬之助が立ちかけた時、今まで、戸口に立って
与力
(
よりき
)
達と押し問答をしていた壁辰が、大きな声でこういうのが聞えた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「十字架を下げた化け物がね。へ、へ。」と連れの
与力
(
よりき
)
が引き取った。「で、あなたは?——雪見のご散歩ですか。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
これは火事の模様を注進する役目です。一層大きくなれば、町奉行が出て、
与力
(
よりき
)
とか同心とかいうものが働きます。
幕末維新懐古談:16 その頃の消防夫のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
甲府の勤番支配は三千石高の
芙蓉間詰
(
ふようのまづめ
)
であります。その下には
与力
(
よりき
)
が十名と同心が五十人ずつあって、五百石以下の勤番が二百人は甲府の地に居住しています。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たとえば
斎藤弥九郎
(
さいとうやくろう
)
の練兵館、
桃井春蔵
(
もものいしゅんぞう
)
の士学館——この二人とも、文久二年十二月、清河建白書の趣旨通り、
与力
(
よりき
)
格をもって幕府に召抱えられた——同様に
新撰組
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
毎日のように
美濃
(
みの
)
筋から入り込んで来た武家衆の泊まり客、この村の万福寺にまであふれた
与力
(
よりき
)
、同心衆の同勢なぞもそれぞれ江戸方面へ向けて立って行った。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
道頓堀
(
どうとんぼり
)
の芝居に
与力
(
よりき
)
や
同心
(
どうしん
)
のような役人が見廻りに行くと、スット
桟敷
(
さじき
)
に
通
(
とおっ
)
て、芝居の
者共
(
ものども
)
が茶を
持
(
もっ
)
て来る菓子を持て来るなどして、
大威張
(
おおいば
)
りで芝居をたゞ見る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
植村子順、名は正義、通称は某、
蘆洲
(
ろしゅう
)
と号した。下谷
車坂町
(
くるまざかちょう
)
に住した某組の
与力
(
よりき
)
で詩を枕山に学んだ。明治十八年享年五十六で没したので、嘉永元年には年十九である。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
が、もう一
度
(
ど
)
竹
(
たけ
)
五
郎
(
ろう
)
が、
鼻
(
はな
)
の
頭
(
あたま
)
を
引
(
ひ
)
ッこすって、ニヤリと
笑
(
わら
)
ったその
刹那
(
せつな
)
、
向
(
むこ
)
うから
来
(
き
)
かかった、八
丁堀
(
ちょうぼり
)
の
与力
(
よりき
)
井上藤吉
(
いのうえとうきち
)
の
用
(
よう
)
を
聞
(
き
)
いている
鬼
(
おに
)
七を
認
(
みと
)
めた千
吉
(
きち
)
は、
素速
(
すばや
)
く
相手
(
あいて
)
を
眼
(
め
)
で
制
(
せい
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
横から
視
(
み
)
ても、縦から視ても、
汚
(
きたな
)
い屑屋に相違あるまい。奉行は
継上下
(
つぎがみしも
)
、御用箱、うしろに
太刀持
(
たちもち
)
、
用人
(
ようにん
)
、
与力
(
よりき
)
、
同心徒
(
どうしんであい
)
、事も厳重に堂々と並んで、威儀を正して、ずらりと
蝋燭
(
ろうそく
)
に
灯
(
ひ
)
を入れた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「南町御番所の
与力
(
よりき
)
、水島宇右衛門と申しまするでござります」
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
与力
(
よりき
)
、笹野新三郎の役宅へ飛込んでみると、女はまだ町奉行所には送らず、庭先に
筵
(
むしろ
)
を敷いて、
裸蝋燭
(
はだかろうそく
)
の下で、身体を拭かれております。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
記録によると、その翌年、すなわち文政十二年の冬に、尾白の大鷲は鉄砲方の
与力
(
よりき
)
池田貞五郎に撃ち留められたとある。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人相書は全市の
与力
(
よりき
)
と
岡
(
おか
)
っ
引
(
ぴ
)
きにいきわたり、別動隊として、近江之介を殺された上自分は閉門をうけて、
切歯扼腕
(
せっしやくわん
)
に耐えない脇坂山城守の手から
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「昨日の
御飛札
(
ごひさつ
)
により、井上河内守の
名代
(
みょうだい
)
として、山屋敷
与力
(
よりき
)
佐脇仙十郎、お蝶の身がら受収りに参上いたしました」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこへけさになって、宿直の
与力
(
よりき
)
が出て、
命乞
(
いのちご
)
いの願いに出たものがあると言ったので、佐佐はまずせっかく運ばせた事に邪魔がはいったように感じた。
最後の一句
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
侍の口ぶりだ、
与力
(
よりき
)
か
同心
(
どうしん
)
だな。——どういう仔細だときかれて、相手の助二郎はくどくどとなにか説明した。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今日は箱根
塔沢
(
とうのさわ
)
に隠居して居るあの
老爺
(
おじい
)
さんのことで、中嶋三郎助は旧浦賀の
与力
(
よりき
)
、箱館の戦争に父子共に討死した立派な武士で、その碑は今浦賀の公園に
立
(
たっ
)
てある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
刊行の著書に『柳湾漁唱』三巻、『林園月令』二十四冊、その他『晩唐詩選』、『金詩選』の如き
纂著
(
さんちょ
)
数種がある。その男俊蔵は
御先手組
(
おさきてぐみ
)
の
与力
(
よりき
)
で文人画を善くし霞舫と号した。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大阪奉行の中に、内山彦次郎という
与力
(
よりき
)
があった。大塩平八郎以来の与力ということで、
頭脳
(
あたま
)
もよく、腕もよく、胆もあり、骨もあって、稀れに見る良吏であったということである。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は、子供の時代に、三番町に住んでいた清田
嘿
(
もく
)
という漢学の先生の塾に、毎日かよった。先生は、幕府時代には
与力
(
よりき
)
の身分の人で、漢学には深い造詣があった。漢文の著書も数種あった。
私の歩んだ道
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
半刻ばかりの後、八丁堀組屋敷で、
与力
(
よりき
)
笹野新三郎の前に銭形の平次ともあろう者が、すっかり
悄気返
(
しょげかえ
)
って坐っておりました。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「このほうは
登州
(
とうしゅう
)
与力
(
よりき
)
の
裴鉄面
(
はいてつめん
)
だが、奉行の
逮捕状
(
たいほじょう
)
を帯びてこれへ参った。当家のあるじ
李応
(
りおう
)
を出せ。
有無
(
うむ
)
を申さば、官権をもって召捕るまでだが」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東町奉行所で小泉を殺し、瀬田を取り逃がした所へ、堀が部下の
与力
(
よりき
)
同心
(
どうしん
)
を随へて来た。
跡部
(
あとべ
)
は堀と相談して、
明
(
あけ
)
六つ
時
(
どき
)
にやう/\三箇条の
手配
(
てくばり
)
をした。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その屋敷は旧幕臣の
与力
(
よりき
)
が住んでいたもので、建物のほかに五百坪ほどの
空地
(
あきち
)
がある。西の方は高い
崖
(
がけ
)
になっていて、その上は樹木の生い茂った小山である。
穴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
職人ながら、お
捕物
(
とりもの
)
にかけては、
与力
(
よりき
)
の満谷剣之助なども一目も二目も置いている、黒門町なのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
蘆洲は某組の
与力
(
よりき
)
であるので、あたかもこの年京師に
祗役
(
しえき
)
し五月に至って江戸に帰った。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あたしはすぐにとんで来たかった、自分が思い
遣
(
や
)
りのないことを云ったからではない、さぶちゃんは
与力
(
よりき
)
の青木さんていう人から詳しい話を聞いたし、三月には金襴のこともわかった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いま考えると
与力
(
よりき
)
と思うよ。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
番所には見廻り同心賀田
杢左衛門
(
もくざえもん
)
、土地の御用聞、赤城の藤八などが、
雁字
(
がんじ
)
がらめにした林彦三郎を
護
(
まも
)
って、
与力
(
よりき
)
の
出役
(
しゅつやく
)
を待っているのでした。
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一切は奉行
名代
(
みょうだい
)
の第一
与力
(
よりき
)
、
王正
(
おうせい
)
という者が係となって処置された。ところがこの王正は毛家の
女婿
(
むすめむこ
)
にあたる者。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
跡部が
淡路町
(
あはぢまち
)
の辻にゐた所へ、堀が
来合
(
きあは
)
せた。堀は
御祓筋
(
おはらひすぢ
)
の
会所
(
くわいしよ
)
で休息してゐると、一旦散つた
与力
(
よりき
)
同心
(
どうしん
)
が又ぽつ/\寄つて来て、二十人ばかりになつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その屋敷は旧幕臣の
与力
(
よりき
)
が住んでいたもので、建物のほかに五百坪ほどの空き地がある。西の方は高い
崖
(
がけ
)
になっていて、その上は樹木の生い茂った小山である。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
道楽旗本だから髪も
大髻
(
おおたぶさ
)
ではなく、
小髷
(
こまげ
)
で、
鬢
(
びん
)
がうすいので、ちょっと見ると、八丁堀に地面をもらって裕福に暮らしている、町奉行支配の
与力
(
よりき
)
に似ているところから
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
鶴亀々々
(
つるかめつるかめ
)
。しかし二本差した先生のお供をしていりゃア
与力
(
よりき
)
でも
同心
(
どうしん
)
でも
滅多
(
めった
)
な事はできやしめえ。」と口にはいったけれど仙果は全く気味悪そうに
四辺
(
あたり
)
を見廻さずにはいられなかった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
というのは、それまでに三度おみきは町奉行所へ呼び出された、
町役
(
ちょうやく
)
と家主が付添いで、二度は
与力
(
よりき
)
の吟味だったが、三度めには
壱岐守
(
いきのかみ
)
とかいう町奉行がしらべに当り、おみきを叱りつけた。
枡落し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
コナン・ドイルの成功は、助手のワトソンの発見であり、平次とお静と、
与力
(
よりき
)
の笹野新三郎だけでは、ものの百回とは、もたなかったかも知れない。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
成程、門には池の坊の小さい札が出ていましたが、翌晩になって分ったことは、それは弓組
与力
(
よりき
)
の松下という男の
妾
(
めかけ
)
で、その松下が来て遅くまで飲んでいる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芳宜園千蔭
(
はぎぞのちかげ
)
は身分が町奉行
与力
(
よりき
)
で、加藤
又左衛門
(
またざえもん
)
と称し、文化五年に歿した。五百の生れる前八年である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
京橋八丁堀の玉子屋
新道
(
じんみち
)
に住む南町奉行所の
与力
(
よりき
)
秋山嘉平次が
新川
(
しんかわ
)
の酒問屋の隠居をたずねた。
真鬼偽鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
町奉行配下の
与力
(
よりき
)
同心
(
どうしん
)
を始め町方の御用聞きに到るまで、言い合わしたように町道場の主とその高弟たち、さては諸国から上って来た浪人の溜りなどへしきりに眼を光らせてきたが
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
北町奉行の
与力
(
よりき
)
で青木さんていう人も、栄ちゃんのことを心配して、たびたびここへたずねて来るそうなんだ、ここでは岡安さんが毎月一度、栄ちゃんのようすを書いて青木さんに送っているんだが
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“与力”の解説
与力(よりき)とは、江戸幕府における代表的な職名。なお、与力は寄騎とも書くが、これら与力・寄騎は時代によって意味が異なる。
備(そなえ)などを編成するため、江戸時代以前には、足軽大将(足軽組頭)などの中級武士が大身の武士の指揮下に入る事を意味する語句としても用いられていた。
(出典:Wikipedia)
与
常用漢字
中学
部首:⼀
3画
力
常用漢字
小1
部首:⼒
2画
“与力”で始まる語句
与力町
与力衆
与力同心
与力吟味
与力筆頭
与力見習
与力鑑札